血統書のきほん

犬のマイクロチップ登録と変更手続き|義務と努力義務の範囲

内容確認日 2026-09-07うちのこ家系図 読みもの

犬のマイクロチップ登録と変更手続き。義務と努力義務の範囲を環境省の資料から解説
目次
  1. 1どういう制度か|義務と努力義務の区別
  2. 2誰が・どこに・何を登録するのか
  3. 3変更が必要になる場面と、手数料
  4. 4同じ番号なのに、台帳が複数あるということ
  5. 5記録として残しておくこと
  6. 6家系でできること
  7. 7よくある質問
  8. 8まとめ|3段階に分かれた制度

「マイクロチップは義務」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、実際の制度は一段階ではありません。装着そのものと、装着した場合の登録、登録後の変更届で、それぞれ扱いが違います。この記事では、環境省の資料と動物愛護管理法の条文をもとに、その範囲を整理します。

どういう制度か|義務と努力義務の区別

要点: 家庭で飼っている犬にマイクロチップを装着すること自体は努力義務です。ただし、装着した場合の登録は義務になり、登録後に住所などが変わったときの変更の届出も義務です。

環境省の「犬と猫のマイクロチップ情報登録に関するQ&A」は、この制度で飼い主に義務付けられることについて、次のように説明しています。

ご家庭で飼育している犬猫へのマイクロチップの装着については努力義務ではありますが、マイクロチップを装着した場合に、登録は義務になります。ご家庭で飼育している犬猫に対して、獣医師に依頼し、マイクロチップを装着した場合には、指定登録機関の登録を受けなければなりません。 (環境省)

同じ回答は、このあと続けて2つの届出を挙げています。ひとつは、登録の手続きが完了したあとに登録事項(住所や連絡先等)に変更が生じた場合の「登録事項の変更の届出」。もうひとつは、飼育している犬猫が死亡した場合の届出です。そして、これらの手続きを行わないと法律違反になる、と注意されています(同上)。このうち死亡した場合の手続きは、この記事では扱わず、後半で専用の記事に譲ります。

ブリーダーやペットショップ以外——知人や動物保護団体などから犬を譲り受けた場合も、装着そのものは義務ではなく、装着するように努めることとされています(努力義務)。ただし、マイクロチップを装着した場合は、登録が義務になります(環境省)。

つまりこの制度は、①家庭で飼育している場合の装着=努力義務、②装着した場合の登録=義務、③登録後の変更の届出=義務、という3段階に分かれています。動物の愛護及び管理に関する法律の第三十九条の二第2項も、犬猫等販売業者以外の所有者について「その所有する犬又は猫にマイクロチップを装着するよう努めなければならない」と定めています(動物愛護管理法)。

条件を満たす市区町村では、登録を受けたマイクロチップが狂犬病予防法に基づく鑑札とみなされる特例もあります。ただしこれは、その犬の所在地を管轄する市区町村が「狂犬病予防法の特例」制度に参加している場合で、かつ生後91日齢以上の犬について適用されるものです(環境省)。

誰が・どこに・何を登録するのか

ダイニングでスマートフォンの空欄だけの入力画面を見る女性と、椅子の向こうの床に座る短毛の中型犬

要点: マイクロチップは動物病院で獣医師が装着します。登録の申請先は、環境大臣が指定した指定登録機関(公益社団法人日本獣医師会)です。この制度は、同じ団体が別に行っている民間の登録事業(AIPO)とは別の仕組みです。

マイクロチップは、動物病院などで獣医師が専用の注入器を使って皮下に埋め込みます。装着した獣医師からは「マイクロチップ装着証明書」が発行され、これは登録手続きに必要になるため大切に保管するよう案内されています(環境省)。

登録の申請先は、環境大臣が指定した指定登録機関です。この指定登録機関には、公益社団法人日本獣医師会が指定されています(環境省)。この環境省の登録制度は、同じ日本獣医師会が民間登録団体として実施しているマイクロチップ登録事業(AIPO)とは別の制度なので、混同しないよう案内されています(同上)。

登録の申請は、自分のパソコンやスマートフォンを使ってオンラインで行うことができます。その際には、獣医師が発行したマイクロチップ装着証明書を添付する必要があります。登録が完了すると「登録証明書」が発行されるので、大事に保管するよう案内されています(同上)。

もし装着証明書をなくしてしまった場合は、マイクロチップを装着した獣医師に再発行を依頼するよう案内されています。装着した獣医師が分からない場合は、ほかの獣医師にマイクロチップが装着されているかの確認を依頼し、読み取ったマイクロチップの識別番号が記載された書面(診断書等)の交付を受ける、という手順が示されています(同上)。

