猫のはなし 更新

猫の体温|平熱の幅と、測る場所で値が違うということ

うちのこ家系図 編集部・更新 ・内容確認日 2026-10-02

うちの子の家系図を撮ってはじめる
明るい窓辺のクッションの上で、前足をなめて毛づくろいをするキジトラの猫
目次
  1. 1結論|猫の平熱は、直腸で測った値で38.1〜39.2℃とされる
  2. 2子猫の体温|生後4週ごろまでは低く、自分で保つしくみもまだない
  3. 3猫はどうやって体温を下げる?|毛づくろいの唾液と、ときにハアハア
  4. 4直腸がいちばん確かとされる。ただし猫には負担
  5. 5耳や脇で測った値は、直腸の値と入れ替えられない|研究で分かっていること
  6. 6動物病院で測った体温を、日付と測った場所と一緒に残す
  7. 7よくある質問
  8. 8まとめ|体温の数字は、測った場所の名前をつけて読む

猫の平熱は、いくつくらいなのか。調べると、数字がひとつ出てきます。ただ、その数字は「どこで測った値か」とセットで書かれています。

この記事は、そのセットの話です。

結論|猫の平熱は、直腸で測った値で38.1〜39.2℃とされる

明るい部屋のラグに前足をそろえてお座りして、穏やかな顔をこちらに向けているサバトラの猫

要点: 猫の平熱は、直腸で測った値で38.1〜39.2℃(100.5〜102.5℉)とされます。これは直腸で測った値の幅で、耳や脇で測った値の幅ではありません。

Merck獣医マニュアル(獣医師向け)の参考値のページに、動物ごとの平熱の範囲を、直腸で測った値で示した表(Normal Rectal Temperature Ranges)があります。猫の行は、38.1〜39.2℃(100.5〜102.5℉)です。

表の下の出典注によると、獣医学の生理学の教科書をもとにした表です。

数字ひとつで、体の具合が決まるわけでもありません。この幅は、猫の体温を知るための参考値です。

この記事は、この数字を入り口にします。子猫の値、猫が体温を調節するしくみ、測る場所による違い、の順に進みます。

子猫の体温|生後4週ごろまでは低く、自分で保つしくみもまだない

明るい部屋の木の床に座って、上を見上げている白と茶の子猫

要点: 直腸で測った、生後4週までの子犬・子猫の体温の目安は、1週で35〜37.2℃、4週で37.2〜38.3℃です。生後4週になるまでは、自分で体温を調節するしくみもありません。

Merck獣医マニュアルに、生まれたばかりの子犬・子猫の体温の表があります。直腸で測った値を、生後の週数ごとに並べた表です。

次の表は、子犬と子猫をまとめた表です。子猫だけの値ではありません。

生後の週数(子犬・子猫共通・4週まで)直腸で測った体温の目安
1週35〜37.2℃(95〜99℉)
2〜3週36.1〜37.8℃(97〜100℉)
4週37.2〜38.3℃(99〜101℉)

表にあるのは、生後4週までの値です。5週以降の値は、この表にはありません。

値は、週が進むにつれて上がっていきます。

もうひとつ、しくみの話があります。Merck獣医マニュアル(獣医師向け)の新生子の管理の項は、子犬と子猫について「lack thermoregulatory mechanisms until 4 weeks of age」と書いています。生後4週になるまで、体温を調節するしくみがない、という意味です。

つまり、生後4週までの子猫は、体温が低めであるうえに、自分で保つしくみもまだ整っていません。成猫の値(38.1〜39.2℃)とは別の表ですが、どちらも直腸で測った値です。

