猫のはなし 更新

猫の介護|「できなくなったこと」から始める、住まい・トイレ・毛づくろいの手助け

うちのこ家系図 編集部・更新 ・内容確認日 2026-10-02

うちの子の家系図を撮ってはじめる
明るいリビングで、低いテーブルの上のブラシと、奥のソファに座ってそれを見るキジトラの猫
目次
  1. 1結論|猫の介護は、何歳かより「できなくなったこと」から始まる
  2. 2猫は不調を隠す|変化に気づくのが遅れやすい理由
  3. 3上れない・滑る・冷える|段差と床と寝床の整え方
  4. 4トイレ・毛づくろい・爪|猫ならではの手助けと、置き場所を変えないこと
  5. 5ひとりで抱えない|世話をする人の負担
  6. 6写真と動画で、ふだんの様子を残す
  7. 7よくある質問
  8. 8まとめ|できなくなったことを見つけて、住まいと手助けで支える

猫の介護は、何歳になったかより、今までできていたことができなくなったところから始まります。

この記事では、住まいの段差や床、トイレ、毛づくろいと爪、世話をする人の負担、ふだんの様子の残し方を、この順に書きます。もとにしたのは、猫の診療ガイドライン、環境省と東京都・新潟県の資料、病気の猫の飼い主への調査です。当サイトの考えを書くところは、そう分かるように分けています。

結論|猫の介護は、何歳かより「できなくなったこと」から始まる

明るい窓辺に座り、窓の外を見ているキジトラの猫

要点: 猫の介護は、今までできていたことができなくなったところから始まります。家の中の整え方と手助けは家でできますが、いつもと違うと感じたら、まず動物病院へ。

AAFPの猫のシニアケアの診療ガイドライン(2021年)は、シニアの猫はみな、家での世話を手厚くする必要が出てくると書いています。年齢だけで弱るわけではありません。ただ、年をとるほど、弱った状態は多くなるそうです。

新潟県の下越動物保護管理センターのページも、近い見方です。筋力が落ちたり病気の影響が出たりして、今までできていたことができなくなると、世話が必要になってくることが予想される、と書いています。

ここから、当サイトの読み取りです。世話の始まりは、年齢の数字より、何ができなくなったかで見るほうが、うちの子に合います。

何歳からシニアとされているかは、猫のシニア期が何歳からとされているかにまとめています。

食事や点滴など治療に関わることは、かかりつけの獣医師と決めます。この記事では、家の中の整え方と、日々の手助けだけを書きます。

猫は不調を隠す|変化に気づくのが遅れやすい理由

明るい居間のラグに座り、こちらを見つめるキジトラの猫

要点: 猫は生まれつき、不調を隠すと言われています。そのため変化に気づくのが遅れやすく、いつもと違うと感じたら動物病院へ。

AAFPのガイドラインは、猫には不調を隠す生まれつきの力があると書いています。だから、高齢の猫ほど、定期的な診察がいっそう大切だそうです。

認知機能の変化について、同じガイドラインは、こう書いています。飼い主も獣医師も、ただの年寄り猫だから、で済ませてしまうことがある、という指摘です。

隠すからといって、見つけられないとは限りません。ふだんの様子を残しておくこと(この記事の後半で書きます)と、定期的な診察を、両方続けてください。いつもと違うと感じたら、動物病院へ相談してください。

健診の頻度の考え方は、猫の健康診断の頻度の考え方にまとめています。

上れない・滑る・冷える|段差と床と寝床の整え方

窓辺の座面へ上がる段差の前で、低い踏み台のそばの床に立ち、見上げるキジトラの猫

要点: 上れない・滑る・冷えるときは、夜の明かり、スロープや踏み台、滑りにくい床、暖かい寝床で整えます。ただ、上れなくなった・歩きにくそうといった動きの変化は、少しずつでも年のせいと決めずに、まず動物病院で相談してください。

住まいの整え方は、AAFPのガイドラインと環境省のパンフレットが、同じ方向を向いています。

まず、段差と暗さです。AAFPのガイドラインは、暗い所が見やすくなる夜の明かりを挙げています。お気に入りの場所に上がるためのスロープや踏み台、いろいろな休む場所や面を用意することも勧めています。環境省のパンフレットは、高いキャットタワーを低くすること、階段や台所に柵をして入れなくすることを挙げています。

