ラブラドールレトリーバーの体重推移|太りやすいとされる犬種の記録の見方
内容確認日 2026-09-02・うちのこ家系図 読みもの

目次
「よく食べる犬種」「太りやすい犬種」——ラブラドールレトリーバーと暮らしていると、こうした言葉を一度は耳にするのではないでしょうか。実際、この犬種の食欲の強さについては、遺伝子レベルの研究報告もあります。
この記事では、まずJKC犬種標準に体重の数値があるかどうかを確認したうえで、「太りやすいとされる犬種」という評判の中身を一次情報で見ていきます。そのうえで、月齢別の体重をどう見るか、日々の記録にどうつなげるかを整理しました。ゴールデンレトリーバーの体重記事とあわせて読むと、大型レトリーバー2犬種の共通点と違いが見えてきます。
体重の数字がない犬種なのに「太りやすい」と言われる|JKC標準にあるのは体高だけ
要点: JKC犬種標準に記載されているラブラドールレトリーバーの数値は、理想体高「牡:56~57cm、牝:54~56cm」のみです。体重の記載はありません。ゴールデンレトリーバーと同じ「数字がない犬種」です。
JKC公式サイトの「ラブラドール・レトリーバー」のページを確認すると、記載されているのは理想体高「牡:56~57cm、牝:54~56cm」のみで、体重の数値は記載されていません(JKC・確認日 2026-09-02)。この点はゴールデンレトリーバーの犬種標準と同じで、大型犬種に共通する傾向のひとつといえます。
犬種標準に体重の規定がない以上、「標準体重より重い・軽い」という言い方は、この犬種でも根拠のある比較として成り立ちません。それでいて、次に見るように「太りやすい」という評判には、実際に研究の裏づけがあります。犬種そのものの成り立ちや性格の傾向はラブラドールレトリーバーの性格と特徴|歴史・被毛と暮らし方にまとめています。
POMC遺伝子の欠失と食欲|383頭の調査で、変異を持つ個体はおよそ2割
要点: 英国の研究チームが、ラブラドールレトリーバーの体重・食欲に関わる遺伝子の変異を報告しています。この変異を持つ個体は、持たない個体より平均で体重が重く、食べ物への関心が強い傾向が示されています。ただし、調査された383頭のうち変異を持たない個体が8割近くを占めており、体重が食事や運動と無関係というわけではありません。
「ラブラドールは太りやすい犬種」という評判は、単なる印象ではありません。2016年に発表された研究では、体重・食欲に関わるとされる遺伝子(POMC)の一部が欠けている個体が、肥満の犬に多く見られることが報告されています(Raffan ら, Cell Metabolism, 2016・確認日 2026-09-02)。
英国のラブラドールレトリーバー383頭を調べた結果では、この変異を持たない個体(野生型)が78%、片方の遺伝子だけに変異がある個体が20%、両方の遺伝子に変異がある個体が2%で、変異を持つ遺伝子全体の頻度は12%と報告されています(同上・確認日 2026-09-02)。この変異を1つ持つごとに、平均で体重が1.90kg重く、食べ物への関心を評価する質問票のスコアも高くなる傾向が示されています(同上・確認日 2026-09-02)。介助犬の繁殖用として選ばれた81頭を対象にした調査でも、この変異の頻度が45%と、ペットの個体群より高かったことが報告されています(同上・確認日 2026-09-02)。なお、この変異は調査された他の38犬種には見られず、同じレトリーバー種のフラットコーテッド・レトリーバーにのみ見られたとされています(同上・確認日 2026-09-02)。
この研究が示しているのは「ラブラドールという犬種そのものに、食欲や体重に関わる遺伝的な傾向を持つ個体が一定の割合でいる」ということであり、「すべての個体が太る」という意味ではありません。同じ調査では、変異を持つ個体は383頭中およそ2割(ヘテロ20%+ホモ2%)で、8割近くは変異を持っていませんでした。体重は食事量・運動量・年齢など複数の要因が組み合わさって決まります。うちの子がこの変異を持つかどうかを調べる一般向けの検査が普及しているわけではないため、この記事では「傾向として知られている」という事実の紹介にとどめ、食事量の調整そのものはかかりつけの獣医師と相談することをおすすめします。
成長期10〜16ヶ月・体重は最長24ヶ月|「まだ育っている」と「太ってきた」を数字だけで切り分けにくい時期
