デボンレックスの性格と特徴|巻き毛は似た猫種とは別の遺伝子で起きている
内容確認日 2026-09-07・うちのこ家系図 読みもの

目次
見た目がよく似た巻き毛の猫種がほかにもいますが、この猫種の巻き毛を作っている遺伝子は、それらとは別のものです。「似ている=同じ仕組み」ではないことが、遺伝子検査の項目として分かれているところにも表れています。UC Davis獣医遺伝学研究所・OMIA・CFA・TICAの資料をもとに、巻き毛の理由から、毛の個体差、性格、この猫種を対象にした検査項目まで見ていきます。
結論|巻き毛が別の遺伝子で起きている猫

要点: TICAの公式ブリードページによれば、この猫種の巻き毛を作る遺伝子は、見た目のよく似た別の巻き毛の猫種の遺伝子とは異なることが、あとから判明しました。CFA・TICAはこの猫種の性格を、愛らしくいたずら好きで、とても活動的だと紹介しています。
TICAの公式ブリードページは、この猫種の成り立ちについて「しかし、カーリー(Kirlee)の巻き毛を作っている遺伝子は、カリバンカー(Kallibunker)の波状の毛を生み出しているものとは別であることが判明した」と説明しています(TICA・ブリードページ)。見た目が似ているからと同じ扱いをされていたところ、確かめてみたら違っていた——この記事はその違いをたどっていきます。
性格については、CFAの公式ページが「愛らしく、楽しく茶目っ気があり、最初から最後まで純粋に愉快。深く忠実で愛情深く、飼い主に強く懐き、長時間ひとりにされるのを嫌う」と紹介しています(CFA・ブリードページ)。TICA側は「賢く、いたずら好きで、とても活動的」と説明しており(TICA・ブリードページ)、両者の記述はおおむね重なっています。シャワールームにも一緒に入りたがることがあると、茶目っ気のあるエピソードも紹介されています(CFA・ブリードページ)。大きな目と短い鼻先、目立つ頬骨、そして大きく低い位置についた耳が、この猫種らしい妖精のような顔立ちを作っているとされています(CFA・Show Standard)。
巻き毛の理由|似た見た目の猫種とは別の遺伝子

要点: CFAの品種標準は、この猫種の波状の毛を生じさせている変異が「他のどの品種でも育種されていない」と定めています。学術データベースのOMIAによれば、巻き毛の変異はKRT71という遺伝子によるものとされ、UC Davis獣医遺伝学研究所の検査では常染色体劣性で受け継がれると記載されています。見た目の似たコーニッシュレックスの巻き毛は、LPAR6という別の遺伝子によるものです。
CFAの品種標準は、この猫種の被毛について「中くらいの細さの骨格を持ち、柔らかな波状の毛によく覆われている。その波状の毛を生じさせている変異は他のどの品種でも育種されていないため、毛は独特の質感を持つ」と定めています(CFA・Show Standard)。「他のどの品種でも育種されていない」というのは、この変異を使った育種が他の品種では行われていないという意味で、同じ変異を持つ猫が他に一切いないという意味ではありません。
コーンウォールで見つかった巻き毛の遺伝子は「Gene 1」、デボンで見つかったものは「Gene 2」とそれぞれ名づけられました(TICA・ブリードページ)。当時の呼び名はGene 1・Gene 2でしたが、現在では遺伝子の名前が特定されています。この猫種の巻き毛の変異は、ケラチンをコードするKRT71という遺伝子によることが2010年に示されました(OMIA)。同データベースには、この形質が病気に分類されるかどうかの欄もあり、「病気に関連する: いいえ」と記録されています(同上)。
巻き毛のアリルはDR、通常の毛はNと表記され、遺伝形式は常染色体劣性です。N/DRの遺伝子型の猫は毛は普通ですが変異のキャリアで、生まれる子のうち50%にこの変異を伝えるとされています。キャリア同士の交配では、生まれる子のうち25%が巻き毛になると予測されるとされています(UC Davis VGL)。この検査の対象品種は、デボンレックスとスフィンクスの2品種です(同上)。
一方、見た目のよく似たコーニッシュレックスの巻き毛は、別の遺伝子によるものです。「コーニッシュレックスの巻き毛は、LPAR6という遺伝子の変異によるもので、常染色体劣性で受け継がれ、コーニッシュレックスでは固定し、ジャーマンレックスにも見られる」とされています(UC Davis VGL)。同じ資料の概要欄も「コーニッシュレックスの猫は短く柔らかな巻き毛を持ち、常染色体劣性で受け継がれる。この形質は品種のなかで固定している」とまとめています(同上)。デボンはKRT71、コーニッシュはLPAR6——似ているから同じだろうという見方を、2つの検査項目が別々に存在するという事実が否定しているということです。
審査の配点でも、被毛に大きな比重が置かれています。被毛(COAT)に100点中30点が割り振られ、その内訳は密度10点・質感と長さ10点・波打ち具合10点です(CFA・Show Standard)。
毛の量に個体差があるということ|季節と成長で変わること