装着証明書と登録証明書、この2枚の書類の関係を知っておくと、あとで触れる家系の記録にもつながります。指定登録機関のよくある質問も、登録証明書について「『犬と猫のマイクロチップ情報登録』サイトでの手続に必要になります。また、犬や猫を譲渡するときには、その犬や猫と一緒に登録証明書を新しい飼い主に渡してください」と説明しています(指定登録機関)。

変更が必要になる場面と、手数料

引っ越しの段ボールが積まれた部屋の床に座り、そばの短毛の中型犬の背に手を置く男性

要点: 住所や氏名が変わったときの「登録事項の変更の届出」と、飼い主が変わったときの「変更登録」は別の手続きです。どちらの手続きでも登録証明書が必要ですが、手数料がかかるのは「変更登録」だけです。

登録内容のうち、氏名・住所・電話番号などが変わった場合は「登録事項の変更の届出」を行います。オンラインでも紙でも手続きでき、手数料はかかりません。そしてこの届出の際にも、登録証明書が必要になるため、なくさないように気をつけるよう案内されています(環境省)。

一方、マイクロチップが装着された犬を譲り受けるなど、飼い主が変わる場合は「変更登録」という別の手続きになります。この場合も、前の所有者や飼い主から犬と一緒に譲り渡される登録証明書が必要です(環境省)。名前が似ていますが、この2つは別の手続きとして案内されています。登録証明書はどちらの場面でも要る、と覚えておくと迷いません。

なお、オンラインで申請した場合、登録証明書は電子ファイル(PDF)でダウンロードできます。ダウンロードした登録証明書は、印刷して渡しても、電子データとしてメールに添付して渡しても問題ないとされています(同上)。

手数料は次のとおりです。

手続きオンライン申請紙申請
登録・変更登録400円1,400円
登録証明書の再交付300円1,300円
登録事項の変更届無料無料

上記は2026年9月7日時点で環境省の案内ページに掲載されていた金額です。制度の手数料は変更される場合があるため、最新の金額は環境省の公式サイトでご確認ください。 次回点検予定: 2027-03-06

同じ番号なのに、台帳が複数あるということ

ローテーブルに2枚の無地の書類を並べて見比べる女性と、少し離れたラグに伏せる短毛の中型犬

要点: 血統証明書にマイクロチップの番号を記載する仕組みと、環境省の登録制度は別々の仕組みです。令和4年6月1日より前に民間の登録団体へ登録していた場合も、環境省の制度への登録義務は生じません。

血統証明書には、マイクロチップの番号を記載する欄を設けている団体もあります。ただし、血統証明書へのマイクロチップ番号の記載手続きと、ここまで説明してきた環境省の登録制度は、別々の仕組みです。同じ番号でも、記録されている台帳が複数あるということです。血統証明書に関わるDNA登録の仕組みについては、JKCのDNA登録とは|目的・やり方と遺伝子検査との違いで解説しています。

では、環境省の制度が始まる前から民間の登録団体に登録していた場合はどうなるのか。環境省のQ&Aは、令和4年6月1日より前に民間登録団体が個別に実施しているマイクロチップ登録事業に登録している場合について、販売業者以外の飼い主が現在所有している犬や猫については登録の義務はない、と説明しています。そのうえで、登録を希望する場合は指定登録機関のコールセンターに問い合わせるよう案内しています(環境省)。

つまり、AIPOなどの民間の登録に入っているからといって、自動的に環境省の制度に移るわけではなく、また移らなければ違反になるわけでもありません。うちの子の番号がどの台帳に載っているのかを、飼い主の側で把握しておくことが必要になります。

記録として残しておくこと

首のうしろから肩甲骨のあいだあたりに指先をそっと当てられている短毛の中型犬と、床に座った男性

要点: マイクロチップには世界で唯一の15桁の数字(ISO規格の個体識別番号)が記録されています。迷子や災害・盗難・事故などで離ればなれになったときに、この番号から飼い主の情報と照合できます。

マイクロチップには、世界で唯一の15桁の数字(ISO規格の個体識別番号)が記録されており、この番号を専用のリーダーで読み取る仕組みになっています(環境省)。控えを残しておくなら、この15桁の番号そのものが基本になります。

そして、迷子になったときや、地震や水害などの災害、盗難や事故によって飼い主と離ればなれになったときに、読み取った番号をもとに登録されている飼い主の情報と照合することで、飼い主のもとへ戻せる、という役割があります(同上)。災害への備え全般についてはペットの防災|同行避難の備えと、持ち出せるようにしておく記録で詳しく扱っています。