次に、器です。縁が低く、底が広く、ひげが当たらない器が高齢の猫に向く、とAAFPのガイドラインは書いています。これは、器の形の話です。

器の高さは、別の話です。関節の病気や筋肉の衰えがある猫について、AAFPの表は、器を高くすることを挙げています。環境省のパンフレットも、食器を高くして食べやすくする、と書いています。

床は、環境省のパンフレットが、マットなどを敷いて滑りにくくすることを勧めています。爪が引っかかるような絨毯は、やめるそうです。

最後に、寝床です。東京都の動物愛護相談センターのページ(環境を整えよう)は、高齢の動物は、寝床で眠って過ごす時間が増える、と書いています。寒いときは、体が冷えないようにするよう勧めています。明るさや温度も調節して、快適な環境をつくるように、とも書いています。環境省のパンフレットは、やわらかい素材で、涼しい場所と暖かい場所の両方に寝床を、と書いています。AAFPの表も、関節の病気や筋肉の衰えがある猫に、暖かい寝床を挙げています。

トイレ・毛づくろい・爪|猫ならではの手助けと、置き場所を変えないこと

明るい部屋の床で、出入り口の低い箱に向かって歩くキジトラの猫

要点: 環境省や東京都の資料は、トイレの出入り口を低くすること、毛づくろいが届かなくなったらブラシで手伝うこと、爪を定期的に切ることを挙げています。認知機能の変化がある猫については、AAFPの表が、ごはん・水・トイレの置き場所を動かさないことを挙げています。いつもと違うと感じたら、動物病院へ。

トイレです。環境省のパンフレットは、入り口を浅くして段差をなくすこと、スロープをつけることを勧めています。いつも清潔に、とも書いています。関節の病気や筋肉の衰えがある猫について、AAFPの表も、出入り口の低いトイレを挙げています。

置き場所の話は、別にあります。認知機能の変化がある猫について、AAFPの表は、ごはん・水・トイレといった大事な物の置き場所を、動かさないことを挙げています。猫が必要な物を見つけやすくするためです。

毛づくろいです。東京都の動物愛護相談センターのページ(体のケア)は、猫は年をとると、口の中の病気の影響や毛質の変化、体の柔軟性の低下で、毛づくろいしたいところに口や手が届かなくなることがある、と書いています。そのうえで、「セルフグルーミングが減ってきたと感じたら、飼い主さんがなるべくブラッシングしてあげましょう」と勧めています。AAFPの表も、関節の病気で自分では毛づくろいしにくくなることがあるとして、毛づくろいの手伝いを挙げています。

爪です。AAFPの表は、定期的な爪切りを挙げています。爪がもろくなり、関節の病気で爪とぎが減ることがあるからです。環境省のパンフレットも、定期的な爪切りとブラッシングを挙げています。

家で爪を切るのが難しいときは、動物病院に相談してみてください。AAFPのガイドラインは、爪切りだけの予約が、家で切れない飼い主の助けになる、と書いています。ただ、どの動物病院でも受けているとは限りません。

ひとりで抱えない|世話をする人の負担

明るいダイニングのテーブルでマグカップを手にして向かい合う二人(顔は写っていない)と、足元の床に座るキジトラの猫

要点: 病気の猫を世話している飼い主は、健康な猫の飼い主より、世話の負担が大きかった、という調査があります。ひとりで抱え込まず、家族と協力し、かかりつけの動物病院に相談してください。

東京都の動物愛護相談センターのページ(選択肢を増やそう)は、高齢の動物の世話をひとりで担うのは、とても大変だと書いています。疲れてしまうと、動物とゆとりのある時間を過ごしにくくなります。だから、家族や周りの協力を得るよう勧めています。