要点: 大型・超大型の犬種では成長と骨格の成熟が生後10〜16ヶ月まで完了しないことがあるとされ、成犬体重に達するまでは成長曲線研究で最長24ヶ月とされます。ラブラドールレトリーバーでは、1歳から2歳にかけての体重の増え方が成長によるものかどうかを、体重の数字だけで見分けるのは簡単ではありません。
Merck/MSD獣医マニュアルは、体が仕上がる時期を2つの括りで書き分けています。小さめの犬種なら生後8〜12ヶ月で終わることがあり、体格が大きい犬種では生後10〜16ヶ月になるまで終わらないことがある——という記述です(確認日 2026-09-02)。ラブラドールレトリーバーは体高からも後者に入るため、骨格が伸びる時期の目安は生後10〜16ヶ月あたりということになります。ただし、体重が完全に落ち着くのはこれより遅く、成長曲線研究では大型犬種で成犬体重に達するまで最長24ヶ月かかるとも報告されています(Salt ら, PLOS ONE, 2017・確認日 2026-09-02)。
「太りやすいとされる犬種」であるラブラドールレトリーバーの場合、この1歳前後から24ヶ月にかけての体重の増え方を「まだ育っているから」と見るか「増えすぎ」と見るかを、体重の数字だけで判断するのは難しいところです。だからこそ、次に見る成犬体重の区分別の成長曲線と、後述する体型の評価をあわせて見る意味があります。
ラブラドール専用の月齢表が見つからないとき|30〜40kg級の成長曲線で見る
要点: ラブラドールレトリーバー限定の月齢別体重表は、一次資料では確認できませんでした。手がかりになるのは、成長曲線研究がこの犬種を「30〜40kg未満」の区分に例示していることです。
Saltらの研究(PLOS ONE, 2017)は、米国の動物病院ネットワークで集められた600万頭超の子犬の体重データをもとに、犬を成犬体重によって「6.5kg未満」から「40kg以上」までの6区分に分け、区分ごとに成長曲線をモデル化しています(確認日 2026-09-02)。同研究のTable 1では、ラブラドールレトリーバーはゴールデンレトリーバーとともに「30〜40kg未満」の区分(Category V)に例示されています(Salt ら, 2017・確認日 2026-09-02)。同研究では、犬種単位で曲線を作るよりも、この体重区分でまとめたほうが臨床の現場で扱いやすいという判断が示されています(確認日 2026-09-02)。犬種限定の月齢別体重表を論文から直接取り出すことはできませんが、「30〜40kg級の犬がどのあたりの成長カーブをたどりやすいか」という区分別の見方はできる、ということです。
検索で見つかる月齢別の表の多くは、出典の書かれていない数字であることがほとんどです。それを「平均」と受け取って一喜一憂するより、次に見る「同じ大型レトリーバーでも物差しは同じか」という視点のほうが、この犬種には役立ちます。
ゴールデンレトリーバーと同じ物差しでいいか|体高の幅は同じではない
要点: ゴールデンレトリーバーとラブラドールレトリーバーは、どちらも犬種標準に体重の規定がない大型レトリーバーです。ただしJKC犬種標準に書かれた体高の幅は同じではなく、「同じ大型犬」という括りだけで比べるのは慎重に。
ゴールデンレトリーバーの体重記事(ゴールデンレトリーバーの体重推移と成長曲線|月齢別の目安と記録)でも解説しているとおり、この犬種にも犬種標準の体重規定はありません。ラブラドールレトリーバーとゴールデンレトリーバーは、どちらも大型犬・体重の数字がない・成長期が長い、という共通点を持ちます。一方でJKCの犬種標準に書かれた体高の幅は、ゴールデンが牡56〜61cm・牝51〜56cm、ラブラドールが牡56〜57cm・牝54〜56cmと同じではありません(JKC・確認日 2026-09-02)。「大型レトリーバーだから同じように見ればいい」と一括りにせず、うちの子自身の犬種の記録として見ていくことが大切です。
30kg級の量り方と、食事の記録をセットで残す
要点: 成犬になると家庭用の体重計で量りにくくなります。動物病院の大型犬用体重計を使うのが現実的で、食欲が強いとされる犬種だからこそ、体重の数字は食事の記録と並べて残しておくと意味が出ます。
子犬のうちは、飼い主が抱いて家庭の体重計に乗り、自分の体重を引く方法で足ります。ただ、成犬になり30kg級に育つと、家庭用の体重計の台に四本の足を収めること自体が難しくなります。ワクチンや健診で動物病院に行くタイミングを利用して、そこに置かれた大型犬用の体重計で量ってもらうと、無理なく記録を続けられます。家庭でできる工夫の全体は犬の体重の測り方と記録のコツ|家でできる測定と続け方で紹介しています。
