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犬の体温|平熱の目安が資料で違うわけと、鼻を触って分かるか

うちのこ家系図 編集部・更新 ・内容確認日 2026-10-02

うちの子の家系図を撮ってはじめる
河川敷の土手の道を、飼い主と並んで歩く茶色の雑種犬
目次
  1. 1結論|犬の平熱は、資料によって幅が少しずつ違う
  2. 2なぜ幅が違う?|少ない頭数で決められてきた目安と、9,782頭の記録
  3. 3体温は犬ごとにも、同じ犬の中でも違う|体の大きさ、1日の時間、興奮や運動
  4. 4鼻を触って、体温は分かる?|救急に来た100頭の研究
  5. 5耳や脇の値と直腸の値|動物病院で標準とされるのは直腸
  6. 6動物病院で聞いた体温は、その日の様子と一緒にメモしておく
  7. 7よくある質問
  8. 8まとめ|平熱は1つの数字ではなく、幅と条件で覚える

うちの子の平熱は、何度くらいなのでしょう。調べてみると、資料ごとに書かれた幅が少しずつ違って、戸惑うことがあります。

この記事は、その違いの話です。獣医学の表と、動物病院に来た犬9,782頭の記録を使った2024年の研究から、幅が違うわけを書きます。同じ犬でも体温が動くことと、鼻を触って体温が分かるのかも紹介します。

結論|犬の平熱は、資料によって幅が少しずつ違う

明るい廊下でお座りして、こちらを見るコーギー

要点: 獣医師向けのMerck獣医マニュアルの表では、直腸で測った犬の平熱は37.5〜39.2℃です。2024年の研究が教科書を引いて紹介している、健康な犬の直腸の温度は37.9〜39.9℃です。資料によって、幅は少しずつ違います。

1つ目は、獣医師向けのMerck獣医マニュアルの表です。動物の種類ごとに、直腸で測った平熱の幅を並べていて、犬の行は37.5〜39.2℃(99.5〜102.5℉)です。表の注には、もとにした本として、獣医学の生理学の教科書(2004年)が挙がっています。

2つ目は、2024年に発表された研究(Dorn ほか)の序論にある幅です。研究は、健康な犬の直腸の温度は37.9〜39.9℃と報告されている、と教科書(2015年)を引いて書いています。そのうえで、この幅がどう決められたのかははっきりしない、とも書いています。

3つ目は、Merckの飼い主向けの表です。

資料どんな値か幅
Merck獣医マニュアル(獣医師向けの参考値の表)直腸で測った犬の平熱37.5〜39.2℃
2024年の研究が教科書(2015年)を引いて紹介した値健康な犬の直腸の温度37.9〜39.9℃
Merck獣医マニュアル(飼い主向けの表)体温(平均)の欄。測った場所の記載なし38.3〜39.2℃

飼い主向けの表(Normal Physiological Values for Dogs)には、どこで測った値かが書かれていません。

この記事は、どの幅が正しいかを決めるものではありません。

なぜ幅が違う?|少ない頭数で決められてきた目安と、9,782頭の記録

動物病院の待合で、飼い主の足もとに座って待つ白い犬

要点: 当サイトの読みでは、資料ごとに、もとにした犬や教科書の版が違います。2024年の研究は、獣医学の参考の幅は、比較的少ない数の、健康で若い動物をもとに作られることが多い、と書いています。この研究は、動物病院に来た1歳以上の犬の記録(9,782頭・病気の犬も含む)から、直腸の温度の平均を38.6℃、幅を37.7〜39.5℃と計算しました。

2024年の研究は、要旨で、たくさんの犬をもとに直腸の温度の参考の幅を決めた研究は無い、と書いています。序論では、獣医学の参考の幅は、比較的少ない数の、健康で若い動物をもとに作られることが多い、とも書いています。そのため、犬の直腸の温度の研究も、ふつう、主に健康な犬を少ない頭数で調べたものだ、と続けています。

考察では、獣医学の教科書や発表された報告は、平熱の幅をまちまちに示していて、合わせると37.5〜39.9℃に広がる、と書いています。研究自身の結果は、その範囲と矛盾しない、とのことです。

当サイトで2つの出典の注を見比べると、同じ書名の教科書がもとになっていました。Merckの表の注は、2004年の版(第12版)です。2024年の研究が、健康な犬の直腸の温度として37.9〜39.9℃を紹介したときに引いたのは、2015年の教科書です。教科書そのものは開いていません。