飼っている犬が亡くなったときの手続き全体は犬が亡くなったときの手続き|血統書と家系の記録はどうするにまとめています。この登録制度は猫も対象になっており、猫の場合の手続きは猫が亡くなったときの手続きと血統書|届出・マイクロチップ・記録で扱っています。

家系でできること

ひざにのせたタブレットの家系図の画面を見る女性と、少し離れたラグに伏せる短毛の中型犬

マイクロチップの15桁の番号や、装着証明書・登録証明書がどこにあるかを記録として残しておくと、必要なときにすぐ確認できます。うちのこ家系図には、こうした番号や書類の控えを、血統書の有無にかかわらず書き残せます。

よくある質問

Q. マイクロチップの装着は義務ですか?

ブリーダーやペットショップなどの販売業者には装着の義務があります。動物愛護管理法第三十九条の二第1項が、犬猫等販売業者について、犬又は猫を取得した日から一定の期間内にマイクロチップを装着しなければならないと定めているためです。一方、すでに家庭で飼っている犬への装着は、同条第2項の努力義務です。ただし、装着した場合は登録が義務になります。

Q. 引っ越しをしたら何をすればいいですか?

住所が変わった場合は「登録事項の変更の届出」を行います。オンラインでも紙でも手続きでき、手数料はかかりません。ただし、この届出の際にも登録証明書が必要になるので、手元に用意してから手続きしてください。

Q. 民間団体のマイクロチップ登録に入っています。何かする必要はありますか?

環境省のQ&Aは、令和4年6月1日より前に民間登録団体の登録事業に登録している場合、販売業者以外の飼い主が現在所有している犬や猫については登録の義務はないとしています。登録を希望する場合は、指定登録機関のコールセンターへの問い合わせが案内されています。

まとめ|3段階に分かれた制度

  • マイクロチップの装着は、家庭で飼っている犬については努力義務。装着した場合の登録は義務
  • 販売業者の装着義務は動物愛護管理法第三十九条の二第1項、家庭の飼い主の努力義務は同条第2項に定められている
  • 登録の申請先は指定登録機関(公益社団法人日本獣医師会)。民間のAIPO登録事業とは別の制度
  • 「登録事項の変更の届出」と「変更登録」は別の手続き。どちらも登録証明書が必要で、手数料がかかるのは変更登録のほう
  • 令和4年6月1日より前から民間登録団体に登録していた場合、販売業者以外の飼い主に環境省制度への登録義務はない
  • マイクロチップの番号は世界で唯一の15桁(ISO規格)。迷子・災害時には、この番号の照合が飼い主のもとへ戻る手がかりになる

装着証明書と登録証明書、この2枚の書類の在りかと、15桁の番号を、家系の記録と一緒に残しておくと安心です。

出典・参考

  • 環境省「犬と猫のマイクロチップ情報登録に関するQ&A」(令和4年11月24日時点) (確認日 2026-09-07。Q2・Q3・Q4・Q5・Q6・Q7・Q8・Q10・Q11・Q12・Q13・Q14・Q16の各回答を確認。Q15〈死亡時の手続き〉は他記事が使用済みのため本記事では逐語引用していない) https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/pickup/chip_qa.html
  • 環境省「犬と猫のマイクロチップ情報登録について」 (確認日 2026-09-07。手数料表・狂犬病予防法の特例に関する説明を確認) https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/pickup/chip.html
  • e-Gov法令検索「動物の愛護及び管理に関する法律」(昭和四十八年法律第百五号) (確認日 2026-09-07。第三十九条の二第1項・第2項をAPI経由で取得し逐語確認) https://laws.e-gov.go.jp/law/348AC1000000105
  • 環境省指定登録機関「犬と猫のマイクロチップ情報登録」よくある質問 (確認日 2026-09-07。「登録証明書は何に使いますか」の回答を確認し本文で使用。指定登録機関〈公益社団法人日本獣医師会〉の公式解説サイトに本環境からHTTPS接続ができなかったため、実務ページとして使用) https://reg.mc.env.go.jp/owner/faq

この記事について

内容確認日: 2026-09-07(この日時点の一次情報にもとづいています)

本記事は2026年9月7日時点の環境省・e-Gov公式情報に基づく参考情報です。制度・手数料は変更される場合があります。最新情報は環境省の公式サイトをご確認ください。

本記事は一般的な参考情報であり、獣医療行為やその代替ではありません。うちの子の体調で気になることがあるときは、かかりつけの獣医師にご相談ください。