犬種と健康

ヨークシャーテリアの遺伝病|気管・肝臓と家系での備え

内容確認日 2026-09-01うちのこ家系図 読みもの

ヨークシャーテリアの遺伝病。気管虚脱・門脈体循環シャントなど報告の多い病気を家系で理解する
目次
  1. 1ヨークシャーテリアと遺伝的にかかりやすいとされる病気の全体像
  2. 2気管虚脱|首への負担を減らすという考え方
  3. 3門脈体循環シャント|生まれつきの血管の走り方の違い
  4. 4レッグ・カルベ・ペルテス病
  5. 5小さな体と低血糖・骨折|暮らしの工夫
  6. 6遺伝子検査という選択肢
  7. 7家系で備える・記録する
  8. 8よくある質問
  9. 9まとめ|体の内側の体質を知っておく

子犬のヨーキーが、食後にぐったりして元気がなくなることがある。ヨーキーに多いと言われる肝臓の病気と関係があるのか、それとも子犬にはよくあることなのか——そんな不安を感じたことはないでしょうか。

先に結論をまとめます。

  • ヨークシャーテリアは、気管虚脱・門脈体循環シャント(生まれつきの血管の走り方の違い)などが報告される犬種とされている
  • 門脈体循環シャントは、食後に症状が目立ちやすいとされる先天的な病気
  • 体が小さいため、低血糖・骨折にも配慮が必要とされる

この記事では、ヨークシャーテリアで報告が多いとされる病気を、一次情報をもとに整理しました。気になる症状がある場合は、自己判断せず獣医師にご相談ください。犬種そのものの歴史や性格、毛色が変わる仕組みについてはヨークシャーテリアの性格と特徴|毛色が変わる犬種で紹介しています。

ヨークシャーテリアと遺伝的にかかりやすいとされる病気の全体像

要点: ヨークシャーテリアでは、気管虚脱・門脈体循環シャント・レッグ・カルベ・ペルテス病などが報告されているとされています。

JKCの犬種標準によると、ヨークシャーテリアの体重は3.2kg以下と定められています(確認日 2026-09-01)。アニコム損保の犬種紹介記事では、タンパク喪失性腸症・前十字靱帯断裂・慢性腎臓病・気管虚脱への注意が挙げられています(確認日 2026-09-01)。この記事では特に、気管まわり・肝臓の血管・股関節という、体の内側に関わる3つの体質について詳しく解説していきます。

気管虚脱|首への負担を減らすという考え方

要点: 気管虚脱は、気管がつぶれて呼吸に影響が出る病気で、ヨークシャーテリアを含む小型犬種で発症しやすいとされています。

アニコム損保の獣医師監修記事によると、気管虚脱は「中年齢以降の小型犬で多くみられ、特にヨークシャー・テリア、トイ・プードル、ポメラニアン、マルチーズなどで発症しやすいことが知られて」おり、原因は「正確にはわかっていません」が遺伝・老化・肥満・環境などが関係していると考えられているとされています(確認日 2026-09-01)。症状が進むと「ガーガーとアヒルが鳴くような音」が呼吸音として聞こえることもあるとされています(確認日 2026-09-01)。

気管への圧迫を減らすという理由から、散歩の道具を首輪ではなくハーネスにするという考え方も紹介されています。うちの子に合うかどうかは体格や普段の呼吸の様子によって変わるため、かかりつけの獣医師と相談して決めてください。ヨークシャーテリアと並んで気管虚脱の報告が多いとされるチワワ・ポメラニアンとの比較、原因の仕組みや家系での備え方といった掘り下げた内容は犬の気管虚脱とは|なりやすい犬種と家系での備えにまとめていますので、あわせてご覧ください。気になる咳・呼吸音がある場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。

門脈体循環シャント|生まれつきの血管の走り方の違い

要点: 門脈体循環シャントは、本来なら肝臓を通るはずの血液が、生まれつき別の経路を通ってしまう血管の病気です。ヨークシャーテリアは報告が多いとされる犬種のひとつです。

「子犬のヨーキーが、食後にぐったりして元気がなくなることがあります。ヨーキーに多いと言われる肝臓の病気と関係があるのか、それとも子犬にはよくあることなのか」——このような相談は少なくありません。

門脈体循環シャント(Portosystemic Shunt)は、本来であれば消化管からの血液が肝臓を通って処理されるところ、生まれつきの血管の走り方によって、血液が肝臓を経由せずに全身へ流れてしまう状態を指します。アメリカ獣医外科学会(ACVS)の解説では、「単一の肝外シャントは典型的には先天性で、小型犬・トイ犬種でより多くみられる」とされ、ヨークシャー・テリア、ミニチュア・シュナウザー、ケアーン・テリア、マルチーズなどが、報告の多い犬種として挙げられています(確認日 2026-09-01)。

症状としては、食欲不振・嘔吐・下痢のほか、行動の異常(ぼんやりする、ふらつく、けいれんなど)が挙げられており、「こうした行動の異常は、しばしば一時的で、食後により目立つことがある」とも説明されています(確認日 2026-09-01)。これは、食後に腸から吸収された物質が、本来なら肝臓で処理されるべきところ、そのまま全身に回ってしまうことと関係していると考えられています。

食後にぐったりする、元気がなくなるといった様子が繰り返し見られる場合は、成長期によくある一時的なものと自己判断せず、早めに動物病院にご相談ください。この病気の診断・治療法については専門的な内容を含むため、将来的に専門記事で改めて詳しく取り上げる予定です。

