イタリアングレーハウンドの性格と特徴|標準の数値が語る体のつくり
内容確認日 2026-09-07・うちのこ家系図 読みもの

目次
体高32〜38cm、体重は牡牝ともに最高5kg。イタリアン・グレーハウンドの犬種標準に定められたこの数字を並べただけで、体のつくりの繊細さが伝わってきます。この記事では、標準に書かれた気質の記述、体のつくり、成り立ち、毛色までを、JKCとFCIの一次資料をもとに解説します。
結論|標準が定める気質はわずか3語

要点: イタリアン・グレーハウンドについて、JKCの一般外貌の項は「スレンダーな外見をしており、そのボディはスクエアである。小型だが、ミニチュア・サイトハウンドとしての特徴である洗練さや気品を十分に兼ね備えている」とし、習性・性格の項は「陽気で、愛情豊かで、従順である」という3語で説明しています。
JKCの一般外貌の項は、この犬種を「スレンダーな外見をしており、そのボディはスクエアである。小型だが、ミニチュア・サイトハウンドとしての特徴である洗練さや気品を十分に兼ね備えている。優美で、卓越した犬種の典型のように見える」としています(JKC)。
気質については、習性・性格の項に「陽気で、愛情豊かで、従順である」とだけ記されています(JKC)。FCIの犬種標準の該当項も「Lively, affectionate, docile.」と、ほぼ同じ3語です(FCI-Standard No.200)。検索すると「繊細」「寒がり」「甘えん坊」といった性格像が語られていることがあるかもしれませんが、これらの言葉は標準の記述には出てきません。標準に書かれているのは、この3語だけです。
標準の数値が語る体のつくり

要点: JKCの犬種紹介ページは、イタリアン・グレーハウンドのサイズを「体高 牡牝共 32〜38cm」「体重 牡牝共 最高5kg」と定めています。FCIの犬種標準は、前脚について「まっすぐで、洗練された骨格、平らで引き締まっている」としています。
JKCの犬種紹介ページは、サイズについて「体高 牡牝共 32〜38cm」「体重 牡牝共 最高5kg」と定めています(JKC)。FCIの犬種標準も、体高を「32cmから38cm」、体重を「最高5kg」とほぼ同じ数値で示しています(FCI-Standard No.200)。JKC・FCIどちらの標準も、体高・体重を牡牝で同じ数値として定めています。
体のつくりについて、FCIの犬種標準は前脚(Forearm)を「まっすぐで、洗練された骨格を持ち、平らで引き締まっている。前面からも側面からも完全に垂直な位置にある」としています(FCI-Standard No.200)。この「洗練された骨格」という表現は、体格の質を述べたもので、けがの起こりやすさそのものを述べたものではありません。体のつくりに関わって知っておきたい話は、後の見出しで専用記事に譲ります。
なお、この32〜38cmという範囲は、単なる目安ではありません。FCIの犬種標準は失格事項の項に「牡においても牝においても、32cm未満または38cm超のサイズ」を挙げており、範囲から外れることが制度上どう扱われるかまで定めています(同上)。標準の数値は、こうした制度の枠組みとセットで書かれているということです。
各部の比率が語ること

