犬種と健康

犬の水頭症|報告が多いとされる犬種と、家系で知っておくこと

内容確認日 2026-09-04うちのこ家系図 読みもの

柵のある庭で飼い主に抱かれる小型犬。水頭症は特定の犬種だけの病気ではないことと、家系で知っておきたいこと
目次
  1. 1結論|水頭症は特定の犬種だけの病気ではない
  2. 2水頭症とは|脳脊髄液がたまる状態
  3. 3原因と流れ方による区分|先天性と後天性、交通性と非交通性
  4. 4報告が多いとされる犬種
  5. 5遺伝との関係で言われていること
  6. 6家系で知っておくこと
  7. 7よくある質問
  8. 8まとめ|チワワだけの病気ではない

水頭症というと、チワワの病気というイメージを持つ方が多いかもしれません。実際にはトイ種や短頭種を中心に、複数の犬種で報告されている状態です。

この記事では、MSD獣医マニュアル(Merck Veterinary Manual)をもとに、水頭症とはどういう状態か、先天性と後天性という区分、報告が多いとされる犬種の広がりを整理し、家系で知っておきたいことを紹介します。治療・手術・薬の話には踏み込みません。

結論|水頭症は特定の犬種だけの病気ではない

リビングの床で飼い主の足元に伏せる白と茶のイングリッシュ・ブルドッグと、背中に手を置いて座る男性

要点: 水頭症は、トイ種・短頭種を中心に複数の犬種で報告されている状態です。チワワに限った病気ではなく、パグやブルドッグ、ブル・マスティフといった犬種名も並んで紹介されています。

MSD獣医マニュアルは、水頭症が子犬でめずらしくない状態であり、特にトイ種や短頭種、たとえばパグ、ブルドッグ、ブル・マスティフといった犬種で見られると紹介しています(MSD Veterinary Manual「Congenital and Inherited Disorders of the Nervous System in Dogs」・確認日 2026-09-04)。チワワの話題としてよく語られますが、報告の広がりはチワワだけにとどまりません。

水頭症とは|脳脊髄液がたまる状態

要点: 水頭症は、脳の周囲や内部を満たす脳脊髄液が通常より多くたまり、脳に圧力がかかる状態を指します。専門家向けの資料では、脳室が完全な上衣(内壁)の構造を保っているかどうかで、別の状態と区別されています。

MSD獣医マニュアルは、水頭症を「脳脊髄液の過剰によって脳に圧力がかかる状態で、大脳に損傷を与えることがある」状態として紹介しています(MSD Veterinary Manual「Congenital and Inherited Disorders of the Nervous System in Dogs」・確認日 2026-09-04)。専門家向けの資料では、脳室が完全な上衣(内壁)の構造を保っている点で、別の先天性の脳の状態(脳の実質そのものが欠けている状態)とは区別されるとも説明されています(MSD Veterinary Manual「Congenital and Inherited Cerebral Disorders in Small Animals」・確認日 2026-09-04)。

原因と流れ方による区分|先天性と後天性、交通性と非交通性

要点: 水頭症には、生まれつきの奇形によるものと、生まれたあとの出来事による二次的なもの、そして原因が特定できないものがあるとされています。これとは別の軸として、脳脊髄液の流れ方によって「交通性(非閉塞性)」と「非交通性(閉塞性)」に分けて説明されることもあります。いずれも原因を一律に断定できるものではありません。

まず、生まれつきか、生まれたあとかという区分があります。犬と猫の水頭症を扱った獣医領域の総説は、先天性の内水頭症が犬猫でよくみられる奇形であるとしたうえで、内水頭症はもともと多様な病態を含んでおり、原因としては嚢胞・中脳水道の狭窄・脳室中隔といった生まれつきの脳の奇形のほかに、脳室内出血・頭蓋内腫瘍・感染症といった二次的なものが挙げられると述べています。そのうえで、多くの症例では原因が特定できないままである(特発性水頭症)とも記しています(Schmidt MJ, Farke D. Frontiers in Veterinary Science 2024;11:1435982・確認日 2026-09-04)。これらは「原因として挙げられているもの」の紹介であり、うちの子に当てはめて考えるためのものではありません。

もうひとつ、脳脊髄液がどう流れているかという別の軸の区分もあります。専門家向けの資料では、水頭症を、脳脊髄液がくも膜下腔へ自由に流れる「交通性(非閉塞性)」と、流れが妨げられる「非交通性(閉塞性)」に分けて説明しています(MSD Veterinary Manual「Congenital and Inherited Cerebral Disorders in Small Animals」・確認日 2026-09-04)。非交通性の原因として、中脳水道の閉鎖、周産期の脳炎、出生時の脳室内出血による癒着などが知られているとも紹介されています(同上)。これらは「原因になりうるとされているもの」の紹介であり、うちの子の状態を診断・断定するものではありません。

