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子犬のワクチンのスケジュール|法律で決まっているものと、そうでないもの・残しておく紙の話

内容確認日 2026-09-06うちのこ家系図 読みもの

子犬のワクチンのスケジュール。法律で決まっているものと、そうでないもの・接種のたびに増える紙の記録
目次
  1. 1結論|法律で決まっているものと、そうでないものがある
  2. 2狂犬病予防注射|法律で定められている制度
  3. 3混合ワクチンについて、ガイドラインが説明していること
  4. 4できあがる紙は、それぞれ何か
  5. 5いつ必要になるか
  6. 6記録として残す
  7. 7よくある質問
  8. 8まとめ|法律とガイドライン、それぞれの役割

子犬を迎えると、ワクチンのことで「いつ」「何回」という疑問が出てきます。この記事は、法律で決まっていること・ガイドラインが説明していること・そして接種のたびに増えていく紙が何のためにあるのかを、条文と公式ガイドラインをもとに整理する記事です。うちの子にとってのタイミングは、かかりつけの獣医師にご相談ください。

結論|法律で決まっているものと、そうでないものがある

要点: 犬のワクチンのうち、狂犬病予防注射は狂犬病予防法という法律で年1回の接種が義務づけられています。それ以外の混合ワクチンは法律上の義務ではなく、世界小動物獣医師会(WSAVA)などのガイドラインが接種の考え方を示しています。

犬のワクチンと聞くと、ひとまとめに考えてしまいがちですが、法律上の位置づけはまったく異なる2種類に分かれます。ひとつは狂犬病予防法で定められている狂犬病予防注射、もうひとつは、ジステンパーやパルボウイルスなどを防ぐ混合ワクチンです。混合ワクチンの接種は法律上の義務ではなく、世界小動物獣医師会(WSAVA)などの専門家団体が作成したガイドラインに沿って行われています。この記事では、当社の判断として「いつ」「何回」打つべきかを示すことはしません。法律とガイドラインがそれぞれ何を定めているかを紹介し、接種のたびにできあがる紙をどう残しておくとよいかをまとめます。

狂犬病予防注射|法律で定められている制度

玄関で若い赤毛の柴犬タイプの犬の首輪の金具に、何も刻まれていない小さな金属のタグを取り付ける女性

要点: 狂犬病予防法は、犬の所有者に対し、犬を迎えてから一定期間内の登録と、毎年1回の狂犬病予防注射を義務づけています。登録すると鑑札が、予防注射を受けると注射済票が交付されます。

狂犬病予防法は、犬の登録と予防注射について、次のように定めています。

犬の所有者は、犬を取得した日(生後九十日以内の犬を取得した場合にあつては、生後九十日を経過した日)から三十日以内に、厚生労働省令の定めるところにより、その犬の所在地を管轄する市町村長(特別区にあつては、区長。以下同じ。)に犬の登録を申請しなければならない。 (出典: 狂犬病予防法 第四条第一項)

犬の所有者(所有者以外の者が管理する場合には、その者。以下同じ。)は、その犬について、厚生労働省令の定めるところにより、狂犬病の予防注射を毎年一回受けさせなければならない。 (出典: 狂犬病予防法 第五条第一項)

つまり、犬を迎えたら一定期間内に市町村へ登録の申請をすること、そして毎年1回、狂犬病の予防注射を受けさせることが、法律上の義務として定められています。登録の申請をすると市町村長から犬の鑑札が交付され(同法第四条第二項)、予防注射を受けると注射済票が交付されます(同法第五条第二項)。どちらも「その犬に着けておかなければならない」と定められています(同法第四条第三項・第五条第三項)。登録の手続き先や具体的な届出の流れは、お住まいの市区町村の案内をご確認ください。

なお、犬の登録という言葉には、これとは別の制度もあります。マイクロチップの登録は、動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法)にもとづく制度で、同法は第四章の三に「犬及び猫の登録」という章を置き、マイクロチップを装着した犬猫の所有者に対して「環境大臣の登録を受けなければならない」と定めています(同法第三十九条の五第一項)。狂犬病予防法の犬の登録は市町村長への申請、マイクロチップの登録は環境大臣への申請で、根拠となる法律も届け出る先も別の制度です。名前が似ているため混同されがちですが、片方を済ませればもう片方が不要になるという関係にはありません。

混合ワクチンについて、ガイドラインが説明していること

要点: 混合ワクチンは法律上の義務ではありません。世界小動物獣医師会(WSAVA)のガイドラインは、母親由来の移行抗体(MDA)が子犬のワクチンの効果を妨げることがあるため、コアワクチンを複数回、最後の接種が生後16週齢以降になるように行い、その後生後6か月または12か月で追加接種(ブースター)を行うことを推奨する、と説明しています。

混合ワクチンは、狂犬病予防注射とは違い、法律で義務づけられているものではありません。世界小動物獣医師会(WSAVA)のワクチネーション・ガイドライン・グループ(VGG)は、犬と猫のコアワクチン(世界中で重い感染症から動物を守るために、状況にかかわらずすべての犬猫に接種すべきとされるワクチン)について、日本語版ガイドラインで次のように説明しています。

