猫のはなし 更新

キジトラ猫|「キジ」と「トラ」の意味と、ヤマネコに近い毛色柄

うちのこ家系図 編集部・更新 ・内容確認日 2026-10-02

うちの子の家系図を撮ってはじめる
段ボールの爪とぎの上で伏せる、茶色の地に黒い縞のキジトラ
目次
  1. 1「キジ」は鳥の羽、「トラ」は虎の毛|辞書にある雉猫と虎猫
  2. 2茶系の地に黒い縞|JSPCAの一覧と、団体の標準の BROWN TABBY
  3. 3毛色柄は、家猫のもとになったヤマネコに近い
  4. 4飼い主のいない猫の助成の申請では、3年とも1位
  5. 5同じキジトラでも呼び名に幅がある|茶シマ・こげ茶ヒョウ・キジ白
  6. 6額・脚・しっぽの縞を撮って、家系図のページに並べる
  7. 7よくある質問
  8. 8まとめ

キジトラの「キジ」は鳥のキジ、「トラ」は虎の毛。名前の手がかりは、辞書の雉猫と虎猫にあります。見た目は、茶系の地に黒い縞です。

この記事では、名前の意味、ヤマネコに近いとされる毛色柄、呼び名の幅を、確かめた資料の範囲で紹介します。

「キジ」は鳥の羽、「トラ」は虎の毛|辞書にある雉猫と虎猫

サンルームのタイルの上で横向きに寝そべるキジトラ

要点: キジトラという項目は、確かめた辞書(コトバンク)にはありませんでした。手がかりは雉猫と虎猫で、キジは鳥のキジの羽や背、トラは虎の毛にたとえた説明です。

まず、キジトラという語そのものです。コトバンクで見出し語を引くと、キジトラも雉虎も項目がありませんでした。確かめたのはコトバンクだけで、ほかの辞書は見ていません。

手がかりは、雉猫と虎猫の2つの項目です。

キジのほうから見ます。デジタル大辞泉は、雉猫を「キジの背のような」茶褐色の斑(ふ)がある猫としています。精選版 日本国語大辞典は、雉の羽の斑に似た毛の模様をもつ猫と書き、続けて虎斑(とらふ)の猫とも書いています。1つの項目の中に、キジの羽と虎斑が並んでいます。

精選版 日本国語大辞典が、猫の意味の雉猫の初出の実例として挙げているのは、1833年の雑俳です。言葉が生まれた年とは限りません。

トラのほうは、虎猫の項目があります。デジタル大辞泉は「虎毛の猫」、精選版は毛色が虎斑の猫としています。虎毛の項目を引くと、デジタル大辞泉は「虎のように、黄褐色の地に太く黒いしまのある毛並みや模様」と説明しています。

これは虎の毛のたとえです。猫の縞の太さを決める説明ではありません。

2つを合わせると、キジトラは、キジに似た茶色っぽい斑と、虎の毛のような縞を合わせた呼び名だと読めます。ただ、この2語から作られた名前だと書いた資料は、確かめられませんでした。これは当サイトの読みです。

茶系の地に黒い縞|JSPCAの一覧と、団体の標準の BROWN TABBY

籐のいすに座り、背中の縞を見せて振り返るキジトラ

要点: JSPCAの一覧でキジトラに入る呼び名は3つです。CFAの標準にある BROWN TABBY は、近い色名だと当サイトは読んでいます。

毛色の分類のひとつが、JSPCA(公益財団法人日本動物愛護協会)の毛色一覧です。注によると、独自の分類で、「不妊去勢手術助成事業」への申請に使います。

その一覧で、キジトラのグループに入っている呼び名は3つです。「キジトラ(茶系・黒シマ)」「キジトラ(茶系・茶シマ)」「こげ茶ヒョウ」です。

括弧の中の茶系は地の色、黒シマと茶シマは縞の色のことだと、当サイトは読んでいます。JSPCAは、括弧の語を説明していません。

猫種団体CFAのアメリカンショートヘアの標準には、BROWN TABBY という色名があります。

「BROWN TABBY: ground color brilliant coppery brown. Markings dense black.」

地の色は明るい銅色がかった茶色、縞は濃い黒、という意味です。

日本のキジトラに近い色名は BROWN TABBY だと、当サイトは読んでいます。ただし、CFAのページにキジトラという語は出てきません。BROWN TABBY はアメリカンショートヘアという猫種の標準の色名です。日本の呼び名と1対1で決まったものではありません。