レッグ・カルベ・ペルテス病

要点: レッグ・カルベ・ペルテス病は、股関節の血流が失われることで起こる、若い小型犬に見られる病気です。

MSD Veterinary Manualの解説では、レッグ・カルベ・ペルテス病は「若い、ミニチュア・小型犬種で見られる」病気とされ、大腿骨への血流が急に失われることで骨の一部が壊れ、後ろ足のびっこ・太ももの筋肉のやせ・股関節を動かしたときの痛みといった症状が現れるとされています。両方の股関節に起こることも多いとされています(確認日 2026-09-01)。

ヨークシャーテリアのようなトイ犬種でも報告されることがある病気ですが、詳しい診断・治療の選択肢については専門的な内容を含むため、こちらも将来的に専門記事で詳しく取り上げる予定です。後ろ足を痛がる様子や、片足を上げて歩く様子が続く場合は、自己判断せず獣医師にご相談ください。

小さな体と低血糖・骨折|暮らしの工夫

要点: 体が小さい犬種のため、特に子犬期は低血糖に、成長後は骨折に配慮が必要とされています。

ヨークシャーテリアのような超小型犬種は、体が小さいぶんエネルギーの蓄えも少なく、特に子犬期は食事の間隔が空くと低血糖を起こしやすいとされています。この点は子犬お迎え初日の過ごし方と「残しておきたい記録」でも詳しく触れています。

また、骨が細く華奢な体格のため、ソファやベッドからの飛び降り、抱っこの際の落下などが骨折につながることがあるとされています。段差への配慮や抱っこの仕方は、どこまで対策するのが適当かがその子によって変わる部分です。気になる場合は、獣医師に相談しながら決めるのが確実です。体重の推移・成長曲線を記録しておくと、骨格の変化にも気づきやすくなります。月齢ごとの目安・記録のしかたはヨークシャーテリアの体重推移と成長曲線|月齢別の目安と記録で紹介しています。

遺伝子検査という選択肢

要点: ヨークシャーテリアを含む犬種向けに、複数の病気をまとめて調べる遺伝子検査のセットが提供されていることがあります。

門脈体循環シャントやレッグ・カルベ・ペルテス病のように、生まれつきの体質が関わるとされる病気については、犬種別にまとめられた遺伝子検査のセットが提供されていることがあります。検査でわかること・わからないこと、費用の目安、受ける前に知っておきたいポイントについては犬の遺伝子検査ガイド|種類・費用・何がわかるかで中立に解説していますので、検討する際はあわせてご覧ください。

家系で備える・記録する

要点: 両親・兄弟の健康情報と、日々の記録が、体調の変化に気づく手がかりになります。

門脈体循環シャントのような生まれつきの体質は、両親犬・兄弟犬に同じような報告がなかったかという情報が、間接的な手がかりになることがあります。もし同じ両親から生まれた兄弟犬が見つかれば、健康情報を共有し合えるかもしれません。

うちのこ家系図では、血統書の写真から読み取った内容を確認して家系図に残せます。健康手帳には、食後の様子や体重の変化を書き留めておける機能もあります。無料・登録不要で試せます。

よくある質問

Q. 毛色が変わってきたのは病気ですか?

ヨークシャーテリアは、成長にともなって毛色の色調が変化することが犬種の特徴として知られています。毛色の変化そのものの仕組みはヨークシャーテリアの性格と特徴|毛色が変わる犬種で、毛色の変化と健康の関係については犬の毛色と健康の関係|マール・ダップル・希釈カラーで詳しく解説しています。

Q. うちの子はヨープー・ヨーチーです。参考になりますか?

はい、参考になります。ヨークシャーテリアを片方の親に持つミックス犬は、体質面でヨークシャーテリアの傾向を受け継ぐ可能性があります。ヨープーについてはヨープーの性格と特徴|サイズ・毛色の変化と健康で、ヨーチーについてはヨーチーの性格と特徴|サイズ・毛色の変化と両親系統の健康で、それぞれ両親系統から見た健康の考え方を詳しく紹介しています。

Q. ヨークシャーテリアの寿命はどのくらいですか?

アニコム損保の「家庭どうぶつ白書2023」によると、2021年時点でのヨークシャーテリアの平均寿命は14.0歳です。犬全体の平均は14.2歳とされ、ほぼ同等の水準とされています(確認日 2026-09-01)。あくまで平均値であり、個体差があります。

まとめ|体の内側の体質を知っておく

  • ヨークシャーテリアでは気管虚脱・門脈体循環シャント・レッグ・カルベ・ペルテス病などが報告されている
  • 門脈体循環シャントは、食後に症状が目立ちやすいとされる先天的な血管の病気
  • 体が小さいため、子犬期の低血糖・成長後の骨折にも配慮が必要
  • 遺伝子検査という選択肢、両親・兄弟の情報、日々の記録が備えになる

体の内側で起きていることは、外から見えにくいからこそ、日々の小さな変化に気づく目と、家系の情報が役に立ちます。うちの子の記録を、家系図という形でも残してみませんか。


本記事は参考情報です。病気に関する記述は発症を予測・診断するものではありません。最終判断は獣医師にご相談ください。 記事中のデータは2026年9月1日時点で各公式サイトを確認したものです。

出典・参考

この記事について

内容確認日: 2026-09-01(この日時点の一次情報にもとづいています)

本記事は一般的な参考情報であり、獣医療行為やその代替ではありません。うちの子の体調で気になることがあるときは、かかりつけの獣医師にご相談ください。