犬種と健康

犬の進行性網膜萎縮症|犬種別・家系で早期発見

内容確認日 2026-09-01うちのこ家系図 読みもの

進行性網膜萎縮症(PRA)について知り、見え方の変化とゆっくり付き合っていく暮らし
目次
  1. 1PRA(進行性網膜萎縮症)とは|知っておきたい基礎
  2. 2かかりやすいと報告される犬種
  3. 3遺伝の仕組み|「キャリア」という考え方
  4. 4見えにくさと暮らす|生活環境の工夫と心構え
  5. 5遺伝子検査でわかること
  6. 6家系で知る|両親・兄弟の情報という手がかり
  7. 7よくある質問
  8. 8まとめ|見え方の変化は、ゆっくり付き合っていくもの

進行性網膜萎縮症(PRA)は、目の網膜が少しずつ働きを失っていくとされる遺伝性の病気です。「PRA」という略称で紹介されることも多く、複数の犬種で報告されています。

この記事では、PRAの基礎知識、犬種別のリスク、遺伝の仕組み、見えにくさとの付き合い方、そして遺伝子検査でわかることまで、一次情報をもとに整理しました。

PRA(進行性網膜萎縮症)とは|知っておきたい基礎

要点: PRAは、網膜の機能が徐々に低下していくとされる遺伝性の目の病気です。進行のスピードや現れ方には個体差があります。

PRAは、目の奥にある網膜という組織の機能が、時間をかけて少しずつ低下していく病気です。アニコム損保の解説では、遺伝性の病気とされ、進行に伴って見え方が変化していくことが紹介されています(アニコム「進行性網膜萎縮症(PRA)<犬>」・確認日 2026-09-01)。夜盲(暗い場所での見えにくさ)から始まり、時間をかけて視覚を失っていく進行性の網膜疾患であることは、国際的に参照される獣医学の専門資料(MSD Veterinary Manual)でも解説されています(確認日 2026-09-01)。

PRAという名前を聞くと不安に感じるかもしれませんが、進行のスピードは個体差が大きく、すべての子が同じ経過をたどるわけではありません。まず「知っておく」ことが、この病気との向き合い方の第一歩です。

かかりやすいと報告される犬種

要点: PRAは複数の犬種で報告されており、特定の犬種だけの病気ではありません。

アニコムの犬種別まとめでは、PRAの発症が多い犬種としてプードル(トイ、ミニチュア)のほか、ダックスフンド(ミニチュア)、ヨークシャー・テリア、パピヨン、ラブラドール・レトリーバーなど複数の犬種が挙げられています(node/1377・確認日 2026-09-02)。PRAの解説ページでも、多くの犬種でみられ、人気犬種でも発症することが知られていると紹介されています(node/973・確認日 2026-09-02)。

トイプードルにおけるPRAを含む健康リスクの全体像は、トイプードルの遺伝病7種|家系で早期発見する方法で詳しく解説しています。パピヨン・ラブラドールレトリーバーの犬種そのものの成り立ちや性格の傾向は、それぞれパピヨン(犬)の性格と特徴|歴史・被毛と暮らし方ラブラドールレトリーバーの性格と特徴|歴史・被毛と暮らし方で紹介しています。ゴールデン・レトリーバーでは「GR-PRA」と呼ばれる犬種固有の型が報告されており、詳しくはゴールデンレトリーバーの遺伝病・かかりやすい病気と家系での備えで紹介しています。うちの子の犬種がここに挙げられていない場合でも、犬種特有のリスクとしてPRAが報告されている例は他にも知られているため、気になる場合はかかりつけの獣医師に相談してみるとよいでしょう。

遺伝の仕組み|「キャリア」という考え方

要点: PRAの多くは、両親それぞれから特定の遺伝的な情報を受け継いだ場合に発症しやすくなる遺伝のしかた(常染色体潜性)をとるとされています。

PRAの遺伝のしかたは、病気の種類によって異なりますが、多くのタイプは「常染色体潜性(劣性)」と呼ばれる遺伝のしかたをとるとされています。これは、両親それぞれから同じ情報を受け継いだ場合に発症しやすくなる、というしくみです。

