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猫の腎臓病はなぜシニアに多い?症状・数値の推移と記録のしかた
公開 /更新 /2026 年 10 月時点の情報書いた人・確かめた人:うちのこ家系図 編集部

目次
猫の腎臓病(慢性腎臓病)は年をとるほど多く、10歳を超えた猫の30〜40%以上にあるとされています(ISFM, 2016)。この数は、ISFM が1992年の総説を引いて紹介したものです。
傷んだ腎臓の組織は、多くは元に戻らず、進むことが多いとされています(IRIS)。そのため、検査の数値の「推移」を残しておくことが、獣医師と話す材料になります。
猫の腎臓病はなぜシニアに多い?主な症状と気づくきっかけ
シニア猫に腎臓病が多い理由は、多くの場合はっきりわかっていません。年齢のほかに、はっきりした危険因子は見つかっていないとされています(ISFM)。多くの猫では、少しずつ進む病気です。
年齢ごとの割合を調べた研究があります。1つの動物病院の猫から無作為に選んだ86頭を調べたものです(Marino ほか, 2014)。
年齢ごとの慢性腎臓病の割合(Marino ほか, 2014)
| 年齢 | 調べた頭数 | 慢性腎臓病の猫 | 割合 |
|---|---|---|---|
| 0〜4.9歳 | 24頭 | 9頭 | 37.5% |
| 5〜9.9歳 | 22頭 | 9頭 | 40.9% |
| 10〜14.9歳 | 19頭 | 8頭 | 42.1% |
| 15〜20歳 | 21頭 | 17頭 | 80.9% |

この割合には、ステージ1の猫が含まれます。ステージ1は、血液の値は基準内で、尿や画像で腎臓の変化が見つかった猫です。1つの動物病院の86頭という、数が少ない研究の値です。すべての猫に当てはまる割合ではありません。
MSD 獣医マニュアル(米国での名前は Merck Veterinary Manual、以後 Merck)は、5〜6歳ごろから慢性腎臓病が増え始めると書いています。
症状について Merck は、最初の変化は水をたくさん飲み、尿が増えることが多いとしています。進むと、食欲が落ちる、体重が減る、脱水、口の中のただれ、元気がない、吐く、下痢などが出てきます(Merck)。
猫はステージ3か4になるまで、症状が出ないことが多いとされます(Merck)。
ISFM は、体重が減る、水を飲む量と尿の量が増える、体の水分が足りないといった様子が、腎臓病があるか、これから起きることを示すことがあるとしています。
こうした様子に気づいたら、かかりつけの動物病院に相談してください。シニア期の暮らしの変化は、シニア期に入った猫の暮らしがどう変わるかと、その記録のしかたにまとめています。
急に起きる腎臓の病気(急性腎障害)は別の状態
急性腎障害は、腎臓が急に大きく傷つく別の状態です(Merck)。急性か慢性か、原因が何かを見分けることが大事だとされています(Merck)。
数値の「推移」を残す
定期的な健診の記録は、病気や検査の値の変化の傾向を早く見つける助けになるとされています(AAHA/AAFP, 2021)。前回の結果は、次の健診の値を読む基準になります。
7歳を超えた猫には、6か月ごとの健康診断(体重・体の状態・血圧)と、少なくとも年に1回の血液と尿の検査がすすめられています(ISFM)。
7歳を超えた猫では、クレアチニンや SDMA、尿の濃さ(尿比重)を続けて測ると、時間とともにどう変わったかが分かり、腎臓病を早く見つける助けになるとされています(ISFM)。
腎臓の数値の推移の記録の見本(記入例・数値は入れていません)
| 健診の日 | 年齢 | 体重 | 数値(クレアチニン・SDMA・尿比重) | メモ |
|---|---|---|---|---|
| 〇〇〇〇年〇月〇日 | 〇歳 | 〇.〇kg | クレアチニン 〇.〇/SDMA 〇〇/尿比重 〇.〇〇〇 | 〇〇 |
| (空欄) | ||||
| (空欄) | ||||
| (空欄) |
見本には、正常か異常かを書く列を作っていません。数値の読み方は、診察のときに獣医師に聞きます。