世話の負担を調べた研究もあります。米国の研究者らが、オンラインで集めた回答を分析しています(Spitznagel ほか、2023)。病気の猫を世話している飼い主333人は、健康な猫の飼い主492人より、世話の負担を測る質問票の点数が高い結果でした。対象は、病気の猫の飼い主です。高齢や介護に限った調査ではありません。回答者は、ペットの飼い主が登録する調査の仕組みを通じて募った人たちで、ペットとの結びつきが特に強い人が多く集まった可能性があると、論文自身が書いています。

環境省のパンフレットは、介護について、ひとりで抱え込まないよう書いています。家族と協力したり、かかりつけの動物病院に相談したりして、無理なく続けられる方法で向き合いましょう、という呼びかけです。

新潟県のセンターのページは、家族みんなで協力して、たまには息抜きをすることも大切だと書いています。同じページは、介助や介護が必要になったのは、高齢になるまでしっかり生きてこられた証でもある、と結んでいます。

写真と動画で、ふだんの様子を残す

窓辺の座面に座るキジトラの猫と、猫に向けて床に置かれた小さな三脚つきのカメラ

要点: ふだんの様子を写真や動画で残し、続けて見返すと、その猫ごとの変化に早く気づける、とAAFPは認知機能の変化の節で書いています。

AAFPのガイドラインは、認知機能の変化の節で、こう書いています。日々の様子の写真や動画を撮って、続けて見返すよう獣医師が強く勧めると、その猫ごとの変化が早く見えてくる、という内容です。

ここからは、当サイトの一般的な提案です。

認知機能に限らず、ふだんの様子が残っていると、いつもと違う点を日付で振り返れます。動物病院で相談するときにも、見せられます。上手に撮る必要はありません。いつもの場所で、いつもの様子を、ときどき残しておくだけで十分です。

鳴き方の変化は、鳴いた場面の記録のつけ方で時刻と場面を書き留められます。

よくある質問

Q. 猫の介護がしんどいと感じるのは、おかしいことですか?

高齢の動物の世話をひとりで担うのはとても大変だ、と東京都の動物愛護相談センターも書いています。

病気の猫を世話している飼い主333人は、健康な猫の飼い主492人より、世話の負担が大きかった、という調査もあります。環境省のパンフレットは、ひとりで抱え込まず、家族と協力し、かかりつけの動物病院に相談するよう勧めています。

Q. 寝たきりになったら、家で何ができますか?

新潟県のセンターのページは、寝たきりの節で、食事の世話、体と毛の手入れ、トイレの工夫と排せつの手助け、そして定期的な動物病院の受診を挙げています。

猫については、年をとると舌で毛づくろいをしなくなり、届かない場所が出てくるので、こまめにブラシをかけるよう書いています。爪も、こまめに切るよう書いています。伸びすぎると丸まって肉球に刺さり、危険だからです。寝床は、暑すぎず寒すぎないように整えます。関節の病気や筋肉の衰えがある猫については、AAFPの表も暖かい寝床を挙げています。

体の向きの変え方や食べさせ方など、具体的な手順は、かかりつけの動物病院で教わってください。

Q. 猫の介護は何歳から必要ですか?

介護が何歳から必要になるかを、年齢で線を引いた資料は、この記事で確かめた範囲にはありませんでした。ただ、年齢と結びつけて書いている資料はあります。

AAFPのガイドラインは、年をとると関節の病気や認知機能の変化などが起こりやすくなるので、シニアの猫は家での世話を増やす必要が出てくる、という書き方です。新潟県のセンターのページも、シニア期について書いた段落で、筋力の低下や病気の影響などで今までできていたことができなくなり、世話が必要になってくることが予想される、と書いています。当サイトでは、何歳になったかより、何ができなくなったかを目安に見ることをすすめています。

Q. 老猫が歩けなくなったら、どうすればいいですか?

急に歩けなくなった・ふらつくときは、まず動物病院へ。少しずつ歩きにくくなってきたときも、年のせいと決めずに、動物病院で相談してください。原因を調べたり決めたりするのは、動物病院の役目です。

家では、環境を整えます。関節の病気や筋肉の衰えがある猫について、AAFPの表は、高い所に上がるための踏み台やスロープと、出入り口の低いトイレを挙げています。環境省のパンフレットは、マットなどを敷いた滑りにくい床を勧めています。