要点: FCIの犬種標準は、頭の長さが体高の40%に達しうること、首の長さが頭の長さと同じであることなど、部位どうしの比率を細かく定めています。耳には「フライング・イヤー」「プロペラ・イヤー」という通称まで記載されています。
FCIの犬種標準がこの犬種について書いているのは、体高と体重だけではありません。重要な比率の項では、体長が体高と同じか、わずかに下回る程度であること、頭蓋の長さが頭全体の長さの半分であること、そして「頭の長さは体高の40%に達しうる」ことが定められています(FCI-Standard No.200)。体高という一つの数値から、頭の大きさまで導けるように書かれているということです。
首についても、「首の長さは頭の長さと等しい」とされ、円錐を切り取ったような形で、よく筋肉がついていると定められています(同上)。胸は「狭く、しっかりしているが優美に形づくられ、肋骨のふくらみはわずか。深く、肘まで下がっている」とされています(同上)。皮膚は「肘の部分を除き、体のすべての部分で薄く、ぴったりと張っている」と記されています(同上)。
耳の記述には、標準としては珍しく通称が書き込まれています。「非常に高い位置につき、小さく、繊細な軟骨を持ち、それ自体が折りたたまれて、うなじと首の上部にしっかりと後方へ向けて保たれる」としたうえで、犬が注意を向けているときには耳の付け根が立ち、耳たぶが水平方向に横へ張り出す姿勢になり、これは一般に「フライング・イヤー」または「プロペラ・イヤー」と呼ばれる、と説明されています(同上)。
歩様については「弾むような、調和のとれた、やや高く上がる速歩で、地面をよく覆う」とされ、前脚は十分な伸びをもって前方へ運ばれると定められています(同上)。数値と比率の積み重ねが、この犬種の見た目と動きをかたちづくっているということです。
成り立ち|小型の視覚ハウンドという系統

要点: FCIの犬種標準は、イタリアン・グレーハウンドを「レーシング・ドッグ」に分類し、古代エジプトの宮廷にすでに存在していた小型の視覚ハウンドの末裔だと紹介しています。
FCIの犬種標準は、用途を「レーシング・ドッグ」とし、FCI分類ではグループ10「サイトハウンド」のセクション3「短毛のサイトハウンド」に位置づけています(FCI-Standard No.200)。沿革の説明では、古代エジプトでファラオの宮廷にすでに存在していた小型のサイトハウンドの末裔で、ラコニア(ギリシア)を経て紀元前5世紀初頭にイタリアへ渡り、ルネサンス時代の貴族の宮廷でもっとも発展したと紹介されています(同上)。JKCの日本語版も、ほぼ同じ内容を伝えています(JKC)。
毛色|標準が動くと、血統証明書の記載も変わる

要点: FCIの犬種標準は、毛色を単色のブラック・グレー・イザベラとし、「ホワイトは胸と足にのみ許容される」としています。JKCの案内による2026年1月1日以降の「×印」の対象は二段構成で、「◯◯&ホワイト」型の13色には例外の但し書きがありますが、「ホワイト&◯◯」型の10色には付いていません。
FCIの犬種標準は、被毛について「短く、絹のようになめらかで、体全体にわたってきめ細かく、房状の毛が一切無い」とし、毛色は「ブラック、グレー、イザベラ(あらゆる濃淡の淡い黄色がかったベージュ)の単色。ホワイトは胸と足にのみ許容される」としています(FCI-Standard No.200)。JKCの毛色の項も、ほぼ同じ内容を伝えています(JKC)。
イタリアン・グレーハウンドの毛色をめぐる標準は、いま動いています。JKCの案内によれば、2026年1月1日(登録日)以降、この犬種を含む複数の犬種で、標準の対象外となる毛色が新たに血統証明書へ「×印」として記載されるようになります(JKC)。これは第287回理事会(2023年1月26日開催)の犬種標準の改正にもとづく取り扱いだと説明されています(同上)。
ここで注意したいのは、対象として挙げられている毛色が、2種類の書き方に分かれていることです。前段には「ブラック&ホワイト」から「イエロー&ホワイト」まで、「◯◯&ホワイト」という形の13色が並び、それぞれの行に「&以下が、ホワイトマーキングスであれば、×印の対象外」という但し書きが付いています。ホワイトマーキングスとは、胸と足に入ったホワイトを意味すると説明されています(JKC)。
一方、注意事項を挟んだ後段には「ホワイト&ブラック」から「ホワイト&シール」まで、「ホワイト&◯◯」という順序が逆の形の10色が並んでいます。そしてこちらには、対象外になるという但し書きが付いていません(同上)。つまり、同じ2色の組み合わせでも、どちらの色を先に書くかによって扱いが変わりうる、という構成になっています。うちの子の血統証明書の毛色表記を照らし合わせるときは、前段と後段のどちらに当たるかを確認する必要があります。
犬種標準が定める「ホワイトは胸と足にのみ許容される」という範囲と、前段の但し書きが例外として扱う「胸と足に入ったホワイト」という範囲は、同じ場所を指していると考えられます。標準の対象から外れる印がつくことは、その子が良くない犬だという意味ではなく、標準そのものがいま実際に更新されているという事実として押さえておくとよいでしょう。
ブルーやイザベラのように色が薄い被毛については、色素が薄くなる仕組みそのものを犬の毛色と健康の関係|マール・ダップル・希釈カラーで解説しています。
健康面で知っておきたいこと
要点: 標準が示す骨格の細さに関わって、けがについての話題が挙がることがあります。詳しくは専用記事にまとめています。
標準が示す体のつくりに関わって、けがについての話題が挙がることがあります。歯のエナメル質に関する体質や、目の病気についての報告もあります。それぞれの詳しい内容と家系での備え方は、イタリアングレーハウンドのかかりやすい病気と遺伝病|けが・歯と寿命・家系での備えにまとめています。気になる様子があれば、自己判断せず獣医師に相談してください。
家系でできること

