猫のはなし

猫の遺伝子検査ガイド|種類・費用・何がわかるか

内容確認日 2026-09-02うちのこ家系図 読みもの

猫の遺伝子検査は口腔内のサンプル採取から始まる。血液型など猫ならではの検査項目がある
目次
  1. 1調べられるのは大きく3つの領域
  2. 2血液型と新生児溶血(NI)——猫ならではの検査項目
  3. 3犬の遺伝子検査との違い
  4. 4費用の目安と受け方の流れ
  5. 5結果が届いたら: 3つの心得
  6. 6雑種猫と遺伝子検査
  7. 7結果は「家系の記録」として残す
  8. 8よくある質問
  9. 9まとめ|「何が調べられて、何が調べられないか」から始める

猫の遺伝子検査は、犬に比べるとまだ話題になる機会が少なく、「そもそもうちの子に関係があるの?」というところから始まる方が多いと思います。

実は猫の検査には、血液型のように、猫だからこそ意味を持つ項目があります。一方で、調べれば何でもわかるという類のものでもありません。この記事では、猫の遺伝子検査で調べられる領域・費用の目安・結果の受け止め方を、特定の会社をすすめない中立の立場でまとめました。

調べられるのは大きく3つの領域

要点: 猫の遺伝子検査が対象にするのは、①遺伝性疾患のリスク、②毛色・毛の長さなどの形質、③血液型です。調べられる項目数は猫種によって差があります。

検査キットの多くは、口の中を綿棒でこすって細胞を採り、そこからDNAを読み取る方式です。調べられる領域は、大きく3つに分かれます(Orivet Japan公式サイト・確認日 2026-09-02)。

  • 遺伝性疾患: 将来の発症に関わるとされる遺伝子変異を持っているかどうか
  • 形質: 毛色・毛の長さ・体の特徴といった、見た目に関わる遺伝要素
  • 血液型: 外見からは判断できない血液型を、遺伝子から判定する

注目したいのは、「猫種によっては10種類以上の疾患・形質検査が可能」とされている点です(Orivet Japan公式サイト・確認日 2026-09-02)。裏を返せば、検査メニューの厚みは猫種ごとにまちまちだということ。「猫の検査で何がわかるか」と一般論で考えるより、「うちの子の猫種では何が調べられるか」から確認するのが実際的です。

血液型と新生児溶血(NI)——猫ならではの検査項目

要点: 母猫と子猫の血液型が合わない組み合わせでは、新生児同種免疫溶血(NI)と呼ばれる命に関わることもある状態が起きるとされ、繁殖の場面では血液型の把握が重視されています。

犬の検査メニューと見比べたとき、猫側で目を引くのが血液型です。

猫の血液型は、主にA型・B型・AB型に分けられるとされています。そして、母猫と子猫の血液型が合わない場合に起きる「新生児同種免疫溶血(NI)」は、命に関わることもあるとされています(Orivet Japan公式サイト・確認日 2026-09-02)。このため、繁殖にたずさわる場面では、交配の前に血液型を確認しておくことに意味があるとされています。

家庭の飼い猫にとっても、血液型は無関係ではありません。万一、輸血が必要になったとき、型がわかっていれば獣医師に伝えられる情報がひとつ増えます。ただし、輸血できるかどうかの判断は適合試験を含めて獣医師が行うものです。「調べておけば安心」と考えるより、「いざというときに伝えられる材料が増える」と捉えるのが適切です。

犬の遺伝子検査との違い

要点: 検査の仕組み自体は共通ですが、メニューの重心が違います。猫は血液型と猫種ごとの疾患・形質検査が中心で、費用水準も同じ会社の例では猫のほうが低めです。

採取からラボでの分析、結果の通知までという基本の流れは、犬も猫も変わりません。違うのはメニューの中身です。

  • 猫には血液型という独自の重要項目がある
  • 検査できる項目は猫種ごとの差が大きい
  • 同じ会社の公開料金で比べると、猫のほうが低めの設定になっている例があります(Orivet Japanの場合、猫の単検査7,500円に対して犬の単検査10,700円。確認日 2026-09-02)

また、猫の検査にはDNA親子鑑定やDNAプロファイル(個体識別情報の登録)というメニューもあります(Orivet Japan料金ページ・確認日 2026-09-02)。血統書の記載とあわせて、親子関係を確かめたい場面で使われる検査です。

犬側の事情——「何犬か」を調べる犬種鑑定や、「キャリア(保因)」という考え方の詳しい説明——は、犬の遺伝子検査ガイド|種類・費用・何がわかるかにまとめています。

費用の目安と受け方の流れ

要点: 一例として、Orivet Japanでは猫の単検査7,500円・セット検査「My CatScan」14,900円・DNA親子鑑定(3頭セット)25,650円・DNAプロファイル9,000円という料金が公開されています(確認日 2026-09-02)。

料金は、会社とプランで大きく変わります。上に挙げたのはあくまで1社の公開例で、サンプルの返送費用が別にかかる場合もあります(Orivet Japan料金ページ・確認日 2026-09-02)。比較するときは、金額より先に「調べたい項目がそのプランに含まれているか」を確認する順番が、失敗しにくい選び方です。