VGGは、母親由来の移行抗体(maternally derived antibody, MDA)が、幼少期の子犬や子猫に現在使用されているほとんどのコアワクチンの効果を著しく阻害することを認識している。MDAのレベルは同腹子間でも大きなばらつきがあるため、子犬や子猫に対してはコアワクチンを複数回、最後の回が16週齢またはそれ以降となるように接種し、次いで生後6または12ヵ月でブースター接種を行うことを推奨している。 (出典: WSAVA「犬と猫のワクチネーションガイドライン」日本語版)

同ガイドラインは、この推奨の理由についても説明しています。生後数週間の子犬の多くは母親由来の移行抗体で守られていますが、この受動免疫は生後8〜12週齢までに、能動的な免疫がつくれるレベルまで弱まるとされる一方、中には生後12週齢を過ぎてもワクチンに反応できないほど高い移行抗体を持つ子犬もいるとされています(同上)。そのため、「VGGは、6〜8週齢で初回のコアワクチン接種を行い、その後、16週齢またはそれ以降まで2〜4週間隔で接種を行うことを推奨する」とされ、「子犬が初年度にコアワクチンの接種を受ける回数は、ワクチネーションが開始された時点での年齢と選択された接種の間隔によって決定される」と説明されています(同上)。同ガイドラインの例では、「6または7週齢でワクチネーションを開始した場合、接種の間隔を4週とすれば初年度コースのコアワクチンの接種回数は4回となるが、これを8または9週齢で開始し、接種の間隔を同じ4週にした場合には、必要な接種回数は3回のみとなる」とされています(同上)。

このように、「何回」接種することになるかは、開始時期と間隔の選び方によって変わる、というのがガイドラインの説明です。うちの子にとってどのタイミングがよいかは、かかりつけの獣医師と相談して決めることになります。

できあがる紙は、それぞれ何か

ダイニングテーブルに無地の小さなカード2枚と罫線だけの用紙を並べる男性と、椅子に前足をかけて見上げる赤毛の柴犬タイプの子犬

要点: 狂犬病予防注射を受けた犬には、法律に基づいて注射済票が交付されます。混合ワクチンについては、法律上の交付義務はありません。接種を受けた際に日付や種類を記した書類を受け取ることがありますが、その名称や記載内容は動物病院によって異なります。

犬を迎えてから最初の1年で、いくつかの紙が手元に増えていきます。

  • 鑑札: 狂犬病予防法に基づき、犬の登録をすると市町村長から交付される(同法第四条第二項)
  • 注射済票: 狂犬病予防法に基づき、狂犬病予防注射を受けると市町村長から交付される(同法第五条第二項)
  • 接種証明書など: 混合ワクチンを受けたときに、接種した日付や種類を記した書類を受け取ることがある。法律で様式が定められた書類ではないため、名称も記載内容も発行元によって異なる

鑑札と注射済票は法律に基づいて交付される公的な書類で、犬に着けておくことが義務づけられています。一方、混合ワクチンの接種を記した書類は、法律上の交付義務があるわけではありません。だからこそ、受け取ったときに手元にあるかどうかを確かめ、内容を控えておく意味があります。詳しくは次の項で紹介します。

いつ必要になるか

床でキャンバス地のトートバッグに無地の書類を入れる男性と、そばに座って見る赤毛の柴犬タイプの子犬

要点: 環境省は、災害への日頃の備えの一つとして「ワクチン接種や寄生虫の駆除など、健康面のチェックを」と呼びかけています。預け先や旅行先でも提示を求められる場合があるため、書類が手元にあるかを確認しておくと安心です。

接種の記録や、鑑札・注射済票は、日常生活の中でしまい込んだままになりがちです。しかし環境省は、飼い主が災害に備えていまやるべきこととして「ワクチン接種や寄生虫の駆除など、健康面のチェックを」を挙げ、あわせて「最低限のしつけや、ケージに慣らす訓練、マイクロチップなどによる所有明示を」「ペットの受入れ対応を含め、事前に避難場所の確認を」と呼びかけています(環境省「ペットを飼っている皆さまへ-災害時のペットとの同行避難について-」)。接種の状況を自分で把握しておくことは、この「健康面のチェック」を平常時に済ませておくことの一部です。預け先を利用するときや旅行に連れて行くときも、預け先によっては提示を求められる場合があるため、書類が手元にあるかを確認しておくと安心です。災害時に持ち出す記録として何を準備しておくとよいかははぐれたときに備える身元表示と、持ち出す記録の作り方にまとめています。

記録として残す

ローテーブルのノートパソコンに映る家系図の画面を見る女性と、そばのラグに伏せる赤毛の柴犬タイプの子犬

要点: 接種のたびに発行される紙は、なくしたり色あせたりすることがあります。日付・ワクチンの種類・鑑札や注射済票の番号を、健康手帳や家系図にあわせて記録しておくと、後から見返すときに役立ちます。