犬種標準に書かれた気質も、体のつくりの数値も、両親犬・兄弟犬の情報がわかっていると、うちの子を見守るときの手がかりになります。うちのこ家系図では、血統書があってもなくても、わかる範囲の情報から家系図を作れます。血統書がある子は、団体ごとの記載の読み方を血統書の見方で確認できます。
よくある質問
Q. イタリアングレーハウンドは寒がりで繊細な性格だと聞きました。本当ですか?
標準の気質の記述には「繊細」「寒がり」という言葉はなく、書かれているのは「陽気で、愛情豊かで、従順である」という3語だけです。暮らしのなかでそのように言われることがあるかもしれませんが、標準にもとづく記述ではありません。
Q. 標準に書かれた体高の数値は、何を意味するのですか?
単なる平均値や目安ではなく、範囲から外れた場合の扱いまで含めて定められた基準です。FCIの犬種標準は失格事項の項に「牡においても牝においても、32cm未満または38cm超のサイズ」を挙げています。展覧会での評価に関わる制度上の規定であり、家庭で暮らす犬の健康を判定するものではありません。
Q. 毛色の「×印」は、どの毛色が対象になりますか?
JKCの案内では、「◯◯&ホワイト」という形の13色と、「ホワイト&◯◯」という形の10色が挙げられています。このうち前者については、&以下が胸と足に入ったホワイト(ホワイトマーキングス)であれば対象外とされていますが、後者にはその但し書きが付いていません。
まとめ|数値と3語が語る犬種
- イタリアン・グレーハウンドの気質の標準記述は「陽気で、愛情豊かで、従順である」の3語のみ。「繊細」「寒がり」は標準の記述ではない
- 体高32〜38cm・体重最高5kgは牡牝で同じ数値。範囲外は失格事項として定められている
- 頭の長さは体高の40%に達しうる、首の長さは頭の長さと等しいなど、部位どうしの比率が細かく定められている
- 耳には「フライング・イヤー」「プロペラ・イヤー」という通称が標準に書き込まれている
- 古代エジプトの宮廷に存在した小型のサイトハウンドの末裔とされ、用途は「レーシング・ドッグ」
- 毛色の「×印」の対象は二段構成で、「◯◯&ホワイト」型13色には胸と足のホワイトという例外があるが、「ホワイト&◯◯」型10色にはその但し書きがない
- 骨格の細さに関わる健康の話題は専用記事にまとめている
わずか3語の気質の記述と、体高から導かれる比率の積み重ね。この犬種を語るうえでの土台になる情報です。うちの子の記録も、あわせて残してみませんか。
本記事は参考情報です。犬種の傾向は個体差があり、すべての子に当てはまるものではありません。健康に関する記述は診断・治療を目的とするものではなく、気になる症状は獣医師にご相談ください。 記事中の引用・数値は2026年9月7日にJKC・FCIの各サイト・資料で確認したものです。
出典・参考
- 一般社団法人ジャパンケネルクラブ「イタリアン・グレーハウンド」 (確認日 2026-09-07。最終更新日2025年03月05日。サイズ・一般外貌・習性/性格・用途・沿革・毛色の各項を確認) https://www.jkc.or.jp/breeds/italian-greyhound/