毛色柄は、家猫のもとになったヤマネコに近い

本棚の天板に前足をかけて立つキジトラ。脚としっぽに輪の縞がある

要点: JSPCAは、リビアヤマネコの毛色柄もキジトラに近いと書いています。2012年の研究は、家猫のもとになった旧世界のヤマネコの模様を mackerel に似ていると書きますが、キジトラには触れていません。

JSPCAは、いまの猫のもとになったリビアヤマネコの毛色柄も、キジトラに近いと書いています。同じとは書いていません。

続けてJSPCAは、山の中や草むらで敵から身を守るときや、獲物をとるときに迷彩の効果が役立ち、生き残って増えてきたと思われる、と書いています。これはJSPCAの見方で、研究の結論ではありません。

別の資料もあります。2012年に Science に載った、猫の模様を調べた論文です。この論文は、家猫が約1万年前に生まれるもとになった旧世界のヤマネコは、mackerel に似た模様をもつ、と書いています。

「Old World wild cats, from which domestic cats arose ~10,000 years ago (8), exhibit a mackerel-like pattern.」

この文は、キジトラには触れていません。JSPCAのキジトラのグループには、こげ茶ヒョウも入っています。2つの資料を1つにまとめて、キジトラの縞はヤマネコと同じ、とは言えません。mackerel という縞の形の呼び名は、別の記事で紹介しています。

では、猫そのものは、どこで家畜になったのでしょう。2007年の論文は、猫が家畜化されたのは近東で、おそらく肥沃な三日月地帯で農村ができたころと重なる、と書いています。これは家猫のはじまりの話です。キジトラの柄の話ではありません。

mackerel の縞が体のどこに出るかは、CFAのアメリカンショートヘアの標準が書いています。脚には細い輪、しっぽにも縞、首と胸には鎖のような輪、額には M の形の縞、背中には線がまとまって細い鞍の形になる、体のまわりには細い縞、などと書かれています。

猫種の標準(理想の姿)の書き方なので、どの猫もこうなるわけではありません。キジトラなら必ず額に M がある、という意味でもありません。

縞の形を決める遺伝子のしくみは、猫の柄・模様の図鑑にまとめています。

飼い主のいない猫の助成の申請では、3年とも1位

木のいすの座面に正面を向いて座るキジトラ。額に M の形の縞。奥のソファで人がくつろぐ

要点: 助成を申請された飼い主のいない猫の集計(JSPCA・2021〜2023年)で、キジトラは3年とも1位でした。このページに載っているのは順位だけで、頭数や割合は載っていません。

JSPCAは、助成事業に申請された飼い主のいない猫の毛色を、年ごとに順位で公開しています。2021年から2023年の表では、毎年キジトラが1位でした。

2位は年によって変わります。2021年と2023年はキジ白・白キジ、2022年は黒白・白黒でした。

JSPCAは、申請された飼い主のいない猫の集計で、1位は「圧倒的に」キジトラだったと書いています。白が入ったキジトラと分類を分けているのに、どの年も2位とは頭数の差が大きく開いた、とも書いています。

このページには、頭数や割合は載っていません。差が何倍かは分かりません。

この順位に入っているのは、助成に申請された飼い主のいない猫だけです。飼い猫は数えていないので、日本の猫全体でキジトラが1位とは読めません。

同じキジトラでも呼び名に幅がある|茶シマ・こげ茶ヒョウ・キジ白

キャットタワーの上の台にいる2匹のキジトラ。縞の濃さが少し違う

要点: JSPCAの一覧で、名前にキジが付くグループは2つ(キジトラ、キジ白・白キジ)です。キジトラの語は、サビのグループのムギワラの説明にも出てきます。

JSPCAは、「キジトラでも様々な色柄があって」と書いています。その幅は、先ほどの一覧にも出ています。同じキジトラのグループに、縞が茶色の「キジトラ(茶系・茶シマ)」と、「こげ茶ヒョウ」も入っています。

