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犬のクッシング症候群とは?症状・なりやすい犬種と治療の概要・費用

公開 /更新 /2026 年 10 月時点の情報書いた人・確かめた人:うちのこ家系図 編集部

うちの子の家系図を撮ってはじめる
イラスト:明るいリビングで、床に座った飼い主が、水の器から水を飲むシニアのミニチュア・ダックスフンドを見守っている
目次
  1. 1犬のクッシング症候群とは?
  2. 2主な症状と家で気づく形
  3. 3原因の型となりやすい犬種
  4. 4診断と治療の概要・費用の目安
  5. 5家で記録することと病院へ行く目安
  6. 6家系・血統との関係
  7. 7水を飲む量が増えたら、記録を持ってかかりつけに相談しよう

犬のクッシング症候群は、副腎(ホルモンを出す体の部分)から出るホルモンが多い状態が続く、中高齢の犬にみられる病気です(MSD獣医マニュアル。米国・カナダでは Merck Veterinary Manual の名前)。

主な様子は、水を多く飲む、おしっこが増える、食欲が増える、お腹がふくらむ、毛が抜ける、などです。病院へ行く目安は、5つ目の章にまとめています。

犬のクッシング症候群とは?

クッシング症候群は、副腎から出るホルモンが、多い状態が続くことで起こります(MSD獣医マニュアル)。手紙が相手に届いて仕事を頼むように、ホルモンは体の中で合図を送る物質です。

出るのは副腎の外側(皮質)で、そのホルモンの名前はコルチゾールです。

原因は大きく2つの型に分かれます。報告された例の80〜85%が下垂体性、10〜15%が副腎性です(MSD獣医マニュアル)。

下垂体性は、脳の下垂体にできた腫瘍(できもの)が、ACTHというホルモンを出す型です。ACTHは、副腎を動かす合図のホルモンです。

副腎性は、副腎にできた腫瘍が、自分でホルモンを出す型です。

副腎を工場、下垂体をその司令塔にたとえると、下垂体性は司令塔が指示を出しすぎる型です。副腎性は、指示がなくても工場が自分で動く型です。

下垂体の腫瘍がACTHを多く出し副腎がコルチゾールを多く出す下垂体性が80〜85%、副腎の腫瘍が自らコルチゾールを出す副腎性が10〜15%と示す2つの型の図
副腎皮質ホルモンが出るしくみと 2 つの型出典:MSD Veterinary Manual(Cushing Syndrome/Cushing Disease の 2 ページ)をもとに作成

この病気は、どの犬種・大きさの犬にも起こりえます(MSD獣医マニュアル)。

この2つとは別に、炎症や免疫の病気を抑えるために使うステロイドの薬を、長く使ったことで起こる型(医原性)もあります(MSD獣医マニュアル)。医原性は、治療に使った薬がもとで起こるという意味です。症状は、医原性でも同じような形で出るとされています(MSD獣医マニュアルの下垂体性の頁)。

ステロイドの薬を長く使っている場合、急にやめると、かえって具合が悪くなることがあるとされています(MSD獣医マニュアル)。飲んでいる薬は、自己判断でやめたり減らしたりせず、かかりつけの獣医師に相談します。

参考:MSD獣医マニュアル『Cushing Syndrome (Hyperadrenocorticism) in Animals』(2024)リンク

参考:MSD獣医マニュアル『Corticosteroids in Animals』(2025)リンク

参考:MSD獣医マニュアル『Cushing Disease (Pituitary-Dependent Hyperadrenocorticism) in Animals』(2024)リンク

主な症状と家で気づく形

犬のクッシング症候群では、水を多く飲む、おしっこが増える、食欲が増える、お腹がふくらむ、毛が抜ける、といった様子がよくみられます(MSD獣医マニュアル)。

症状は犬によって違います(MSD獣医マニュアル)。

犬のクッシング症候群でよくみられる症状

症状家で気づく形
水をよく飲む・尿が多い(多飲多尿)水を多く飲む。おしっこの量や回数が増える
食べる量が増える(多食)食欲が増える
お腹が垂れるお腹が垂れて、ふくらんで見える
息が荒い(パンティング)口を開けて、ハアハアと息をする
筋肉が落ちる体の肉づきが落ちる
皮膚の変化毛が抜ける。皮膚が薄くなる。皮膚に細菌の感染(膿皮症)が起きる

出典:MSD獣医マニュアル『Cushing Syndrome (Hyperadrenocorticism) in Animals』(2024)

見た目の症状のほかに、全身の血圧が高くなる(高血圧)こともあります(MSD獣医マニュアル)。血圧は、動物病院で測って分かる値です。

原因の型となりやすい犬種

原因の型によって、報告される犬の大きさに傾向があります(MSD獣医マニュアル)。

原因の2つの型と大きさの傾向

型大きさの傾向
下垂体性報告の多くが小型の犬種
副腎性大きめの犬に多い傾向

出典:MSD獣医マニュアル『Cushing Syndrome (Hyperadrenocorticism) in Animals』(2024)