ラブラドールレトリーバーでは、体重の数字だけを見るより、そのとき何をどのくらい食べていたか(フードの種類・おやつの有無)も同じ記録に添えておくと、あとから獣医師に相談するときの材料になります。体型の評価(ボディコンディション)についても、受診のたびに獣医療チームが行うための資材が公開されています(WSAVA「Global Nutrition Guidelines」・確認日 2026-09-02)。食事量の調整はこの記事では扱いません。かかりつけの獣医師と相談して決めてください。
検査で調べにくいからこそ|実家の親犬・兄弟犬の食欲と体格
要点: 「太りやすいとされる遺伝子」の頻度は個体差があります。親犬・兄弟犬の体格や食欲の傾向を知っておくことも、うちの子を理解する手がかりになります。
うちの子がPOMC遺伝子の変異を持つかどうかを一般向けの検査で確かめる手段は広く普及していません。だからこそ手がかりになるのが、同じ実家(犬舎)で育った親犬・兄弟犬の体格や食欲の傾向です。よく食べる系統か、育つとどのくらいの体格になったか——こうした情報を、実家の記録とともに残しておくと、うちの子を理解する材料になります。うちのこ家系図では、体重の記録と実家の情報を、ひとつづきの記録としてまとめておけます。ラブラドゥードルなど、この犬種を片親に持つミックスの子についてはラブラドゥードルの性格と特徴|サイズ・被毛と両親系統の健康でも紹介しています。
よくある質問
Q. ラブラドールレトリーバーは大型犬の中でも太りやすいのですか?
体重・食欲に関わるとされる遺伝子の変異を持つ個体が一定の割合で報告されている犬種です(Raffanら, 2016)。ただしこれは「傾向として報告されている」ということであり、すべての個体が太るという意味ではありません。体重は食事量・運動量など複数の要因で決まるため、気になる場合はかかりつけの獣医師に相談してください。
Q. ゴールデンレトリーバーの体重記事と、どちらを見ればいいですか?
どちらも犬種標準に体重の規定がない大型レトリーバーという共通点がありますが、犬種標準に書かれた体高の幅は同じではありません。うちの子の犬種にあわせて、両方をあわせて読むと理解が深まります。
Q. ラブラドゥードルなどミックスの子も参考になりますか?
ラブラドゥードルは、プードル側がスタンダードかミニチュアかで成犬サイズの幅が大きく変わります。ラブラドール側の「成長期が長い」「犬種標準に体重の数字がない」という見方は片親の分として参考になりますが、もう片方の親のサイズを抜きに体重の目安は語れません。詳しくはラブラドゥードルの性格と特徴|サイズ・被毛と両親系統の健康で紹介しています。
まとめ|「太りやすい」は評判だけではない
- JKC犬種標準にラブラドールレトリーバーの体重規定はない。記載されているのは体高のみ
- 「太りやすい犬種」という評判には、体重・食欲に関わる遺伝子変異の研究報告がある。ただし383頭の調査で変異を持つ個体はおよそ2割で、全個体が太るわけではない
- 成長と骨格の成熟は大型・超大型の犬種で生後10〜16ヶ月まで完了しないことがあり、体重が落ち着くのは最長24ヶ月とされる。この間の体重増を数字だけで「成長」か「増えすぎ」か切り分けるのは難しい
- 犬種限定の月齢別体重表は一次資料で確認できず、この記事には載せていない。成長曲線研究ではゴールデンとともに「30〜40kg未満」の区分に例示されている
- ゴールデンレトリーバーと共通点は多いが、JKC標準の体高の幅は同じではない。「大型レトリーバーだから同じ」と一括りにしない
- 親犬・兄弟犬の体格・食欲の傾向を知っておくことも、うちの子を理解する手がかりになる
「よく食べる」「太りやすい」という評判の裏にある事実を知ったうえで、うちの子自身の記録を積み重ねていくことが、いちばん確かな物差しになります。
本記事は参考情報です。体重や成長に関する記述は、個々の犬の状態を診断・予測するためのものではありません。うちの子の体重や食事について迷うことがあれば、かかりつけの獣医師にご相談ください。 記載の数値・引用は2026年9月2日にJKC・MSD獣医マニュアル・PLOS ONE・Cell Metabolism掲載論文・WSAVAで確認したものです。
出典・参考
- 一般社団法人ジャパンケネルクラブ「ラブラドール・レトリーバー」 (確認日 2026-09-02。理想体高「牡:56~57cm、牝:54~56cm」のみで体重の記載がないことを確認) https://www.jkc.or.jp/breeds/labrador-retriever/