- FCI(Fédération Cynologique Internationale)"FCI-Standard N° 200 PICCOLO LEVRIERO ITALIANO (Italian Sighthound)"(17.12.2015/EN) (確認日 2026-09-07。公式PDFを取得しPyMuPDFでテキスト抽出のうえ逐語照合。SIZE AND WEIGHT・IMPORTANT PROPORTIONS・Ears・NECK・Chest・SKIN・GAIT/MOVEMENT・LIMBS・BEHAVIOUR/TEMPERAMENT・UTILIZATION・BRIEF HISTORICAL SUMMARY・COAT・DISQUALIFYING FAULTSの各項を確認) https://www.fci.be/Nomenclature/Standards/200g10-en.pdf
- 一般社団法人ジャパンケネルクラブ「FCI犬種標準改正に基づき2026年1月よりスタンダード外となる毛色について」 (確認日 2026-09-07。イタリアン・グレーハウンドの項の▢を数え、「◯◯&ホワイト」型13色+【注意事項】+「ホワイト&◯◯」型10色の二段構成であることを確認) https://www.jkc.or.jp/news/breeds20250515/
- 一般社団法人ジャパンケネルクラブ「ミニチュア・ピンシャー及びイタリアン・グレーハウンドの毛色に関する事項」 (確認日 2026-09-07。第287回理事会〈2023年1月26日開催〉の犬種標準改正に基づくこと、対象の毛色が①〜⑬と⑭〜㉓の丸数字で示され、但し書きが①〜⑬にのみ掛かることを確認。上記の毛色改正案内の色数を独立に検算する材料として使用) https://www.jkc.or.jp/forms/pinschers_greyhounds/
この記事について
内容確認日: 2026-09-07(この日時点の一次情報にもとづいています)
本記事は一般的な参考情報であり、獣医療行為やその代替ではありません。うちの子の体調で気になることがあるときは、かかりつけの獣医師にご相談ください。
つづけて読む
イタリアングレーハウンドのかかりやすい病気と遺伝病|けが・歯と寿命・家系での備え
イタリアン・グレーハウンドで語られる体質を、犬種標準・OMIA・MSD獣医マニュアル・アニコム損保の白書の一次資料をもとに解説します。骨格の細さと若いうちのけが、原因変異が特定されているエナメル質形成不全という歯の体質、白書に記載された平均寿命14.6歳とその条件まで整理しました。
よむ遺伝のはなし犬の毛色と健康の関係|マール・ダップル・希釈カラー
「ダブルマールは避けるべき」と聞いたけれど、なぜ?マール遺伝子と聴こえ・見え方の関係、ダックスフンドの「ダップル」との関係、カラー希釈脱毛症、白い被毛と聴こえの関係まで、学術論文をもとに中立に解説します。
よむ血統書のきほんJKC血統書の見方|番号・3代祖・毛色コード
血統書に並ぶ登録番号やCH表記、3代祖の読み方がわからず引き出しにしまったままの方へ。JKC血統書の項目別の見方を、登録番号の構成から3代祖のたどり方、チャンピオン表記、毛色の記載まで、公式情報にもとづいて解説します。
よむ