表は報告の傾向で、この病気そのものは、どの犬種・大きさの犬にも起こりえます(MSD獣医マニュアル)。症状は、下垂体性でも副腎性でも変わらないとされています(MSD獣医マニュアルの下垂体性の頁)。

MSD獣医マニュアルの下垂体性の頁は、かかりやすい犬種として、プードル(とくにミニチュア)・ダックスフンド・ボクサー・ボストン・テリア・ヨークシャー・テリア・スタッフォードシャー系のテリアを挙げています。

参考:MSD獣医マニュアル『Cushing Disease (Pituitary-Dependent Hyperadrenocorticism) in Animals』(2024)リンク

ある保険会社の白書では、次の3犬種の頁で、この病気が「他犬種に比べ罹りやすい疾患」の表に入っていました。表の「請求割合」は、保険金の支払いがあった犬の割合です。

保険会社の白書で、この病気が「他犬種に比べ罹りやすい疾患」の表に入った3犬種

犬種対象の犬(0〜12歳)請求頭数請求割合(その犬種)請求割合(犬全体)
ミニチュア・ダックスフンド46,144頭262頭0.6%0.4%
ヨークシャー・テリア18,359頭116頭0.6%0.4%
マルチーズ14,041頭87頭0.6%0.4%

出典:アニコム『家庭どうぶつ白書2025』第2部(2-2-14・2-2-23・2-2-29)

保険会社の白書で、ミニチュア・ダックスフンド、ヨークシャー・テリア、マルチーズの請求割合がどれも0.6%で、犬全体の0.4%より高いことを2本の横棒で示すグラフ
請求割合(白書の3犬種はどれも0.6%・犬全体は0.4%・0〜12歳)出典:アニコム『家庭どうぶつ白書2025』第2部(2-2-14・2-2-23・2-2-29)

白書の30犬種の頁のうち、この病気が表に入ったのは3犬種でした。表に入る条件があるので、入っていない犬種がなりにくいという意味ではありません。

参考:アニコム『家庭どうぶつ白書2025』第2部(2025)リンク

診断と治療の概要・費用の目安

診断は、様子の聞き取りから検査まで、何段かに分けて進みます(MSD獣医マニュアル)。

まず疑い、次に確かめる検査をして、多くの場合はさらに原因の型を見分ける検査をします。ふるいにかけて分けるように、ふるい分けの検査は、疑いのある犬がこの病気かどうかを確かめる検査です。検査の名前は次のとおりです。

診断で使われる主な検査

検査内容
血液検査(ALP)血液検査でわかる数値の1つ(ALP)の上昇が、犬で最もよくみられる検査の異常
ホルモンの反応を調べる検査(抑制試験)この病気をふるい分ける検査として第一に選ばれる検査
ACTH刺激試験もう一つのふるい分けの検査
お腹の超音波検査やCTこの病気と確かめられた後の検査で、大事な部分とされる

出典:MSD獣医マニュアル『Cushing Syndrome (Hyperadrenocorticism) in Animals』(2024)

超音波検査やCTは、お腹の中を画像に写して調べる検査です。ACTH刺激試験は、さきほどの合図のホルモン(ACTH)の名前がついた検査です。

治療には、手術と、副腎のはたらきを抑える薬が使われます。副腎性は、副腎をとる手術が第一の選択肢とされています。下垂体性の治療には薬・手術・放射線の3つがあり、どれも効果には差があると書かれています(MSD獣医マニュアル)。

どの治療にするかは、犬の状態を見ながら、かかりつけの獣医師と相談して決めます。地図を見ながら道を選ぶように、犬の状態を見ながら進め方を決めていきます。

この病気の多くは、薬で治療されます(MSD獣医マニュアル)。薬の治療は続けて行い、そのあいだはACTH刺激試験などの血液の検査で、ホルモンの値を確かめながら進めます(MSD獣医マニュアル)。

どの薬をどのくらい使うか、検査をどのくらいの間隔で受けるかは、かかりつけの獣医師が犬の状態を見て決めます。

医原性かどうかを調べるのにも、ACTH刺激試験が使われます(MSD獣医マニュアル)。

参考:MSD獣医マニュアル『Cushing Disease (Pituitary-Dependent Hyperadrenocorticism) in Animals』(2024)リンク

費用の目安として、ある保険会社の白書には、表に入った3犬種の頁に、請求のあった犬の1年間の診療費が載っています。

この病気の年間診療費(白書の3犬種)

犬種年間診療費の平均年間診療費の中央値
ミニチュア・ダックスフンド158,820円142,296円
ヨークシャー・テリア205,468円131,220円
マルチーズ122,690円71,517円

出典:アニコム『家庭どうぶつ白書2025』第2部(2-2-14・2-2-23・2-2-29)

ミニチュア・ダックスフンド、ヨークシャー・テリア、マルチーズの年間診療費の平均(158,820円・205,468円・122,690円)と中央値(142,296円・131,220円・71,517円)を並べた横棒グラフ
白書の3犬種の年間診療費(平均と中央値)出典:アニコム『家庭どうぶつ白書2025』第2部(2-2-14・2-2-23・2-2-29)

年間診療費は、請求のあった犬の1年間の診療費で、ほかの病気と一緒の請求は除いています。平均と中央値の差が大きい犬種があるので、両方を載せました。

中央値は、低い順に並べたとき、ちょうど真ん中の犬の額です。背の順に並べたときの真ん中の子のように、とても高い額が1つあっても、真ん中の額は変わりません。

窓口で払った総額か、保険で払われた額かは、白書には書かれていません。

保険の補償の範囲と自己負担の計算は、犬のペット保険の補償と自己負担の計算にまとめています。

治る?治療を続けるとどうなる?