- 一般社団法人ジャパンケネルクラブ「ゴールデン・レトリーバー」 (確認日 2026-09-02。体高「牡:56~61cm、牝:51~56cm」のみで体重の記載がないことを執筆者が開いて確認。ラブラドールとの体高比較(H2-5・FAQ2)に使用) https://www.jkc.or.jp/breeds/golden-retriever/
- MSD獣医マニュアル(Merck Veterinary Manual)"Feeding Practices in Small Animals"(Management and Nutrition/Nutrition:Small Animals・改訂 2023年11月/更新 2024年10月) (確認日 2026-09-02。本記事担当者がHTMLを取得し該当文をgrepで逐語照合) https://www.msdvetmanual.com/management-and-nutrition/nutrition-small-animals/feeding-practices-in-small-animals
- Salt C, Morris PJ, Wilson D, Lund EM, German AJ. "Growth standard charts for monitoring bodyweight in dogs of different sizes." PLOS ONE, 2017, 12(9), e0182064. (確認日 2026-09-02。B-33で確認済みの一次資料を執筆者が再度開いて原文確認。Table 1のCategory V例示犬種と「up to 24 months」の文を追加確認) https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5584974/
- Raffan E, Dennis RJ, O'Donovan CJ, et al. "A Deletion in the Canine POMC Gene Is Associated with Weight and Appetite in Obesity-Prone Labrador Retriever Dogs." Cell Metabolism, 2016, 23(5), 893-900. (確認日 2026-09-02。野生型78%・ヘテロ20%・ホモ2%の向きを再度開いて確認) https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4873617/
- WSAVA(世界小動物獣医師会)「Global Nutrition Guidelines」 (確認日 2026-09-02。M-02で確認済みの一次資料を執筆者が再度開いて原文確認) https://wsava.org/global-guidelines/global-nutrition-guidelines/
この記事について
内容確認日: 2026-09-02(この日時点の一次情報にもとづいています)
本記事は一般的な参考情報であり、獣医療行為やその代替ではありません。うちの子の体調で気になることがあるときは、かかりつけの獣医師にご相談ください。
つづけて読む
ラブラドールレトリーバーの性格と特徴|歴史・被毛と暮らし方
ラブラドール・レトリーバーはどんな犬か。ニューファンドランド沿岸で発祥したとされる成り立ち、盲導犬としても知られる従順な性格の傾向、短毛ダブルコートのお手入れ、大型犬ならではの成長期の長さまで一次情報をもとに解説。健康面の詳しい話は今後、専用記事で紹介予定です。
よむ犬種と健康ゴールデンレトリーバーの体重推移と成長曲線|月齢別の目安と記録
ゴールデンレトリーバーのJKC犬種標準には、体重の数値規定がありません。FCI原文の「SIZE AND WEIGHT」に体高しかない事実、成長期10〜16ヶ月と成熟24ヶ月の二段構え、月齢別の表を載せない理由、30kg級の量り方まで、「平均」と比べるより成長曲線を残すほうが意味のある理由を整理しました。
よむ記録とくらし犬の体重の測り方と記録のコツ|家でできる測定と続け方
大型犬で抱っこして体重計に乗るのが難しい、記録の頻度がわからず続かない。犬の体重の測り方と、無理なく続けられる記録のコツを、家庭用の体重計でできる方法から紹介します。
よむ