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犬の分離不安症とは?見られる様子と、留守番中の記録のつけ方

公開 /更新 /2026 年 10 月時点の情報書いた人・確かめた人:うちのこ家系図 編集部

うちの子の家系図を撮ってはじめる
イラスト:明るい玄関で、出かける前の女性が棚にスマホを立て、足元からミニチュア・ダックスフンドが見上げている
目次
  1. 1犬の分離不安症とは?
  2. 2研究で調べられた要因
  3. 3留守番中の記録のつけ方
  4. 4治療の種類と、行動の診療に相談する目安
  5. 5よくある質問
  6. 6分離不安症かどうかは記録から。留守番中の様子を動画と時刻で残して相談しよう

犬の分離不安症は、ひとりにされた時にパニックになる状態だと説明されています(MSD獣医マニュアル)。

強い不安から、吠える・うろうろする・家の中で排せつすることがあります(MSD)。分離不安症かどうかは獣医師が診て決め、そのために留守番中の動画が役に立ちます(MSD)。この記事では、見られる様子、研究で調べられた要因、動画と時刻の記録のつけ方を書きます。

犬の分離不安症とは?

分離不安症は、人がいない時や、いなくなると感じた時に出る、恐怖や不安と定義されています(MSD獣医マニュアル)。

獣医学の資料では「分離不安」と呼ばれます(荒田 2017)。この記事では、調べる時によく使われる「分離不安症」と書きます。

出典が挙げる、分離不安症で見られる様子

見られる様子くわしく
壊すとくに出入り口や、飼い主の持ち物。閉じこめられた犬は、飼い主のところへ行こうとして、ケージ・壁・ドアを壊すこともよくある
不安そうに鳴く・吠えるひとりにされた時の強い不安から
家の中での排せつ体の病気でも、家の中で排せつすることがある
よだれ—
うろうろする・落ち着かない—
食べない—
同じ動きを繰り返す—

出典:MSD Veterinary Manual『Behavior Problems in Dogs』(2026)、『Behavior Problems of Dogs』(2025)

「—」は、参考にした頁に、くわしい説明がない所です。

ほかの原因でも、同じような様子は出ます。トイレの習慣がまだ身についていない、探索や遊び、外の音や刺激、音を嫌うこと、閉じこめられる不安などです。分離不安症の診断には、こうした原因を除く必要があります(MSD)。

獣医師は、行動が変わる原因になる体の病気が無いかも、まず調べます(MSD)。

迎えたばかりの子犬が、ひとりになると鳴くことと、分離不安症との違いを分けて書いた資料は、確かめた中にありません。Dale ほかの研究が調べたのは、6か月齢の犬です(Dale ほか 2024)。迎えた直後の鳴きは、この記事では分離不安症と決めません。鳴きが続く時は、動画と時刻を持って獣医師に相談します。

家の中で家族の後をついて回るなど、くっつきたがる犬が、そうでない犬より分離不安症になりやすいわけではありません(MSD)。

参考:MSD『Behavior Problems in Dogs』飼い主向け(2026)、同『Diagnosing Behavior Problems in Dogs』(2026)、同『Behavior Problems of Dogs』専門家向け(2025)、荒田明香『犬における問題行動』動物臨床医学(2017)

研究で調べられた要因

研究では、飼い主と離れた時に出る行動と、子犬の頃の過ごし方(Dale ほか 2024)や、ひとりの時間の変化(Harvey ほか 2022)との関連が調べられています。

研究では、飼い主と離れた時に出る行動を数えて、関連のある要因を探しています。次の表は、2本の研究の整理です。

研究2本が調べた要因と、分かったこと(関連)

研究国頭数・年齢調べた要因分かったこと(関連)
Dale ほか 2024英国・アイルランド145頭・6か月齢生後16週までの夜の過ごし方・睡眠・トイレの習慣・ほうび・叱り方、帰宅時の応じ方夜に囲った場所で過ごし、9時間以上眠っていた子で少なかった。トイレの習慣が進んでいない・おやつなどをほうびにした・罰を使った・帰宅時にかまった飼い主の子で多かった。犬種・性別は関連なし
Harvey ほか 2022英国1,807頭・12か月齢以上2020年の外出制限の前後の、ひとりの時間の変化離れた時の行動が見られる割合は22.1%から17.2%に下がった。新しく出たのは9.9%で、ひとりの時間がいちばん減った犬で多かった。以前あった犬の55.7%で見られなくなった。性別・去勢の有無は関連なし

出典:Dale ほか, Animal Welfare(2024年)、Harvey ほか, Animals(2022年)。どちらも飼い主の回答による

9.9%は、2月に離れた時の行動が無く、10月にひとりの時間があった1,187頭のうち117頭です。55.7%は、2月にあり、10月にひとりの時間があった323頭のうち180頭です(Harvey ほか 2022)。