2024年の研究が使ったのは、ドイツの大学の小動物病院に来た犬の診療記録です。2008年からの記録のうち、1歳以上の犬9,782頭の値(1頭につき1回分)を使いました。来た理由・健康かどうか・病名・時間帯・季節・食事では、犬を外していません。外れ値を除いて計算した結果が、直腸の温度の平均38.6℃、参考の幅37.7〜39.5℃です。

つまり、これは「健康な犬の平熱」ではなく、「動物病院に来た1歳以上の犬の記録から出した幅」です。

研究は、限界も書いています。犬は1日のいろいろな時間に診察され、一部は緊張する状況でした。ただ、それは動物病院に来る犬のふだんの姿でもある、とも書いています。ほかに、結果が地域・気候・動物病院ごとの診療のしかたの影響を受けている可能性と、体温計が複数の種類で、校正していなかったことも挙げています。

当サイトの読みでは、資料ごとに幅が違う背景には、もとにした犬(健康な犬か、動物病院に来た犬か)や、もとにした教科書の版の違いがあります。どの違いが幅にどれだけ効いているのかは、この記事では分けられません。

体温は犬ごとにも、同じ犬の中でも違う|体の大きさ、1日の時間、興奮や運動

階段の下に腰かける飼い主のそばで、並んで伏せる大きな犬と小さな犬

要点: 体の大きい犬は、小さい犬より直腸の温度が低かった、と2011年の研究が報告しています(抄録)。メスのビーグル7頭の2003年の研究では、1日の上下の幅は約0.5℃でした。

体の大きさでは、2011年の研究(Piccione ほか)が、体の大きさが大きく違う、いろいろな犬種の287頭などで直腸の温度を測りました。この研究は、体の大きさによる違いも報告しています。大きい犬は、小さい犬より直腸の温度が低かった、という内容です。確かめたのは抄録の範囲で、差の大きさは抄録に書かれていません。

1日の中の動きは、2003年の研究(Refinetti ほか)が調べています。それまでの研究では、犬の体温の1日のリズムは見つかっていませんでした。この研究は、イタリアの大学で飼われていたメスのビーグル7頭(平均10kg)で、リズムを記録できたと報告しました。明かりが朝6時から夕方6時までつき、室温を一定に保った部屋での調べです。

この研究では、明かりがついている間に体温がとてもゆっくり上がり、毎日、明かりが消える時刻に1日でいちばん高くなりました。上下の幅は、平均で約0.5℃です。1日の中での体温の上がりは、食事で起きたものではなかった、と研究は書いています。

明かりと室温をそろえた部屋の、メスのビーグル7頭の結果です。どの犬でも同じ時刻に高くなる、という意味ではありません。

興奮や運動も関わります。2024年の研究は、考察で、ほかの文献を引いて、興奮・ストレス・食事・運動で体温が上がりうることはよく知られている、と書いています。

数字ひとつでは、うちの子の具合は分かりません。数字が普段どおりでも、様子に違和感があれば、動物病院に聞いてください。

鼻を触って、体温は分かる?|救急に来た100頭の研究

ウッドデッキで、いすに座る飼い主の横に座る柴犬

要点: 救急の動物病院に来た犬100頭の研究では、カメラで測った鼻の温度と、直腸の温度に関係は見られませんでした。触った感じで鼻の温かさは分けられても、それで直腸の温度は予測できない、と結論づけています。

2021年の研究(Kennedy ほか)は、序論で、飼い主は鼻の温度で犬の健康が分かると思うことがある、と書いています。この研究は、救急で動物病院に来た犬100頭で、鼻を触った感じを、温かい・どちらでもない・冷たいの3つに分けました。そして、サーモグラフィーのカメラで測った鼻の温度、直腸の温度と比べています。

結果は、触って鼻の温かさを分けることはできたものの、カメラで測った鼻の温度と、直腸の温度には関係が見られませんでした。研究は、触った感じで鼻の温かさは分けられても、それで直腸の温度を予測することはできない、と結論づけています。直腸で測ることがすぐできる、動物病院の中での研究でした。

鼻を触って体温を判断せず、気になるときは、かかりつけの動物病院へ。

耳や脇の値と直腸の値|動物病院で標準とされるのは直腸

動物病院の入口へ向かって、飼い主と歩くビーグル

要点: 24の研究をまとめた2019年の総説は、動物病院などの診療の場では、直腸で測る方法が今も標準だと書いています。脇・耳・目で測った値は直腸の値と強い相関を示さない、とも結論づけています。

2019年の総説(Kahng と Brundage)は、診療の場では、直腸で測る方法が今も体温を測る標準だ、と書いています。ただ、時間がかかる、測りにくい、犬の負担になる、安全面の心配がある、といった欠点も多い、とも書いています。