要点: CFAの品種標準は、子猫の毛が薄い部分を欠点とみなしつつも、体の下側のうぶ毛を毛が無いことと取り違えないよう定めています。TICAの公式ブリードページは、毛の状態が猫ごとに違い、生涯を通じて変化することも多いと説明しています。
被毛の密度について「毛のない部分は子猫では欠点、成猫では重大な欠点とされる。ただし体の下側にうぶ毛があることを、毛が無いことと取り違えてはならない。こめかみ(耳の前の額)の毛が薄いのは欠点ではない」と定められています。長さについても「子猫は全身の毛が非常に短いことがあり、波打つほどの長さが無くても、毛のない部分が見えないよう均一に覆われていなければならない」とされています(CFA・Show Standard)。標準の側が、子猫のうちは毛の状態が違うことをあらかじめ織り込んで書いているということです。
「毛の状態は猫ごとに違い、ふさふさの巻き毛から薄いスエードのような毛まで幅がある。生涯を通じて変化することも多く、換毛のときは毛が折れて、新しい毛が生えるまで巻きが見えなくなることがある。子猫はよくこの時期を通る」と説明されています(TICA・ブリードページ)。「コーニッシュレックスと違ってデボンにはわずかにガードヘアがあり、そのため毛の密度・質感・長さに幅が出る」とも紹介されています(CFA・ブリードページ)。獣医学の標準参考資料であるMSD獣医マニュアル(飼い主向け版)にも、毛の発育の異常(follicular dysplasia)がこの猫種で報告されているという記述があり(MSD獣医マニュアル・飼い主向け版)、毛の状態には個体差があるという見方は、複数の資料に共通しています。毛の状態を一つの基準で決めつけず、時期によって幅があるという前提で見ていくことが、この猫種と付き合ううえでの前提になります。
この猫種を対象にした検査項目があること
要点: UC Davis獣医遺伝学研究所には、先天性筋無力症候群という検査項目が存在します。対象はデボンレックスとスフィンクスの2品種で、遺伝形式は常染色体劣性です。
先天性筋無力症候群という病名で、UC Davis獣医遺伝学研究所の検査一覧にもう1項目、この猫種に関わる検査があります。カバーしているのはデボンレックスとスフィンクスの2品種にとどまり、受け継がれ方は常染色体劣性とされています(UC Davis VGL)。見た目の近いコーニッシュレックスはここには入っていません。巻き毛の原因遺伝子が別だという話が、検査の対象範囲という形でも裏づけられているわけです。この病気の詳しい内容は、専門機関にご相談ください。
毛の状態の変化を、日付つきで残す