ここで知っておきたいのが「キャリア(保因)」という考え方です。片方の親からのみその情報を受け継いだ場合、その犬自身は発症しない一方で、次の世代にその情報を伝える可能性があるとされています。つまり、見た目や症状が出ていない犬でも、家系の中にその情報を持っている場合があるということです。

キャリアかどうかを知る方法として、遺伝子検査があります。詳しくは後述します。

見えにくさと暮らす|生活環境の工夫と心構え

要点: 見え方の変化はゆっくり進むことが多く、犬は嗅覚や聴覚、記憶を頼りに環境に適応していくとされています。

PRAが進行すると、見え方に変化が生じることがあります。ただし、多くの場合その変化はゆっくりと進むため、犬自身が嗅覚や聴覚、住み慣れた環境の記憶を頼りに適応していくケースが多いと紹介されています。

飼い主としてできる工夫には、次のようなものがあります。

  • 家具の配置をむやみに変えない
  • 段差や角には目印になるものを置く
  • 名前を呼んでから触れるなど、驚かせない接し方を意識する

「見えなくなったらかわいそう」と決めつけるのではなく、その子のペースで環境に慣れていく様子を見守る姿勢が大切です。

遺伝子検査でわかること

要点: 一部のPRA(prcd-PRAなど)は、遺伝子検査でその情報を持っているかどうかを調べられる場合があります。

PRAの中には、原因となる遺伝的な情報がわかっているタイプがあり、「prcd-PRA」と呼ばれるタイプはその代表例として知られています。こうしたタイプは、遺伝子検査によって、その犬が発症に関わる情報を持っているか、キャリアであるか、持っていないかを調べられる場合があります。

検査の種類・費用の目安・結果の読み方については、別記事で詳しく解説予定です。

家系で知る|両親・兄弟の情報という手がかり

要点: PRAはキャリアという形で家系の中に隠れている場合があるため、両親犬・兄弟犬の情報が特に重要な手がかりになります。

PRAは、見た目だけでは発症のリスクを判断しにくい病気です。だからこそ、両親犬や兄弟犬にPRAの発症歴があるかという情報は、うちの子にとって重要な手がかりになります。

  • 両親犬の犬種・体格(わかる範囲で)
  • 両親犬や兄弟犬にPRAの発症歴があるか(わかる範囲で)
  • 生まれた犬舎(うちの子の実家)やお迎え元、誕生日

うちのこ家系図では、わかる範囲の情報から家系図を作れます。健診の際に家系図を見せられる状態にしておくと、獣医師への情報共有がスムーズになります。

よくある質問

Q. PRAは治りますか?

現時点では、進行を止める確立した治療法はないとされています。研究は続けられている領域で、状況は今後変わる可能性があります。日々のケアや環境の工夫を通じて、その子らしく暮らしていけるようサポートすることが基本になります。

Q. 何歳ごろ気づくことが多いですか?

タイプによって発症の時期には幅があるとされています。夜間や薄暗い場所で反応が鈍くなる様子(夜盲症)が気づきのきっかけになることがあると紹介されていますが、進行のスピードには個体差があります。気になる様子があれば獣医師にご相談ください。

Q. 猫にもPRAはありますか?

猫でも網膜の機能が低下する病気は報告されています。犬とは原因となる遺伝的背景が異なる場合が多く、詳しくは獣医師にご相談ください。

まとめ|見え方の変化は、ゆっくり付き合っていくもの

  • PRAは網膜の機能が徐々に低下していく遺伝性の病気とされる
  • プードル系をはじめ複数の犬種で報告されている
  • 多くのタイプは常染色体潜性の遺伝で、「キャリア」が家系に隠れていることがある
  • 見え方の変化はゆっくり進むことが多く、環境の工夫で付き合っていける
  • 遺伝子検査でキャリアかどうかを調べられる場合がある
  • 両親犬・兄弟犬の情報を家系図に残しておくことが備えになる

本記事は参考情報です。病気に関する記述は発症を予測・診断するものではありません。最終判断は獣医師にご相談ください。 記事中のデータは2026年9月1日時点で各公式サイトを確認したものです。

出典・参考

この記事について

内容確認日: 2026-09-01(この日時点の一次情報にもとづいています)

本記事は一般的な参考情報であり、獣医療行為やその代替ではありません。うちの子の体調で気になることがあるときは、かかりつけの獣医師にご相談ください。