測り方は、かかりつけの動物病院で教わってください。

耳については、人の耳の体温計は、犬の耳の穴ではうまく働かない、と総説がほかの研究を引いて書いています。理由は、犬の耳の穴が人の耳と違って下向きに曲がっているため、としています。

耳と直腸の値を、犬で比べた研究もあります。2011年の研究(Sousa ほか)は、健康な成犬88頭で、人用に作られた耳の体温計と、直腸で測る体温計を比べました。考察では、耳と直腸の値は同じものとして読まず、それぞれ、その場所の基準の幅と比べて読むべきだ、と書いています。

脇の値は、2015年の研究(Mathis ほか)が調べています。動物の診療では、直腸と脇の温度の差を0.55℃とする昔からの目安が使われてきました。この研究は、温度と湿度を一定にした部屋の健康なビーグル26頭では、その目安は正確ではなかった、と結論づけています。この26頭で測った直腸と脇の差は、小さいもので0.7℃、大きいもので2.1℃でした。どちらも抄録の範囲です。

最後に、24の研究をまとめた総説の結論です。脇・耳・目で測った値は、直腸の値と強い相関を示さず、測る場所ごと、道具ごとに基準の幅を決める必要もあります。動物病院で犬の体の中心の温度を見積もる頼れる標準は、今のところ直腸で測る方法だけだ、としています。

気になるときは、数字より先に、かかりつけの動物病院へ。

動物病院で聞いた体温は、その日の様子と一緒にメモしておく

キッチンでノートに書き込む男性と、足もとで伏せる犬

要点: 動物病院で聞いた体温は、日付・時間帯・どこで測った値かと一緒にメモしておくと、次の診察で伝えやすくなります。

ここからは、当サイトの一般的な提案です。

犬の体温の数字は、条件で動きます。数字だけを書いておくと、いつの、どんな値だったのかが、あとで分からなくなります。

動物病院で体温を聞いたら、数字と一緒に、次のことを添えておきます。

  • 日付と、何時ごろか
  • 来てすぐか、待ったあとか
  • どこで測った値か(聞きそびれたら、次に聞く)
  • その日の様子を、ひとこと

日付をつけて並べておけば、診察のときに「前はこうでした」と伝えられます。

健康診断の頻度と、結果の残し方は、別の記事にまとめています。

よくある質問

Q. 犬の平熱は何度ですか?

獣医師向けのMerck獣医マニュアルの表では、直腸で測った犬の平熱を37.5〜39.2℃としています。

動物病院に来た1歳以上の犬の記録(9,782頭・病気の犬も含む)から、直腸の温度の平均38.6℃、幅37.7〜39.5℃と計算した2024年の研究もあります。資料によって、幅は少しずつ違います。

Q. 子犬の体温は、成犬と違いますか?

2024年の研究は、ほかの文献を引いて、生まれたばかりの子は体温を一定に保つ力がまだなく、若い動物は成犬より体温が高いとされる、と書いています。そのため、この研究は1歳以上の犬だけを調べました。

生後4週までは、猫の体温の記事に、子犬と子猫で共通の表を載せています。生後4週までの子犬・子猫の体温の目安をご覧ください。

Q. 犬は、どうやって体温調節をしていますか?

Merck獣医マニュアル(飼い主向け)によると、犬は人のように汗をかけないので、パンティング(口を開けたハアハアという呼吸)で体を冷やします。

同じ資料は、犬は一般に、体を冷やすより温かく保つほうが得意で、暑い天気では冷やすのに苦労する、とも書いています。

足にも汗腺がある、という話は足の汗腺のことに、鼻の短い犬種は鼻の短い犬種と暑さとの付き合い方にまとめています。

Q. 体温がいつもと違う気がするときは?

この記事では、体温が何度なら高い・低いという線は引いていません。いつもと様子が違うと感じたら、体温の数字がどうであっても、かかりつけの動物病院に電話で相談してください。

まとめ|平熱は1つの数字ではなく、幅と条件で覚える

犬の平熱は、資料によって幅が少しずつ違います。Merckの獣医師向けの表は、直腸で測った値で37.5〜39.2℃。2024年の研究が教科書を引いて紹介している、健康な犬の直腸の温度は37.9〜39.9℃です。

体の大きさで体温が犬ごとに違うという研究があり、同じ犬でも、1日の時間や、興奮や運動で体温は動くとされます。鼻を触っても、直腸の温度は予測できない、という研究もあります。当サイトの読みでは、数字は、どの資料の、どんな犬の、どこで測った値かと一緒に見るものです。