報告が多いとされる犬種

ラグに並んで座るフォーンのパグと大型のブル・マスティフ、後ろに座る女性

要点: MSD獣医マニュアルは、水頭症がトイ種・短頭種で特に見られるとし、パグ、ブルドッグ、ブル・マスティフを例として挙げています。チワワについては別の記事で詳しく扱っています。

MSD獣医マニュアルが挙げる犬種の例には、パグ、ブルドッグ、ブル・マスティフが含まれます(同上)。当サイトでは、パグの遺伝病・かかりやすい病気と家系での備えでもこの犬種の健康面について紹介しています。ペキニーズのような短頭種についても、ペキニーズのかかりやすい病気と遺伝病で健康面を扱っています。

チワワについては、頭の形(アップルヘッド)や泉門開存との関連を含め、チワワの水頭症・パテラ|家系で見抜く病気で詳しく解説しています。この記事ではチワワを主な例とはせず、犬種の広がりの中の1例として位置づけています。短頭種の暮らし方そのもの(呼吸のしやすさ等)は水頭症とは別の話で、短頭種気道症候群とは|なりやすい犬種と家系での備えにまとめています。

遺伝との関係で言われていること

窓辺のラグで寄り添って座る同じ毛色のヨークシャー・テリアの成犬と子犬、少し離れて座る女性

要点: 水頭症のすべてが遺伝性というわけではありません。先天性のものには遺伝的な要因が関わっているとする資料もありますが、仕組みのすべてが解明されているわけではなく、この記事では断定しません。

区分のところで見たとおり、水頭症には生まれつきのものと、生まれたあとの出来事によるものがあります。このうち先天性の水頭症には遺伝的な要因が関わっているとする資料もありますが、原因の仕組みがすべて解明されているわけではありません。この記事では、「遺伝病」と一律に断定することはせず、報告されている犬種の広がりを紹介するにとどめます。

家系で知っておくこと

ソファでタブレットの家系図の図を見る男性と、隣のクッションに座るヨークシャー・テリア

要点: 水頭症は、うちの子1頭を見ただけで発症の有無を予測できるものではありません。兄弟犬の診断歴や、両親犬に関する情報は、記録として残しておく価値のある手がかりです。

もし兄弟犬が水頭症と診断されたと実家(お迎え元)から連絡を受けた場合、うちの子がすぐに同じ状態になるという意味ではありません。ただし、そうした情報は「知っておくと役立つかもしれない」手がかりのひとつです。「うちの子も危ないかもしれない」と不安を先取りするのではなく、健診の際に伝えられるように記録しておく、という受け止め方が現実的です。

  • 両親犬・兄弟犬の犬種・体格(わかる範囲で)
  • 兄弟犬について、実家(お迎え元)から聞いている健康の情報(わかる範囲で)
  • 生まれた犬舎(うちの子の実家)やお迎え元、誕生日

うちのこ家系図では、血統書があってもなくても、わかる範囲の情報から家系図を作れます。

よくある質問

Q. 頭のてっぺんが柔らかいのですが、水頭症でしょうか?

泉門と水頭症の関係は、チワワの文脈でチワワの水頭症・パテラ|家系で見抜く病気にまとめています。気になる様子があれば、自己判断せず獣医師にご相談ください。

Q. 治療はどうすればいいですか?

治療の方針は、うちの子の状態を見ている獣医師が判断する領域です。この記事では扱いません。

Q. 検査は受けたほうがいいですか?

検査の要否や種類は獣医師と相談する事項です。遺伝子検査全般の一般論は犬の遺伝子検査ガイド|種類・費用・何がわかるかを参考にしてください。

まとめ|チワワだけの病気ではない

  • 水頭症は脳脊髄液がたまり脳に圧力がかかる状態で、トイ種・短頭種を中心に複数の犬種で報告されている
  • 生まれつきのもの・生まれたあとの二次的なもの・原因が特定できないものがあり、これとは別に交通性(非閉塞性)/非交通性(閉塞性)という流れ方の区分もある
  • パグ、ブルドッグ、ブル・マスティフなどが例として挙げられ、チワワはそのうちの1例
  • 遺伝的な要因が関わるとする資料もあるが、断定はできない
  • 兄弟犬・両親犬の情報を記録として残しておくことが、健診での相談の手がかりになる

「チワワの病気」というイメージだけで捉えず、報告のある犬種の広がりと、家系の記録という2つの視点を持っておくことが、この病気との向き合い方の土台になります。


本記事は参考情報です。この記事は病気の診断・治療方針を示すものではありません。気になる様子があれば、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。 記事中のデータは2026年9月4日時点でMSD獣医マニュアルの各ページを確認したものです。

出典・参考

この記事について

内容確認日: 2026-09-04(この日時点の一次情報にもとづいています)

本記事は一般的な参考情報であり、獣医療行為やその代替ではありません。うちの子の体調で気になることがあるときは、かかりつけの獣医師にご相談ください。