まとめ|できなくなったことを見つけて、住まいと手助けで支える

  • 猫の介護は、何歳かより、今までできていたことができなくなったところから始まる
  • 猫は生まれつき不調を隠すと言われる。いつもと違うと感じたら、動物病院へ
  • 夜の明かり、スロープや踏み台、滑りにくい床、暖かい寝床で、段差と床と寝床を整える。上れない・歩きにくそうといった変化は、年のせいと決めずに動物病院へ
  • トイレは出入り口を低く。毛づくろいはブラシで手伝い、爪は定期的に切る
  • 認知機能の変化がある猫については、ごはん・水・トイレの置き場所を動かさない
  • 病気の猫を世話する飼い主は、健康な猫の飼い主より負担が大きかった、という調査がある。ひとりで抱え込まず、家族と協力し、かかりつけの動物病院に相談する

介護は、うまくやることより、続けられることのほうが大切です。うちの子のふだんの様子を残しながら、少しずつ整えていきましょう。

その先のことが気になったら、見送ったあとの届出や血統書の手続きと、飼い主に何かあったときの備えも、あわせてどうぞ。


本記事は参考情報です。猫の体や健康についての診断・助言ではありません。気になることがあるときは、かかりつけの獣医師にご相談ください。 AAFPのガイドライン・環境省のパンフレット・東京都動物愛護相談センターと新潟県のページ・Spitznagel らの調査の記述は、2026年10月2日に確認したものです。

出典・参考

  • Ray M, Carney HC, Boynton B, et al. "2021 AAFP Feline Senior Care Guidelines." J Feline Med Surg. 2021;23(7):613-638 (診療ガイドライン・確認日 2026-10-02・Chrome UAでHTTP 200を取得しHTMLをgrep逐語照合。Management tools・The senior cat physical examination・Cognitive dysfunction syndrome と Table 5・Environmental changes と Table 6) https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10812122/
  • 環境省 自然環境局 動物愛護管理室 パンフレット「共に生きる 高齢ペットとシルバー世代」 (確認日 2026-10-02・HTTP 200・PDF。高齢ペットのケア〔高齢犬・高齢猫の過ごしやすい部屋づくり〕・ペットの介護とみとり〔介護〕) https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/r0109/pdf/full.pdf
  • 東京都動物愛護相談センター「快適に生活するためのヒント~選択肢を増やそう~」 (確認日 2026-10-02・HTTP 200) https://wannyan.metro.tokyo.lg.jp/kaigo/koramu3/
  • 東京都動物愛護相談センター「快適に生活するためのヒント~体のケア~」 (確認日 2026-10-02・HTTP 200。猫についての段落) https://wannyan.metro.tokyo.lg.jp/kaigo/koramu1/
  • 東京都動物愛護相談センター「快適に生活するためのヒント~環境を整えよう~」 (確認日 2026-10-02・HTTP 200。寝床の節) https://wannyan.metro.tokyo.lg.jp/kaigo/koramu2/
  • 新潟県 下越動物保護管理センター「飼う前から考えよう!犬猫シニアライフについて」 (確認日 2026-10-02・HTTP 200。冒頭・寝たきり・さいごに) https://www.pref.niigata.lg.jp/sec/shibata_kenkou/koureipetto.html
  • Spitznagel MB, Gober MW, Patrick K. "Caregiver burden in cat owners: a cross-sectional observational study." J Feline Med Surg. 2023;25(1):1098612X221145835. doi:10.1177/1098612X221145835 (確認日 2026-10-02・HTTP 200。Abstract・Methods(データの出どころ)・Measures・Results・Discussion・Funding と利益相反の開示。研究資金と回答のデータは動物用医薬品の会社 Zoetis が用意したもので、著者の1人は同社の社員と論文に開示) https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10812038/

この記事について

内容確認日: 2026-10-02(最後に出典を確かめ直した日。章ごとの確認日は本文と出典の欄のとおりです)

本記事は一般的な参考情報であり、獣医療行為やその代替ではありません。うちの子の体調で気になることがあるときは、かかりつけの獣医師にご相談ください。