猫はどうやって体温を下げる?|毛づくろいの唾液と、ときにハアハア

明るい部屋の木の床にお座りして、振り向いて肩のあたりの毛をなめているキジトラの猫

要点: 猫は、主に毛づくろいで唾液を皮膚に広げて、体温を調節します。ときには、口でハアハアと息をしたり、よだれを垂らしたりもします。

猫が毛づくろいをしている姿は、見慣れた光景です。

Merck獣医マニュアル(飼い主向け)の皮膚の項は、猫は主に毛づくろいで体温を調節する、と書いています。毛づくろいは、唾液を皮膚に広げることだとも書いています。

さらに、ときには口でハアハアと息をしたり、よだれを垂らしたりもする、と続けています。

この資料に書いてあるのは、猫がこうして体温を調節している、という説明までです。

毛の色が体温と関わる毛色の話は、体温で色の濃さが決まる毛色(ポイントカラー)で紹介しています。

直腸がいちばん確かとされる。ただし猫には負担

明るい玄関の床で、ふたの開いたグレーのキャリーバッグを見つめてお座りしている白とグレーの猫

要点: 体温を測るいちばん確かな方法は、直腸で測ることとされます。ただ、猫には負担があり、飼い主が家でするのは難しいとされます。測り方は、かかりつけの動物病院で教わってください。

体温を測る方法は、いくつかあります。

動物病院のSchwarzman Animal Medical Center(AMC)のブログは、「The gold standard for measuring temperature is the rectal temperature.」と書いています。体温を測るいちばん確かな方法は、直腸の温度だ、という意味です。

ただし、同じブログは、直腸で測る方法は負担になるので、ほかの方法も調べられてきた、と続けています。

2025年の研究(Hanström ほか)は、猫についてこう書いています。「the procedure is often stressful for cats and is difficult for cat owners to perform at home」。猫にとってしばしば負担で、飼い主が家でするのは難しい、という意味です。

この研究は、負担の大きさも数字で見ています。家にいる健康な猫25頭では、こわがり・不安・ストレスの点数(FAS)の平均が、直腸で測るときは2.9、耳で測るときは1.6でした。直腸のほうが高い、と研究は書いています。

この研究の序論には、こんな文もあります。ほかの研究を引いて、嫌がったり緊張したりしている動物では、粘膜を傷つけるおそれもある、と書いています。

耳や脇で測った値は、直腸の値と入れ替えられない|研究で分かっていること

明るいダイニングの椅子に座り、窓のほうを見ているキジトラの猫の横顔

要点: 耳や脇で測った値は、直腸で測った値と入れ替えて使うべきではない、と猫150頭の研究は結論づけています。脇については、資料の見方が分かれています。

耳や脇で測れたら、猫にも楽そうです。実際に、直腸の値と比べた研究があります。

2015年の研究(Smith ほか)は、大学の動物病院に来た猫150頭で、脇・耳・直腸で測った値を比べました。動物病院の中での研究で、家での測定の話ではありません。

意識のある猫117頭のうち、測られるのを受け入れた猫は、脇で106頭(90.6%)、耳で95頭(81.2%)、直腸で62頭(53.0%)でした。

直腸の値との差が0.5℃以内に収まったのは、150頭のうち、脇で117頭(78.0%)、耳で77頭(51.3%)です。残りの、脇で33頭、耳で73頭は、0.5℃より大きくずれました。研究は、0.5℃を超える差を、診療の上で受け入れられない差としています。

結論は、耳と脇の値は、猫では直腸の値と入れ替えて使うべきではない、でした。あわせて、直腸で測れないときは、耳より脇がすすめられる、とも書いています。脇のほうが受け入れられやすく、0.5℃を超えてずれた猫が少なかったためです。これも、動物病院での研究の結論です。

2025年の研究(Hanström ほか)は、耳の体温計を調べました。序論は、耳で測る体温計のこれまでの研究の結論は、そろっていない、と書いています。使ったのは、人と1歳以上の子ども向けにつくられた耳の体温計です。

動物病院の猫36頭では、直腸と左耳で測った値の組を、合わせて47組比べました。

結論は、この耳の体温計は、動物病院で体温が高くなっていないかをふるい分ける、負担の少ない道具になりうる、でした。一方で、体温が正常な猫を、高いと誤って判断するおそれがあります。そして、家で測るには、ばらつきが大きく、値の読み方が難しいので、すすめない、としています。

AMCのブログも、子ども用の耳の体温計で、犬や猫の体温を測らないように、と書いています。耳の体温計は向きを慎重に合わせる必要があり、それでも直腸の値と合わないことがあるから、という理由です。

脇については、見方が分かれています。2015年の研究は、直腸で測れないときは、耳より脇をすすめました。一方、AMCのブログは、脇の下で測る方法は、くり返し測っても頼れる値になりにくい、と書いています。