1回の数字だけで、うちの子の具合を決めることはできません。いつもの様子と違うときは、数字がどうであっても、動物病院に相談してください。


本記事は参考情報です。犬の体や健康についての診断・助言ではありません。気になることがあるときは、かかりつけの獣医師にご相談ください。 Merck獣医マニュアルの記述と、2003年・2011年・2015年・2019年・2021年・2024年の研究は、2026年10月2日に確認したものです。

体重は、写真と一緒に 1 回で記録

4.0kg3.0kg2.0kg1.0kg0.0kg3.2kg8月3.3kg9月3.4kg10月
トイ・プードルのココ

画面はイメージです(架空の子の見本)。

出典・参考

  • Merck Veterinary Manual(獣医師版)"Normal Rectal Temperature Ranges"(Susan E. Fielder, DVM, DACVP) (確認日 2026-10-02・HTTP 200。表の Dog の行。出典注は Robertshaw D, Dukes' Physiology of Domestic Animals 12th ed.) https://www.merckvetmanual.com/reference-values-and-conversion-tables/reference-guides/normal-rectal-temperature-ranges
  • Merck Veterinary Manual(表)"Normal Physiological Values for Dogs" (確認日 2026-10-02・HTTP 200。Body temperature (average) の行) https://www.merckvetmanual.com/multimedia/table/normal-physiological-values-for-dogs
  • Merck Veterinary Manual(飼い主版)"Description of Dogs"(Natalie Antinoff, DVM, DABVP) (確認日 2026-10-02・HTTP 200。How Do Dogs Stay Warm or Cool? の節) https://www.merckvetmanual.com/dog-owners/introduction-to-dogs/description-of-dogs
  • Dorn E, Bogedale K, Pankraz A, Neiger R. "Calculation of a Reference Interval for Rectal Temperature in Adult Dogs Presenting for Veterinary Care Using an Algorithm for Mixed Data." Animals (Basel) 2024;14(13):1970. doi:10.3390/ani14131970 (確認日 2026-10-02・HTTP 200。Simple Summary/1. Introduction/2.1. Selection Criteria/4. Discussion/Study Limitations) https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11240782/
  • Piccione G, Giudice E, Fazio F, Refinetti R. "Association between obesity and reduced body temperature in dogs." International Journal of Obesity 2011;35(8):1011-1018. doi:10.1038/ijo.2010.253 (確認日 2026-10-02。PubMed はクッキー確認で HTTP 203 のため、NCBI E-utilities と Europe PMC REST API で抄録を HTTP 200 で取得し照合。確認したのは抄録の範囲) https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21102554/
  • Refinetti R, Piccione G. "Daily Rhythmicity of Body Temperature in the Dog." Journal of Veterinary Medical Science 2003;65(8):935-937. doi:10.1292/jvms.65.935 (確認日 2026-10-02・HTTP 200。PDF 全文) https://www.jstage.jst.go.jp/article/jvms/65/8/65_8_935/_pdf
  • Kennedy CR, Babyak JM, Rozanski EA. "The accuracy of tactile assessment of canine nose temperature to identify rectal hyperthermia and hypothermia in dogs presenting on an emergency basis." Canadian Journal of Veterinary Research 2021;85(3):205-209 (確認日 2026-10-02・HTTP 200。Abstract/Introduction/Discussion) https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8243800/
  • Kahng E, Brundage C. "Comparing alternatives to canine rectal thermometry at the axillary, auricular and ocular locations." Open Veterinary Journal 2019;9(4):301-308. doi:10.4314/ovj.v9i4.4 (確認日 2026-10-02・HTTP 200。Abstract/Introduction/Auricular temperatures/Conclusion) https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6971358/
  • Mathis JC, Campbell VL. "Comparison of axillary and rectal temperatures for healthy Beagles in a temperature- and humidity-controlled environment." American Journal of Veterinary Research 2015;76(7):632-636. doi:10.2460/ajvr.76.7.632 (確認日 2026-10-02。PubMed はクッキー確認で HTTP 203、出版社のページは本文の無い画面のため、NCBI E-utilities と Europe PMC REST API で抄録を HTTP 200 で取得し照合。確認したのは抄録の範囲) https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26111093/
  • Sousa MG, Carareto R, Pereira-Junior VA, Aquino MC. "Comparison between auricular and standard rectal thermometers for the measurement of body temperature in dogs." Canadian Veterinary Journal 2011;52(4):403-406 (確認日 2026-10-02・HTTP 200。Abstract/Discussion) https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3058653/

この記事について

内容確認日: 2026-10-02(最後に出典を確かめ直した日。章ごとの確認日は本文と出典の欄のとおりです)

本記事は一般的な参考情報であり、獣医療行為やその代替ではありません。うちの子の体調で気になることがあるときは、かかりつけの獣医師にご相談ください。