紙の書類は、原本を保管しておくことに加えて、日付・接種した内容・番号を別の場所にも記録しておくと安心です。健康の記録全体をどう1冊にまとめるかの考え方はペットの健康手帳|通院・体重・接種を1冊にまとめる考え方で紹介しています。うちのこ家系図でも、血統書の有無にかかわらず、接種の記録や書類の情報を日付とともに書き残せます。お迎え直後に受け取る書類全般については子犬のお迎え初日|これから届く大事な書類も参考にしてください。

よくある質問

Q. うちの子は何回打てばいいですか?

この記事では、接種の回数や時期を当社の判断としてお伝えすることはできません。WSAVAのガイドラインは、開始時期と接種間隔によって初年度の回数が変わると説明しています。うちの子にとってのタイミングは、かかりつけの獣医師にご相談ください。

Q. 狂犬病予防注射と混合ワクチンは、同じものですか?

いいえ、別のものです。狂犬病予防注射は狂犬病予防法という法律で年1回の接種が義務づけられている制度です。混合ワクチンは法律上の義務ではなく、WSAVAなどのガイドラインに沿って行われるものです。

Q. 接種の記録をなくしてしまいました。再発行できますか?

接種した動物病院に確認するのが確実です。日頃から日付・種類・番号を家系図や健康手帳に控えておくと、なくした場合の手がかりになります。

まとめ|法律とガイドライン、それぞれの役割

  • 狂犬病予防注射は狂犬病予防法で年1回の接種が義務づけられている。登録すると鑑札、予防注射を受けると注射済票が交付される
  • 混合ワクチンは法律上の義務ではなく、WSAVAなどのガイドラインが接種の考え方を示している
  • 初年度の接種回数は、開始時期と接種間隔によって変わるとガイドラインは説明している
  • 混合ワクチンの接種を記した書類は、法律上の交付義務がなく、様式も発行元によって異なる。環境省は災害への日頃の備えとしてワクチン接種を含む健康面のチェックを挙げている
  • マイクロチップの登録(動物愛護管理法・環境大臣への登録)は、狂犬病予防法の犬の登録(市町村長への申請)とは別の制度
  • 紙の原本の保管に加えて、日付・内容・番号を家系図や健康手帳にも記録しておくと安心

接種のたびに増えていく紙は、うちの子の記録そのものです。法律で決まっているものと、そうでないものを区別しながら、記録として残していくことが、いざというときの備えになります。


本記事は参考情報です。ワクチンの接種時期・種類・回数の判断は、うちの子の状態を見ているかかりつけの獣医師にご相談ください。法律・制度は改正される場合があります。 記事中のデータは2026年9月6日時点でe-Gov法令検索・WSAVA公式サイトを確認したものです。

出典・参考

  • 狂犬病予防法(昭和二十五年法律第二百四十七号・最終改正 平成26年法律第69号) (確認日 2026-09-06。e-Gov法令検索APIで法令本文〈XML〉を取得し、第四条〈登録〉・第五条〈予防注射〉を条文単位で逐語照合) https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC1000000247
  • 環境省「ペットを飼っている皆さまへ -災害時のペットとの同行避難について-」(令和2年8月作成・環境省「ペットの災害対策」ページからリンクされている公式PDF) (確認日 2026-09-07。本記事の執筆者がChrome系UAでHTTP 200を取得しPyMuPDFでテキスト抽出のうえ逐語照合。日頃の備えとして「ワクチン接種や寄生虫の駆除など、健康面のチェックを」が挙げられていることを確認。M-07が使用しているのは同省の「ペットの災害対策」HTMLページと東京都の案内であり、M-07の台帳は転記していない=帰属7条) https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/1_law/files/poster09_2.pdf
  • 動物の愛護及び管理に関する法律(昭和四十八年法律第百五号) (確認日 2026-09-07。e-Gov法令検索APIで法令本文〈XML〉を取得し、第四章の三「犬及び猫の登録」・第三十九条の二〈マイクロチップの装着〉・第三十九条の五〈登録等〉を条文単位で逐語照合。狂犬病予防法の犬の登録とは根拠法・登録先が異なることの裏づけとして使用) https://laws.e-gov.go.jp/law/348AC1000000105
  • 世界小動物獣医師会(WSAVA)ワクチネーション・ガイドライン・グループ(VGG)「犬と猫のワクチネーションガイドライン」(日本語版・2015年) (確認日 2026-09-06。公式PDF日本語版をPyMuPDFでテキスト抽出し逐語照合。コアワクチンの定義・母親由来の移行抗体〈MDA〉の説明・子犬の初年度接種回数の考え方の項を確認) https://wsava.org/wp-content/uploads/2020/01/WSAVA-vaccination-guidelines-2015-Japanese.pdf

この記事について

内容確認日: 2026-09-06(この日時点の一次情報にもとづいています)

本記事は一般的な参考情報であり、獣医療行為やその代替ではありません。うちの子の体調で気になることがあるときは、かかりつけの獣医師にご相談ください。