ここで気をつけたいことがあります。2015年の研究は、同じ猫をくり返し測ったときのぶれや、測る人による違いを調べていません。どちらが正しいとも、この記事では決められません。

数字がいつもどおりでも、いつもと違うと感じたら動物病院へ。

動物病院で測った体温を、日付と測った場所と一緒に残す

明るい部屋の床でソファにもたれ、手帳にペンで書き込む女性と、そばにお座りして窓のほうを見ているキジトラの猫

要点: 動物病院で測った体温は、日付と、どこで測った値かを一緒に残しておくと、あとで見返しやすくなります。

ここからは、当サイトの一般的な提案です。

ここまで見てきたとおり、猫の体温は、測る場所で値が違い、入れ替えて使えない、という研究がありました。だから、数字だけをメモすると、あとで読み返すときに迷います。

動物病院で体温を測ったら、数字と一緒に、どこで測った値かも聞いておく。そして、日付をつけて書いておく。動物病院で聞いた値を日付と一緒に残すだけで、次の診察で先生に伝えやすい記録になります。

診察や健診の結果を、あとで見返せる形で残す考え方は、猫の健康診断の頻度と、結果の残し方で紹介しています。

くしゃみや鼻水が続いたときに病院へ伝える記録は、猫のくしゃみの記録シートの書き方にあります。

よくある質問

Q. 猫の体温は、家で測れますか?

直腸で測るのがいちばん確かとされます(AMCのブログ)。ただ、2025年の研究は、直腸で測ることは猫にとってしばしば負担で、飼い主が家でするのは難しい、と書いています。

測り方は、かかりつけの動物病院で教わってください。

Q. 人間用の耳で測る体温計は、使えますか?

子ども用の耳の体温計で犬や猫を測らないように、と書いている動物病院の解説があります(AMC)。

人と子ども向けの耳の体温計を猫に使った2025年の研究も、家での測定はすすめない、と結論づけています。

Q. 子猫の平熱は、どのくらいですか?

直腸で測った、生後4週までの子犬・子猫の目安は、1週で35〜37.2℃、4週で37.2〜38.3℃とされています(Merck獣医マニュアル)。子犬と子猫をまとめた表の値です。

5週以降の値は、この表にはありません。

Q. 脇で測ってもいいですか?

脇で測った値は、直腸の値と入れ替えて使うべきではない、と猫150頭の研究は結論づけています。

同じ研究は、直腸で測れないときは耳より脇がすすめられる、とも書いています(動物病院での研究)。一方で、脇の下はくり返し測っても同じ値になりにくい、と書く動物病院の解説もあります(AMC)。

測り方は、かかりつけの動物病院で教わってください。

まとめ|体温の数字は、測った場所の名前をつけて読む

数字のこと。 猫の平熱は、直腸で測った値で38.1〜39.2℃とされます(Merck獣医マニュアルの参考値)。生後4週までの子猫は、直腸で測った値の目安が1週で35〜37.2℃、4週で37.2〜38.3℃です(子犬・子猫共通の表)。

場所のこと。 猫の体温は、耳や脇で測った値が、直腸の値と入れ替えられないという研究があります。脇については、資料の見方が分かれています。

測り方のこと。 直腸がいちばん確かとされますが、猫には負担があります。測り方は、かかりつけの動物病院で教わってください。

体温の数字は、測った場所の名前をつけて、日付と一緒に残しておくと、あとで読み返しやすくなります。いつもと違うと感じたら、数字にかかわらず、動物病院に相談してください。


本記事は参考情報です。猫の体や健康についての診断・助言ではありません。気になることがあるときは、かかりつけの獣医師にご相談ください。 Merck獣医マニュアル・Schwarzman Animal Medical Center(AMC)のブログ・2015年と2025年の研究の記述は、2026年10月2日に確認したものです。

出典・参考

この記事について

内容確認日: 2026-10-02(最後に出典を確かめ直した日。章ごとの確認日は本文と出典の欄のとおりです)

本記事は一般的な参考情報であり、獣医療行為やその代替ではありません。うちの子の体調で気になることがあるときは、かかりつけの獣医師にご相談ください。