白の入った呼び名は、別のグループに並んでいます。ランキングのページでJSPCAは、白が入ったキジトラとは分類を分けていると書いています。一覧では「キジ白」と「白キジ」が、別のグループにあります。白が入った呼び名が、この別のグループに当たると、当サイトは読んでいます。

白の入り方には幅があります。顔や体に入る白の幅は、別の記事で紹介しています。

名前にキジが付くグループは、一覧では「キジトラ」と「キジ白・白キジ」の2つです。ただ、キジトラが関わる呼び名は、これで全部ではありません。サビのグループの「ムギワラ(キジトラと茶トラ入り混じり)」にも、キジトラの語が出てきます。JSPCAの一覧は、キジトラと茶トラが入り混じった柄を、サビのグループに入れています。

キジトラと茶トラが入り混じるムギワラは、別の記事で紹介しています。

額・脚・しっぽの縞を撮って、家系図のページに並べる

コルクボードにキジトラの写真を留める手

要点: 額・脚・しっぽの縞は、あとで見返したくなる場所です。日付をつけた横からの写真を明るいところで1枚残せば、見比べられます。

ここからは、当サイトの一般的な提案です。

縞の入り方について、アメリカンショートヘアという猫種の標準(CFA)は、首や胸、背中などとあわせて、額、脚、しっぽにも触れていました。キジトラの縞を残すなら、額・脚・しっぽの3か所が見える写真が手がかりになります。全部の猫がこうなるわけではないので、見えるところだけで十分です。

撮るときは、明るい時間に、同じ場所で、体を横から。日付も書き添えます。これだけで、あとから比べられる記録になります。

親の毛色がわかるなら、それも書き留めておきます。あとで家系図を並べて見るときの手がかりになるからです。呼び名は人によって変わるので、キジトラと言われていた、とそのまま書くだけでも足ります。

よくある質問

Q. キジ猫とキジトラは同じ猫のことですか?

キジ猫とキジトラが同じ猫だと明記した資料は、今回調べた中にはありませんでした。辞書を引くと、雉猫はデジタル大辞泉で「キジの背のような」茶褐色の斑がある猫、精選版 日本国語大辞典で雉の羽の斑に似た毛の模様をもつ猫です。この説明はキジトラの見た目に重なる、というのが当サイトの読みです。なお、JSPCAの一覧にキジ猫という名前は無く、近いのはキジトラのグループだと当サイトは考えています。

Q. キジトラに正式な名前はありますか?英語では?

JSPCAの一覧の呼び名が正式な名前だ、とは言えません。一覧にある「キジトラ(茶系・黒シマ)」など3つは、申請のために独自に分けた呼び名だからです。英語の色名で近いのは、アメリカンショートヘアの標準(CFA)にある BROWN TABBY です(当サイトの読み)。

英語の tabby は、英和辞典(プログレッシブ英和中辞典 第5版)で「しま[ぶち,とら]ネコ」です。色の名前ではなく、縞やぶちのある猫のことです。キジトラの英語名は BROWN TABBY、と言い切ることはできません。

Q. キジトラはどこの国の猫ですか?

キジトラは猫種ではなく、柄の呼び名です。国で決まるものではありません。猫が家畜になった場所については、2007年の論文が近東で、おそらく肥沃な三日月地帯で農村ができたころと重なる、と書いています。家猫全体の話で、キジトラの柄の話ではありません。

Q. キジトラとサバトラは、どこを見て呼び分けますか?

JSPCAの一覧の括弧には、キジトラに茶系、サバトラにグレー系の語が入っています。当サイトは、この地の色の語を呼び分けの手がかりと読んでいます。サバトラについては、サバトラという呼び名で紹介しています。

まとめ

  • 確かめた辞書(コトバンク)に、キジトラの項目はなかった。雉猫は鳥のキジの背や羽、虎猫・虎毛は虎の毛の説明で、手がかりになる(当サイトの読み)
  • JSPCAの一覧のキジトラのグループは、3つの呼び名。茶シマ、こげ茶ヒョウも入る。一覧は申請用の独自の分類
  • JSPCAは、リビアヤマネコの毛色柄もキジトラに近いと書く。同じとは書いていない。2012年の論文は、家猫のもとになった旧世界のヤマネコの模様が mackerel に似ると書くが、キジトラには触れていない
  • 助成に申請された飼い主のいない猫の順位(JSPCA・2021〜2023年)で、キジトラは3年連続の1位。頭数や割合はこのページに載っておらず、猫全体で多いとは言えない
  • 白が入ると別のグループ(キジ白・白キジ)。ムギワラ(キジトラと茶トラ入り混じり)は、一覧ではサビのグループ