Dale ほかの研究では、145頭のうち68頭(46.9%)で、研究の定義による離れた時の行動が見られました(Dale ほか 2024)。分離不安症と診断された割合ではありません。

この研究は、関連を探った相関の研究です。予防になるかどうかは、介入の研究で確かめる必要があると、著者は書いています。結果は6か月齢の、見て分かる行動だけに当てはまり、読みすぎに注意が要るとされています(Dale ほか 2024)。

「関連がある」と「原因である」は別です。傘と雨にたとえると、雨の日に傘を持つ人が多くても、傘が雨を降らせるわけではありません。

Harvey ほかの調査は、飼い主の回答による行動の有無で、臨床の診断ではありません。新しく出たことを、調べた要因で説明できた部分は小さく、ほかの要因が大きいと考えられています(Harvey ほか 2022)。

参考:Dale ほか『Canine separation-related behaviour at six months of age』Animal Welfare(2024)、Harvey ほか『Impact of Changes in Time Left Alone on Separation-Related Behaviour in UK Pet Dogs』Animals(2022)

留守番中の記録のつけ方

留守番中の記録は、出かけた時刻と、動画の時刻、その時の犬の様子を対にして書きます。

獣医師は、診断の前に、行動の経過を聞き取ります。次のようなことを聞かれます(MSD獣医マニュアル)。

  • 実際の行動の説明
  • 困っている行動の頻度(時間ごと・日ごと・週ごと・月ごと)
  • よくある1回の長さ(秒・分・時間)
  • 起こり方・頻度・強さ・長さの変化
  • 犬と飼い主の1日24時間の予定と、日ごとの変化

獣医師は、犬の家族の経過(親やきょうだいに似た様子があるか)も聞きます(MSD)。ただ、恐怖や不安の問題行動では、犬種や血統、性別による明らかな違いは報告されていません(荒田 2017)。

留守番中は、飼い主が見ていません。吠える・鳴く・うろうろする様子は、近所の人に聞くか、録画やライブ配信で見ないと気づきにくいとされています(Harvey ほか 2022)。

動画は、ほかの不安の様子や、別の診断につながるきっかけを見るのにも役立ちます(MSD)。質問票は飼い主の説明に頼るので主観が入りやすいものの、動画と組み合わせると診断に使えます(MSD)。

日本の獣医学の資料も、客観的に評価するために、行動が出る頻度や程度を記録してもらうとよいとしています(久世 2019)。

様子は多くの場合、飼い主が出て15〜30分以内に出ます。出かける準備(靴をはく・鍵を取る・ドアへ行く)の時から出る犬も多いとされています(MSD)。鳴くのは早い時間に多く、うろうろや外を気にするのは後になって目立つ、と観察されています(MSD)。

時刻を書くのは、ストップウォッチで測るようなものです。出かけた時から数えて何分後かが分かると、様子の移り変わりが見えます。

飼い主が帰ると、迎え方が大げさになり、落ち着くのに時間がかかることが多いとされています(MSD)。

特定の家族と離れると、ほかの人がいても落ち着かない犬もいれば、誰もいない時だけ不安になる犬もいます。ひとりの時に雷などの怖い経験をして起こることもあり、音を怖がる問題と一緒に見られることが多いとされています(MSD)。そのため、家にいた人と、天気や大きな音も書いておきます。

留守番中の記録の見本(記入例は架空)

日付・出かけた時刻動画の時刻犬の様子帰った時の様子家にいた人・天気や音
10/24 9:009:05玄関の前でうろうろして鳴く14:30。しっぽを振って飛びついた。落ち着くまで数分家族は全員外出。晴れ
10/25 9:109:12・9:409:12 は玄関マットを引っかく。9:40 は床に排せつ15:00。ずっと足元にいた家族は全員外出。雨
10/26 13:0013:20よだれを垂らして落ち着かない16:00。いつも通りに迎えた家族1人が在宅。工事の音あり
( / )
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上の3行は、書き方を見せるための架空の記入例で、実際の犬の様子ではありません。

記録の手順は、次の5つです。

  1. 出かける時刻と、出かける準備の時の犬の様子を書く。
  2. 留守番中の様子を、動画に撮っておく。
  3. 帰ったら動画を見て、時刻と犬の様子を対にして書く。声・排せつ・壊した物・よだれも書く。
  4. 帰った時の犬の様子と、家にいた人・天気や大きな音を書く。
  5. 何日か続け、動画と記録を動物病院に見せる。

行動の診断は、1回の出来事ではできません。通うたびに様子の型を書き足していくと、獣医師が全体を見やすくなります(MSD)。

治療が始まってからも、動画やカメラは、治療の効き目を見るのに使われます(MSD)。記録全般の書き方は、犬・猫の健康手帳とは|何を書く?紙とアプリの選び方にまとめています。