健診の結果を、同じ項目で並べて残す考え方は、猫の健診を受ける間隔の考え方と、結果を年ごとに並べて残す方法にあります。紙とアプリの選び方は、健康手帳に何を書くか、紙とアプリをどう選ぶかにまとめています。
多発性嚢胞腎(PKD)は、慢性腎臓病の原因の1つ
ISFM は、慢性腎臓病の原因としてはっきり分かることがあるものの1つに、多発性嚢胞腎(PKD)を挙げています。こうした原因の一部は、猫種との関わりがあるとしています(ISFM)。
IRIS も、家族性の腎臓の病気(家系の中で見られやすい腎臓の病気)の表に、猫の PKD を載せています(IRIS)。
PKD の背景や、遺伝子検査でわかることは、猫の多発性嚢胞腎(PKD)|症状・猫種・遺伝子検査と余命の研究にまとめています。
ステージ・治療の概要・診断後の期間の研究
猫の慢性腎臓病は、IRIS という国際団体の決まりで4つのステージに分けられ、治療と経過の見方を決めるのに使われます(IRIS)。
ステージは、血液のクレアチニンか SDMA(できれば両方)を、体調の落ち着いた時に2回以上測って決めます。そのあと、尿のたんぱくと血圧でさらに細かく分けます(IRIS)。
治療は、症状を和らげて暮らしの質を保ち、できる時は進みを遅らせることが中心です(ISFM)。水分を保つこと(いつでも飲めるきれいな水・皮下輸液)や、たんぱく質とリンを抑えた腎臓病用の療法食が、その例として挙げられています(ISFM)。療法食を使うかどうかは、獣医師と決めます。
診断のあとに生きた期間を調べた研究もあります。2000年4月から2002年1月に診られた、飼い猫211頭の研究です(Boyd ほか, 2008)。診断の時のステージ(当時の分け方)ごとの、生きた期間の真ん中の値(中央値)は次のとおりでした。
診断の時のステージ別の、診断後に生きた期間(Boyd ほか, 2008)
| 診断の時のステージ | 生きた期間の中央値 | 範囲 |
|---|---|---|
| ステージ2の後半(IIb) | 1,151日 | 2〜3,107日 |
| ステージ3 | 778日 | 22〜2,100日 |
| ステージ4 | 103日 | 1〜1,920日 |
同じステージの中でも幅が大きく、ステージ2の後半では2日から3,107日まででした。猫ごとの差が大きいことを示す値です。1つの研究の値で、うちの子の見通しを示すものではありません。
研究によって値は大きく違います。ISFM がまとめた4つの研究では、ステージ2の中央値は490日から、中央値に届かなかった研究までありました。
治療にかかる費用は、猫ごとに違います。この記事では目安の数字を示しません。保険の告知の場面で記録をどう使うかは、加入前後の告知でどこがつまずきやすいかにまとめています。
日々の記録:体重・水を飲む量・尿の量
健診と健診のあいだにも、家で残せる記録があります。体重、水を飲む量、尿の量の3つです。
体重の減りと、水を飲む量・尿の量の増えは、最初の章で見た ISFM の気づくきっかけにも入っています。家で続けて残しておくと、前と比べて見返せます。体重の記録の続け方は、子猫の体重の増え方と記録のしかたでも紹介しています。成猫やシニア期の体重にも使える考え方です。
おしっこに血が混じる時の、した場所・出た量・色の記録のつけ方は、猫の血尿|原因と一緒に見る様子・おしっこの記録と病院へ行く目安にあります。
おしっこの回数を家で数える時は、ビデオで数えた研究との差や、時間と方法の決め方が、猫のおしっこの回数|家での数え方と、数え漏れにあります。
家系と親戚猫の記録
IRIS は、一部の研究で慢性腎臓病になりやすい可能性が示されている猫種として、ペルシャ、アビシニアン、シャム、ラグドール、バーミーズ、ロシアンブルー、メインクーンの7猫種を挙げています(IRIS)。
これは猫種ごとの傾向の紹介です。うちの子1頭の発症を予測するものではありません。名前のある猫種のうち、ロシアンブルーとアビシニアンは、猫種の記事があります。
両親猫や兄弟猫が、腎臓の数値を指摘されたことがあるかどうか。わかる範囲で残しておくと、あとで見返せます。同じ実家から生まれた親戚猫が登録されていれば、その子の記録がうちの子を見守る手がかりのひとつになるかもしれません。