受け方は、公式サイトでキットを注文し、自宅で口腔内のサンプルを採って返送し、ラボでの分析を経て結果を受け取る、というのが一般的な流れです。会社によってはサンプルが海外のラボへ送られることもあり(Orivet Japanでは米国のラボに提出するとされています。確認日 2026-09-02)、結果までの日数はまちまちです。急ぐ事情があるなら、納期の目安も申し込み前に確認しておきましょう。

結果が届いたら: 3つの心得

要点: 遺伝子検査の結果は診断ではありません。「変異あり」がそのまま発症を意味しないこと、調べられていない病気があること、判断は獣医師と一緒に行うこと。この3つを押さえてください。

  1. 「リスクあり」は「発症する」ではない——検査が示すのは遺伝的な傾向であって、病気の診断ではありません。原因遺伝子を1つだけ持つ「保因(キャリア)」の状態は、多くの場合、その子自身の発症を意味しないとされています
  2. 「異常なし」は「病気にならない」ではない——検査の対象になっている変異は、猫の病気全体から見ればごく一部です。結果がきれいでも、健診や日々の観察の価値は変わりません
  3. 結果は獣医師と共有する——気になる項目があったときはもちろん、なかったときも、結果票をかかりつけの獣医師に見せておくと、その後の健康管理の文脈で活きることがあります。自己判断で食事や暮らしを変える前に、まず相談してください

雑種猫と遺伝子検査

要点: ルーツのわからない子ほど、検査が「知る手段」になり得ます。

保護猫として迎えた子は、親の情報が何も残っていないことが珍しくありません。遺伝子検査は、そうした子の毛色の成り立ちや体質の傾向を知る、数少ない手段のひとつになり得ます。猫の柄がどう決まるかは、雑種猫(ミックス猫)の遺伝と健康|柄の由来から解説で解説しています。

結果は「家系の記録」として残す

要点: 検査結果は1匹で完結する情報ではなく、家系に置いてこそ将来につながります。

遺伝子検査の結果票は、引き出しにしまうとそれきりになりがちです。うちのこ家系図なら、家系図に検査結果をひもづけて残せます。血統書は、写真に撮って、読み取られた内容を確認して、家系図として保存する、という流れで登録できます。いつか兄弟猫や、うちの子の子ども・孫にあたる子とつながったとき、残しておいた結果がその子たちの手がかりになるかもしれません。家系図の作り方は猫の家系図の作り方|血統書から無料でたどる方法をご覧ください。

よくある質問

Q. 何歳から受けられますか?

遺伝情報は生涯変わらないため、子猫のうちから検査できるとされています。対象月齢の下限は、各社の案内で確認してください。

Q. 繁殖の予定がなければ、血液型検査は不要ですか?

必須とまでは言えません。ただ、輸血などの緊急時に獣医師へ伝えられる情報がひとつ増える、という備えの意味はあります。必要性は暮らし方によって変わるので、健診のついでに獣医師に聞いてみるのもよい方法です。

Q. 結果が「保因(キャリア)」でした。兄弟の飼い主に伝えるべきですか?

伝える義務はありません。連絡を取れる関係であれば情報として共有される例もありますが、受け取り方は相手の事情にもよります。家系図でゆるくつながっておき、聞かれたら答えられる状態にしておく、という距離感もあります。

Q. 結果はどのくらいで届きますか?

会社・検査項目・ラボの所在地によって異なります。海外のラボで分析される場合は輸送の日数も加わります。申し込み前に、納期の目安を各社の案内で確認してください。

まとめ|「何が調べられて、何が調べられないか」から始める

  • 猫の遺伝子検査の対象は、遺伝性疾患・毛色などの形質・血液型の3領域
  • 血液型は、NI(新生児溶血)との関係で猫ならではの意味を持つ項目
  • 検査できる項目は猫種によって差がある。「うちの子の猫種で何が調べられるか」を先に確認
  • 結果は診断ではない。保因=発症ではなく、対象外の病気も多い。共有先はまず獣医師
  • 結果票は家系の記録として残すと、うちの子の先にいる子たちの手がかりにもなる

本記事は特定の検査サービスの推奨・あっせんを目的としたものではありません。検査の要否や結果の解釈は、かかりつけの獣医師にご相談ください。 費用・サービス内容は2026年9月2日時点の各社公式サイトの記載にもとづきます。変更される場合があるため、最新情報は公式サイトでご確認ください。

出典・参考

  • Orivet Japan「猫のDNA検査」 (確認日 2026-09-02。遺伝性疾患・毛色や毛の長さ等の形質・血液型が検査対象であること、「猫種によっては10種類以上の疾患・形質検査が可能」であること、サンプルは米国のラボに提出されること、血液型不適合による新生児同種免疫溶血(NI)は「命に関わることもある」との記載を確認) https://orivet.jp/pages/dna-test-cat
  • Orivet Japan 料金ページ (確認日 2026-09-02。猫用は単検査7,500円・セット検査My CatScan 14,900円・DNA親子鑑定3頭セット25,650円・DNAプロファイル9,000円、犬用は単検査10,700円、サンプル返送費用は利用者負担の記載を確認) https://orivet.jp/pages/fee

この記事について

内容確認日: 2026-09-02(この日時点の一次情報にもとづいています)

本記事は一般的な参考情報であり、獣医療行為やその代替ではありません。うちの子の体調で気になることがあるときは、かかりつけの獣医師にご相談ください。