参考:MSD『Diagnosing Behavior Problems in Dogs』飼い主向け(2026)、同『Behavior Problems of Dogs』専門家向け(2025)、久世(荒田)明香『柴犬に多くみられる問題行動』動物臨床医学(2019)、荒田明香『犬における問題行動』動物臨床医学(2017)、Harvey ほか『Impact of Changes in Time Left Alone on Separation-Related Behaviour in UK Pet Dogs』Animals(2022)

治療の種類と、行動の診療に相談する目安

分離不安症の治療には、環境の調整や行動修正法などの種類があります(荒田 2017)。獣医師が薬を出すこともあります(MSD獣医マニュアル)。

環境の調整は、犬の暮らしの環境を整えること。行動修正法は、行動を少しずつ変えていく取り組みです。分離不安症の治療に使われる薬には、行動修正と組み合わせると様子を減らす効果が示された物があります(MSD)。

行動の治療には、時間と飼い主の手間がかかります。すぐ効く方法や、魔法の薬はありません(MSD)。段階的な練習を使う行動修正は、終わるまで数か月かかることがあります(MSD)。

専門家向けのMSD獣医マニュアルが、分離不安症の治療に挙げている行動修正などの中身は、次のとおりです。飼い主向けの頁には、この中身はありません。

  • ひとりにする回数を、できるだけ減らします。ひとりが重なると、犬がさらに敏感になり、治療が難しくなるためです。犬の保育園(デイケア)やペットシッターが役立つこともあります。
  • 年齢と犬種に合った環境を、遊びと運動の決まった日課で整えます。
  • ほうびを使うトレーニングを、ふだんから続けます。犬との意思疎通が増え、暮らしの先が読みやすくなります。
  • 軽い場合は、決まった場所で落ち着く練習が合うことがあります。出かける準備の時にその場所へ連れて行き、食べ物・噛む物・おもちゃを与え、帰ったら片づけます。
  • 中くらいから重い場合は、短い留守番の練習を毎日、少しずつ長くします。不安が出ない短さから始め、動画で犬の様子を確かめます。

どの方法が合うかは、診断と見通しをもとに、行動の診療で決めます(MSD)。

行動の問題の多くは、体の病気の影響を受けることがあります。いちばん広く診られるのは獣医師で、行動の診療に詳しい獣医師もいます(MSD)。痛みも、行動の問題の大事な要因です(MSD)。

次のような様子がある時は、記録を持って獣医師に相談してください。

  • 食べない
  • 自分の体を傷つける
  • 吐く
  • 痛がる様子がある

病名の判断と治療は、獣医師に任せます。

参考:荒田明香『犬における問題行動』動物臨床医学(2017)、MSD『Diagnosing Behavior Problems in Dogs』飼い主向け(2026)、同『Behavior Problems of Dogs』専門家向け(2025)、Harvey ほか『Impact of Changes in Time Left Alone on Separation-Related Behaviour in UK Pet Dogs』Animals(2022)

よくある質問

Q. 犬の分離不安症では、どんな様子が見られますか?

吠える・うろうろする・家の中で排せつするなどが、MSD獣医マニュアルに挙がっています。分離不安症かどうかは、獣医師が診て決めます。

Q. 犬の分離不安症の治療には、どんな種類がありますか?

環境の調整や行動修正法などの種類があり、獣医師が薬を出すこともあります。段階的な練習は、数か月かかることがあります。

Q. 迎えたばかりの子犬が鳴くのは、分離不安症ですか?

迎えた直後の鳴きと分離不安症を分けて書いた資料は、確かめた中にありません。鳴きが続く時は、動画と時刻を持って獣医師に相談します。

Q. 留守番中の記録には、何を書きますか?

出かけた時刻、動画の時刻、犬の様子、帰った時の様子、家にいた人と天気や大きな音を、対にして書きます。

分離不安症かどうかは記録から。留守番中の様子を動画と時刻で残して相談しよう

分離不安症かどうかは、様子の一覧では決まらず、獣医師が診て決めます。ほかの原因でも同じような様子は出るので、まず体の病気や別の原因が無いかも調べてもらいます。

そのために、留守番中の様子を動画で撮り、出かけた時刻と動画の時刻を対にして何日か書き残し、その記録を持って相談しましょう。

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体重は、写真と一緒に 1 回で記録

4.0kg3.0kg2.0kg1.0kg0.0kg3.2kg8月3.3kg9月3.4kg10月
トイ・プードルのココ

画面はイメージです(架空の子の見本)。

出典・参考

この記事について

内容確認日: 2026-10-24。一般的な参考情報で、獣医療行為の代わりではありません。

この記事を書いた人

うちのこ家系図 編集部

編集部の運営者は、実家がブリーダー(犬猫の繁殖)で、出産などの手伝いもしていました。元ペットショップ店長で、2026年9月時点で犬を3頭飼っています。

  • 血統書・犬猫の健康・暮らしの手続きを、公的機関や登録団体の資料にあたって書いています。
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