猫の遺伝性の病気を一覧で見るには、猫種ごとに報告が多いとされる遺伝性の病気を一覧で見るが使えます。
よくある質問
Q. 猫の腎臓病は何歳から多い?
Merckは5〜6歳ごろから増え始めると書いています。ISFMは、10歳を超えた猫の30〜40%以上にあるとされると紹介しています。
Q. 猫の腎臓病のステージとは?
IRISという国際団体の決まりで4つに分けます。血液の検査を体調の落ち着いた時に2回以上測って決め、尿のたんぱくと血圧でさらに分けます。
Q. 猫の腎臓病の最初の症状は?
水をたくさん飲み、尿が増えることが多いとされます(Merck)。進むと食欲が落ち、体重が減ることがあります。
治療の前に、残しておけることがある。数値の推移と日々の記録を始めよう
治療の話をする前に、残しておけることがあります。健診のたびに数値を並べ、体重と水を飲む量、尿の量を記録しておくと、獣医師と話す材料になります。
無料の会員登録をしておくと、兄弟かもしれない子や同じ実家の子があとから登録された時に、お知らせが届きます。
本記事は参考情報です。この記事は病気の診断・治療方針を示すものではありません。数値の意味・食事・治療方針については、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。 記事中のデータは2026年10月25日時点で各資料を確認したものです。
出典・参考
- Sparkes AH, Caney S, Chalhoub S, et al. "ISFM Consensus Guidelines on the Diagnosis and Management of Feline Chronic Kidney Disease." Journal of Feline Medicine and Surgery, 2016, 18(3), 219-239. doi:10.1177/1098612X16631234 (確認日 2026-10-25) https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11148907/
- Marino CL, Lascelles BDX, Vaden SL, et al. "Prevalence and classification of chronic kidney disease in cats randomly selected from four age groups and in cats recruited for degenerative joint disease studies." Journal of Feline Medicine and Surgery, 2014, 16(6), 465-472. doi:10.1177/1098612X13511446 (確認日 2026-10-25・Table 1) https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4414065/
- Quimby J, Gowland S, Carney HC, et al. "2021 AAHA/AAFP Feline Life Stage Guidelines." Journal of Feline Medicine and Surgery, 2021, 23(3), 211-233. doi:10.1177/1098612X21993657 (確認日 2026-10-25) https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10812130/
- Boyd LM, Langston C, Thompson K, et al. "Survival in cats with naturally occurring chronic kidney disease (2000-2002)." Journal of Veterinary Internal Medicine, 2008, 22(5), 1111-1117. doi:10.1111/j.1939-1676.2008.0163.x (PMID 18691369・要旨を確認・確認日 2026-10-25)
- International Renal Interest Society「CKD Risk Factors」 (確認日 2026-10-25) https://www.iris-kidney.com/ckd-risk-factors
- International Renal Interest Society「IRIS Staging of CKD (Modified 2026)」 (確認日 2026-10-25・ステージの数と分け方) https://www.iris-kidney.com/s/IRIS_staging_guidelines-2026.pdf
- Merck Veterinary Manual「Noninfectious Diseases of the Urinary System of Cats」(飼い主版・Last updated: Jul 2026) (確認日 2026-10-25・Kidney Dysfunction の節) https://www.merckvetmanual.com/cat-owners/kidney-and-urinary-tract-disorders-of-cats/noninfectious-diseases-of-the-urinary-system-of-cats
この記事について
内容確認日: 2026-10-25。一般的な参考情報で、獣医療行為の代わりではありません。
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よむこの記事を書いた人
うちのこ家系図 編集部
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- 血統書・犬猫の健康・暮らしの手続きを、公的機関や登録団体の資料にあたって書いています。
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