毛の量や質感は猫ごとに幅があり、生涯を通じて変化することもあるとされています。とくに子猫の時期は毛が薄い、あるいは短いことがめずらしくないため、生まれてすぐの状態だけを見て心配しすぎる必要はありません。うちのこ家系図では、血統書の有無にかかわらず、毛の状態の変化を写真と一緒に日付つきで書き残せます。子猫のころ、換毛の時期、成猫になってから——時期ごとの記録を残しておくと、うちの子の毛がどう変わってきたかをあとから見比べやすくなります。
よくある質問
Q. デボンレックスの巻き毛は、他の巻き毛の猫種と同じ仕組みですか?
いいえ。デボンレックスの巻き毛はKRT71という遺伝子の変異によるものとされ(OMIA)、見た目の似たコーニッシュレックスの巻き毛はLPAR6という別の遺伝子によるものとされています(UC Davis VGL)。
Q. デボンレックスはどんな性格の猫種ですか?
CFAの公式ページは「愛らしく、楽しく茶目っ気があり、飼い主に強く懐く」と紹介しています。TICA側も「賢く、いたずら好きで、とても活動的」と説明しています。
Q. この猫種を対象にした遺伝子検査はありますか?
UC Davis獣医遺伝学研究所に、先天性筋無力症候群という検査項目があります。対象はデボンレックスとスフィンクスの2品種です。詳しい内容は専門機関にご相談ください。
まとめ|似た見た目でも、遺伝子は別の道をたどってきた
- この猫種の巻き毛を作る遺伝子は、見た目の似た別の巻き毛の猫種とは別であることが、あとから判明した(TICA・ブリードページ)
- 波状の毛を生じさせている変異は「他のどの品種でも育種されていない」と品種標準に定められている(CFA・Show Standard)
- 巻き毛の変異はKRT71という遺伝子によるとされ(OMIA)、受け継がれ方は常染色体劣性と記載されている(UC Davis VGL)。コーニッシュレックスの巻き毛はLPAR6という別の遺伝子によるとされている(UC Davis VGL)
- 毛の状態には個体差があり、生涯を通じて変化することもあるという見方が複数の資料に共通している
- 先天性筋無力症候群という検査項目があり、対象はデボンレックスとスフィンクスの2品種(UC Davis VGL)
似た見た目の裏にある違いも、毛の変化も、記録があると見比べやすくなります。うちの子の毛の記録を、家系図として残してみませんか。
本記事は参考情報です。猫種の傾向は個体差があり、すべての子に当てはまるものではありません。健康に関する記述は診断・治療を目的とするものではなく、気になる症状は獣医師にご相談ください。 記事中の引用・数値は2026年9月7日にUC Davis Veterinary Genetics Laboratory公式サイト・OMIA公式サイト・CFA公式サイト・TICA公式サイト・MSD Veterinary Manual公式サイトを確認したものです。
出典・参考
- UC Davis Veterinary Genetics Laboratory(カリフォルニア大学デービス校 獣医遺伝学研究所)"Sphynx and Devon Rex Coats" (確認日 2026-09-07・HTTP 200。Explanation of Results節のうちDRの行と、Mode of Inheritance欄のみ使用。Alleles欄は3アリルのうちNとDRのみを扱い総数は書いていない。Quick Summary全文・HRの行・HR/DRの行・Additional Details節のKRT71を特定した文はK38の持ち分のため使用していない) https://vgl.ucdavis.edu/test/sphynx-and-devon-rex-coats
- UC Davis Veterinary Genetics Laboratory "Cornish Rex Coat" (確認日 2026-09-07・HTTP 200・58,111バイト。Additional Details欄とQuick Summary節を使用。Explanation of Results節・塩基配列の表記は使用していない) https://vgl.ucdavis.edu/test/cornish-rex-coat
- UC Davis Veterinary Genetics Laboratory "Congenital Myasthenic Syndrome (Sphynx and Devon Rex)" (確認日 2026-09-07・HTTP 200。Breeds appropriate for testing欄のみ使用。Phenotype欄・Explanation of Results欄の症状・予後・25%の数値は使用していない) https://vgl.ucdavis.edu/test/sphynx-and-devon-rex-cms
- CFA(The Cat Fanciers' Association)"Devon Rex" Show Standard(PDF・revised 2025) (確認日 2026-09-07・HTTP 200・76,301バイト。GENERAL欄(末尾の気質の1文を含む)/POINT SCORE欄/COAT欄を原文照合) https://cfa.org/wp-content/uploads/2024/03/devon-rex-standard.pdf
- CFA公式ブリードページ "Devon Rex" (確認日 2026-09-07。旧パス /devon-rex/ は301で、リダイレクト先である本URLがHTTP 200・341,928バイト。About the Breed節/Traits節/Grooming節を原文照合。アレルギーの記述は使用していない) https://cfa.org/breed/devon-rex/
- TICA(The International Cat Association)公式ブリードページ "Devon Rex" (確認日 2026-09-07・HTTP 200。Historyタブ/Personalityタブ/Traitsタブを原文照合。Health・Groomingタブの手入れ頻度・検査推奨は使用していない) https://tica.org/breed/devon-rex/
- OMIA(シドニー大学 Online Mendelian Inheritance in Animals)"OMIA:001581-9685 : Curly coat, Devon rex in Felis catus" (確認日 2026-09-07・HTTP 200・27,540バイト。Molecular basis節の前半のみ使用。本記事でKRT71という遺伝子名の出所とするのはこのページ。アリル階層の文はK38の持ち分のため使用していない) https://www.omia.org/OMIA001581/9685/
- MSD Veterinary Manual(飼い主向け版)"Congenital and Inherited Skin Disorders of Cats" (確認日 2026-09-07・HTTP 200。Hereditary Hair Loss節の1文のみ使用) https://www.msdvetmanual.com/cat-owners/skin-disorders-of-cats/congenital-and-inherited-skin-disorders-of-cats
この記事について
内容確認日: 2026-09-07(この日時点の一次情報にもとづいています)
本記事は一般的な参考情報であり、獣医療行為やその代替ではありません。うちの子の体調で気になることがあるときは、かかりつけの獣医師にご相談ください。
つづけて読む
猫の遺伝病一覧|猫種ごとに報告が多いとされる病気と家系での備え
猫の遺伝性疾患には、心臓、腎臓、骨・関節など、体のどこに関わるかで様々な種類があります。埼玉県獣医師会・東京都動物愛護相談センターの情報をもとに、猫種によって報告の傾向が異なるとされる理由から、代表的な病気の全体像、遺伝子検査という選択肢まで整理しました。
よむ猫のはなし猫の遺伝子検査ガイド|種類・費用・何がわかるか
猫の遺伝子検査で何がわかり、何がわからないのか。検査の種類・費用の目安から、猫特有の血液型不適合(新生児溶血)の話まで、特定の検査会社に偏らない中立な立場で解説します。結果は家系に残す情報のひとつです。
よむ猫のはなし猫の健康診断|頻度の考え方と、結果を「推移」で残すということ
猫は不調を隠すとされ、健康診断のタイミングを決めかねている飼い主も多いはずです。米国の団体(AAHA/AAFP)が公表しているライフステージ別ガイドラインをもとに頻度の考え方を整理し、健診で見ている項目、そして結果を「推移」で残すことがなぜ役立つのかを紹介します。
よむ