呼び名は、人によって少しずつ違うことがあります。額や脚の縞を日付つきの写真で残しておけば、呼び名が変わっても、同じ子だと見返せます。

出典・参考

  • 公益財団法人日本動物愛護協会「地域猫活動について」Q8-3 毛色一覧(JSPCAの毛色分類) (確認日 2026-10-02・HTTP 200。●キジトラ・●キジ白・白キジの欄、●サビの欄のムギワラの行、分類の注を原文照合) https://jspca.or.jp/localcat_coat_color_list.html
  • 公益財団法人日本動物愛護協会「地域猫活動について」Q8-1 JSPCA色柄ランキング(2021年~2023年・飼い主のいない猫の不妊去勢手術助成事業の申請の集計) (確認日 2026-10-02・HTTP 200。表と表の下の説明文を原文照合) https://jspca.or.jp/localcat_color_pattern_ranking.html
  • 公益財団法人日本動物愛護協会「地域猫活動について」Q8-2 なぜ飼い主のいない猫に「キジトラ」が多いのか (確認日 2026-10-02・HTTP 200。本文の2文目と5文目を原文照合。本文は「と言われています」「と思われます」の見方の文) https://jspca.or.jp/localcat_yellow-bellied_tigers.html
  • The Cat Fanciers' Association (CFA) "American Shorthair"(American Shorthair Colors の TABBY PATTERNS の MACKEREL TABBY・TABBY COLORS の BROWN TABBY の欄) (確認日 2026-10-02・HTTP 200) https://cfa.org/breed/american-shorthair/
  • コトバンク「雉猫」(デジタル大辞泉・精選版 日本国語大辞典) (辞書・語の意味と初出の実例に限る・確認日 2026-10-02・HTTP 200) https://kotobank.jp/word/%E9%9B%89%E7%8C%AB-473547
  • コトバンク「虎猫」(デジタル大辞泉・精選版 日本国語大辞典) (辞書・語の意味に限る・確認日 2026-10-02・HTTP 200) https://kotobank.jp/word/%E8%99%8E%E7%8C%AB-585445
  • コトバンク「虎毛」(デジタル大辞泉・精選版 日本国語大辞典) (辞書・語の意味に限る・確認日 2026-10-02・HTTP 200) https://kotobank.jp/word/%E8%99%8E%E6%AF%9B-585366
  • コトバンク 英和「tabby」(プログレッシブ英和中辞典 第5版) (辞書・語の意味に限る・確認日 2026-10-02・HTTP 200) https://kotobank.jp/ejword/tabby
  • Kaelin CB, Xu X, Hong LZ, et al. "Specifying and Sustaining Pigmentation Patterns in Domestic and Wild Cats." Science. 2012;337(6101):1536-1541. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3709578/ (確認日 2026-10-02・PMC の著者原稿で HTTP 200・書誌は PubMed の E-utilities で確認。本文第3段落の1文を原文照合) https://doi.org/10.1126/science.1220893
  • Driscoll CA, Menotti-Raymond M, Roca AL, et al. "The Near Eastern Origin of Cat Domestication." Science. 2007;317(5837):519-523. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5612713/ (確認日 2026-10-02・PMC の著者原稿で HTTP 200・要旨は PubMed の E-utilities でも 200。要旨を原文照合) https://doi.org/10.1126/science.1139518

この記事について

内容確認日: 2026-10-02(最後に出典を確かめ直した日。章ごとの確認日は本文と出典の欄のとおりです)

本記事は参考情報です。猫の体や健康についての診断・助言ではありません。気になることがあるときは、かかりつけの獣医師にご相談ください。

本記事は一般的な参考情報であり、獣医療行為やその代替ではありません。うちの子の体調で気になることがあるときは、かかりつけの獣医師にご相談ください。