MSD獣医マニュアルの下垂体性の頁は、下垂体性の犬の見通しを、全体として良いとしています。生存期間の中央値は、薬の治療をしてもしなくても、約2年と見積もられています。

ただし、病気の早い段階で、ほかの病気をともなわない犬(皮膚の症状だけの犬など)は、薬で治療すると、かなり長く生きられるとする研究があります(MSD獣医マニュアル)。

副腎性(副腎の腫瘍がもとになる型)は別の数字です。片側の副腎をとる手術を受けた犬の生存期間の中央値は、約18か月と書かれています(MSD獣医マニュアル)。型が違うので、上の下垂体性の数字と並べて比べるものではありません。

見通しは犬の状態によって違うので、自分の犬の場合は、かかりつけの獣医師に聞きます。

参考:MSD獣医マニュアル『Cushing Disease (Pituitary-Dependent Hyperadrenocorticism) in Animals』(2024)リンク

家で記録することと病院へ行く目安

水を多く飲む、おしっこが増える、食欲が増える、お腹がふくらむ、ハアハアする、毛が抜ける、皮膚が薄くなる、のどれかに気づいたら、記録を持って動物病院に相談します。

家で書き留めておくことは、次の5つです。

  • 水を飲む様子とおしっこの回数(気づいた日付つき)
  • 食欲の変化(いつごろから増えたか)
  • お腹のふくらみ(横から撮った写真)
  • 毛が抜けた場所と皮膚の様子(日付つきの写真)
  • ハアハアと息をする場面

毎日の日記をつけるように、日付つきで書き留めておくと、相談のときに役立ちます。

症状は犬によって違うので、原因の判断は獣医師に任せます。

あわせて読む:犬の健康診断は年に何回?頻度の目安と、結果の残し方

家系・血統との関係

純血種と雑種で、この病気と診断された犬の割合に差が見られなかった研究があり、特定の犬種で診断が多かった研究もあります。純血種は同じ犬種どうしから生まれた犬、雑種はいろいろな犬種がまざった犬のことです。

研究2本の対象と結果

研究対象分かったこと
O'Neill ほか 2016(英国)英国のかかりつけの動物病院に来た犬210,824頭(2009〜2014年)この病気と診断されていた割合は0.28%(推定)。ビション・フリーゼは雑種と比べて診断のオッズ比が6.5倍。12歳以上は6.0〜8.9歳と比べて5.7倍
Bellumori ほか 2013(米国)米国の大学の動物病院(教育病院)の記録90,004頭(1995〜2010年)。この病気の犬は1,089頭(雑種281・純血種808)年齢・性別・体重をそろえて比べると、この病気と診断された犬の割合に、純血種と雑種で差は見られなかった

出典:O'Neill ほか『J Small Anim Pract』(2016)、Bellumori ほか『J Am Vet Med Assoc』(2013)

オッズ比は、比べる相手と比べて、診断された見込みの違いを何倍かで表す数字です。2本は対象の病院も調べ方も違うので、数字を並べて比べることはできません。米国の研究は大学の病院に来た犬が対象で、一般の犬と割合が違うかもしれないと著者が書いています。

家族に同じ病気の犬がいたかを分かる範囲で残しておくと、相談の場で伝えやすくなります。

あわせて読む:ミックス犬は病気に強い?遺伝病リスクの実際

水を飲む量が増えたら、記録を持ってかかりつけに相談しよう

水を飲む量やおしっこが増えた、食欲が増えた、お腹がふくらんだ、毛が抜けてきた。そんな変化に気づいたら、日付と様子をメモして、かかりつけの動物病院に相談しましょう。

クッシング症候群かどうかは検査で調べるもので、原因の型や治療の選び方は、獣医師が犬の状態を見て決めます。記録があると、変化を獣医師に伝えやすくなります。

体重は、写真と一緒に 1 回で記録

4.0kg3.0kg2.0kg1.0kg0.0kg3.2kg8月3.3kg9月3.4kg10月
トイ・プードルのココ

画面はイメージです(架空の子の見本)。

出典・参考

この記事について

内容確認日: 2026-10-23。一般的な参考情報で、獣医療行為の代わりではありません。

この記事を書いた人

うちのこ家系図 編集部

編集部の運営者は、実家がブリーダー(犬猫の繁殖)で、出産などの手伝いもしていました。元ペットショップ店長で、2026年9月時点で犬を3頭飼っています。

  • 血統書・犬猫の健康・暮らしの手続きを、公的機関や登録団体の資料にあたって書いています。
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